コラム
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2012/5/15
1036    やりがいの積み重ね

何かを続けることは容易ではありません。和歌山市内を花でいっぱいにしようと取り組みを行っている団体があります。花いっぱい運動が盛んな頃には多くの会員を要していたのですが、その後、活動が停滞期に入ると会員数は減少していき、今では約30人になっています。

その団体の会長が「やりがいの積み重ねが自分を成長させてくれたと思います。自分の成長が組織の成長につながっていると思います」という挨拶をしたことがあります。活動が困難に直面した時も活動を止めないで継続してきました。予算が乏しく批判を受けても続けてこられたのは、街を花で埋め尽くしたいという思いと、この仕事と言うよりもボランティア活動へのやりがいを感じていたからです。

会員数は減少したかも分かりませんが、それぞれ成長した会員がいますし、成長を遂げている会員で構成している団体は強く逞しくなっています。それは会合で活発な意見を出し合っていることと、支援団体が増えていることから感じるのです。地道な活動を続けていると見てくれている人がいるのです。そんな人がトップを務めている組織が、支援の手を差し伸べてくれたのです。

活動に必要な支援を得て花いっぱいの活動は蘇えり、以前よりも逞しい活動をするようになっています。行政からの要請に基づくものではなく、自分達の「和歌山市を花でいっぱいにしよう」とう思いが、会員を動かせているのです。夏の暑い日も管理している道路沿いの花壇の手入れをしています。和歌山市の玄関口であるJR和歌山駅前広場の花壇の管理もしています。自分達が花いっぱいの街を築いているという気持ちが、この活動を継続させているのです。

皆さんは季節に応じて咲く花を植えています。夏の日に水をまき、花を大切に見守っています。誰も見ていなくても、誰かに評価さなくてもそんなことは関係ないのです。自分達がやりたいと思うことをやっているのです。そんな活動が和歌山市内に広がっています。

こんな事例があります。私の自宅の近くある道路に挟まれた三角地に花を植えている皆さんがいます。道路に挟まれたこの場所は、誰も監理する人がいないので雑草が茂っていた場所でした。殺風景なので、近所の皆さんが集まり季節の花を植えるようになりました。今ではきれいに手入れをされて季節の花を楽しめる場所になっています。通勤や通学時間帯にこの花壇に差し掛かると、きれいな花を見てしまいます。花は人の心を和ませてくれる働きがあることを感じます。これから仕事を始める人、勉強に向かう人が穏やかな気持ちで職場や学校に入れる環境を作ってくれています。

この事例は直接的にNPO法人の活動に関係ありませんが、花いっぱいの活動が伝播して広がっているように感じます。継続した活動は直接的な影響を与えなくても、時を同じくして同様の活動が各地で発生することがあります。やりがいを持って活動している姿がまちに反映されているような気がします。個人が成長すれば、その人が暮らすまちも、その分成長しているのです。