コラム
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2012/5/8
1031    深切行為

深切な話を知りました。深切とは心の底からそのことを思うという意味なのです。深切が幸福を運んでくるというテーマの話です。

「深切は、しても、してもらっても気持ちがいいが、そうした行為を見ただけでも幸福感が高まる。119人の日本人女性のうち71人に対して、自他に拘らず身近で経験した他者への深切行為を毎日ノートに記録し、回数と内容を把握する作業を一週間行ってもらい、残り48人には何も指示せず、それぞれ前後において、幸福度を数字で示してもらった。すると後者に目立った変化はなかったのに対して、深切行為を数えたグループでは、全員の幸福度が上がっていたそうだ」というものです。

幸福度が上がった理由は、「深切行為をしたり、されたりするだけで、神経物質オキシトシンが脳内に分泌される。このオキシトシンは乳児に乳房を吸われたとき、母の脳内に分泌される物質で、優しい気持ちを起こして親近感を強め、幸福感を高める効果がある」からなのです。

自分で深切な行為をすることが一番素晴らしいものですが、他の人から深切にされたことに気付き、感謝する気持ちを持つことも大切なことです。そして発見は、自分に関することでなかっても、他人が他人に施している深切行為を見て、それが深切行為であることを感じ、記録することも素晴らしいことだということです。

確かに、誰かの楽しい話を聞いたり、心が温まる話を聞くと、自分も同じように幸せな気持ちになります。自分が関与する深切行為には一日の中で時間的制約がありますが、他人の深切行為を見て、それを感じて自分で記録することは、自分が動いている中においても、自分が仕事をしている中でも実践できることです。

私も手帳に嬉しいことや楽しいこと、他から聞いた素敵な話を都度記録していますが、夜に自宅に戻り、その記録を読み返した時、幸福に浸れることが多々あります。つまり他人が他人にした深切行為を自分のものとして擬似経験できるからです。

私の場合、誰かから聞いた素敵な話や行為は、原則、その日の夜に自分のものにするために記すことにしています。その日に出会ったたった一言や、一瞬の行為に感動した場合、その言葉や行動に感動した意味を見つけて、自分の言葉で綴ることにしています。自分の言葉で表現することで、他人の言葉や行為が自分の心の栄養分となります。もしかしたら、その言葉を言った人が夜になると忘れている言葉かも知れませんし、何の深い意味もなかった言葉だったかも知れません。しかし受け止めた方が何かを感じたとしたら、それは記録して自分のものにすべきです。自分の心の中に深切な言葉、嬉しい言葉、励みになる言葉、他人に伝えたい言葉が蓄積されていきます。

そんな言葉達は自分の人生の宝物になります。いつか後に続く人達に、自分の人生で得た素敵な言葉を伝え贈りたいものです。伝えるべき言葉のある人生は楽しいものです。言葉は得がたい経験、感動体験、深切行為など、幸福度の高いことの中から生まれるものです。そんな経験、感動、深切から、自分が伝えたい言葉が生まれます。