和歌山県政記者クラブにおいて「GTEC2016」国際高校生テクノロジービジネスプランコンテストの記者発表を行いました。和歌山市内で開催する国際レベルのコンテストなので、多くの高校生の応募を期待しています。
本日は記者発表のために、曽我弘さんと能登左知さんの主催者二人が和歌山県まで来てくれました。
開催概要は既に活動報告に書いているので割愛しますが、シリコンバレー流のビジネスの考え方を学ぶ絶好の機会なので、和歌山県の皆さんにも関心を寄せて欲しいと思っています。
ビジネスで大事なことはビッグアイデアを出すことです。まずは何もないところから途方もないアイデアを発想できる力を身に付けることです。日本ではほら吹きなどと呼ばれることがありますが、アメリカでは途方もないビッグアイデアがビジネスとなり世界の市場に登場していますから、この方法を和歌山市で学びたいと思います。
アイデアをビジネスにするのは、フィールドに出て人々が困っているものを探し当て、そのニーズを基にアイデアを発想することから始まります。人々が困っていることを解決するための方法を考え、形にしていく過程が大事なことです。決して研究室で考えたものが人々の望んでいるものではありません。
しかし折角フィールドワークから発想を得たアイデアをアイデアのまま終わらせてしまうと人々は幸せになりません。アイデアを産業にして商品化し、世の中に送り出さなければ人々を幸せにすることはできません。ここで学ぶことは、ビジネスとは人々を幸せにすることを目指したものである必要があるということです。
アイデアが産業になって商品化され、市場で売れれば利益を得ることができます。その利益を次のアイデアを形にするための投資に回すことがシリコンバレー流のビジネスモデルだと言えます。
日本の高校生は大学受験のための勉強を意識していますが、アメリカの高校生は勉強と共に自分のアイデアが世界を変えられると意識しています。シリコンバレーの高校生はそんな意識を持って勉強と共にビッグアイデアを考え、ビジネスブランを考えています。世界を意識しているのと自分の成績を意識しているのとでは、進学後の行動が違ったものになるのは必然です。
日本の大学の研究室にいてアイデアが生まれた場合、補助金申請をするなどして研究を始めます。そのため補助金がなければ、或いは補助金が打ち切られたら、その研究は止まってしまいます。ビッグアイデアであっても形にならないのです。
しかしアメリカの場合はビッグアイデアをビジネスにしますから、お金を儲けることができます。お金を得ないものはビジネスではありませんし継続性はありません。お金を得られないと継続性もないものが世の中で広がることはありませんし、人々を幸せにすることはできません。ビジネス展開をするには、投資を呼び込み、商品化され、それが産業に発展することで世界の人々を幸せにできると意識することです。
儲けるとは再投資ができることであり、儲からなければそのアイデアは失敗だったということになります。しかし失敗とは経験であり勲章ですから、後々に生きてくるものです。
日本ではこのマインドセットがされていないので、失敗すると立ち直れないと恐れるのです。シリコンバレーには人がいます。人がいるということは投資を呼び込むことができます。お金が集まることでビッグアイデアは産業に発展することが可能です。しかしシリコンバレーにはアイデアを形にするために必要な全ての技術が存在している訳ではありません。不足しているものは世界中を探して集めたら良いという考え方です。不足しているから、技術がないからできないということはありません。
大切なことはビッグアイデアを生み出す人がいることです。その人がいると投資、技術と産業が生まれることになります。
和歌山市をビッグアイデアの集まる都市にすれば、投資と技術、そして産業が生まれます。いつの日かシリコンバレーに来た若者が、起業家達から「テクノロジーをビジネスにするなら和歌山市に行くと良いよ」とアドバイスされるようになっていると思います。今回の「GTEC2016」国際高校生テクノロジービジネスプランコンテストでは、そのことを目指すことにしています。
和歌山市は、やればできることを証明したいと思います。単純な実行力が大事なことで、計画を立てるだけでは何も実現できません。時々「和歌山市には何が不足している。○○をやらなければ」と言う人がいます。曽我さんは「不足しているものが分かっていて、それがあれば和歌山市が良くなるのであれば、あなたはそれを実行したのですか」と質問するそうです。文句や不満を言う人は実行力の伴わない人がほとんどです。
このように、単純な実行力がアイデアを形にするために必要な力です。しかしこの実行力は、力仕事なので思うほど簡単なことではないことも事実です。そのことを学び気付く機会にしたいと考えています。
最後に、主催者に和歌山市の良さを聞かせてもらいました。
- 関西空港が近く、世界に近い都市であること。
- 日本的な文化遺産が存在していること。
- コンパクトなまちでインフラが整っていること。
- 治安が安定していて、安全であり安心できること。
以上のような特長を話してくれました。まちづくりで参考になるものです。
和歌山県経営者協会の講演会があり、寺島実郎さんを講師に迎えていたので話を聞かせてもらいました。寺島さんから冒頭、和歌山県の特長を話してくれました。
- 異次元の眼力がある地域で、他府県から見ると畏怖の念を抱く存在であること。日本史にとって異彩を放っているのが和歌山県だそうです。
- 黒潮の流れによって恵まれた地域であること。黒潮がもたらせてくれる恵みが、古代の日本をリードしてきました。黒潮に乗って人やモノがこの地域に集まっていたのです。
- 日本史に輝く人物が登場していること。空海と南方熊楠がその偉人です。二人は日本史に残る重厚な異端で他に類を見ない人物です。そんな人物を輩出した畏怖の存在感のあるのが和歌山県です。
つまり古代史から紀州は歴史に登場している地域で、都から見ると異端であり、しかし黒潮に乗って人とモノが集まり、情報も集まった地域だったと言えます。異彩を放つ地域が和歌山県と言うことです。
さて経済の実態です。21世紀に入ってからの日本の家計消費構造の変化のデータを読み解いてくれました。2000年から2015年の15年間の消費支出の変化を月額で見ると時代が読み取れます。
消費支出が増加している上位にあるものは、諸雑費と通信、自動車などです。諸雑費とは日常生活に不必要なもので、例えばハロウィーンやクリスマスのパーティセットなどです。通信とは携帯電話の利用が増えていることであり、自動車は地方都市において車が増えていることを示しています。地方都市では公共交通が不便なため軽自動車の増加があります。
それ以外に増加している消費は、保健医療サービス、健康保持用摂取品、医薬品などがあります。健康に気を付けていることが分かります。
逆に消費が減少している項目は次のようなものがあります。
こづかい、交際費、仕送り金、授業料、教養娯楽用耐久財、書籍、教養娯楽品などがあります。こづかいと交際費が減少していることは、人の活動が能動的でなくなっていることを示しています。観光でもインバウンドは増加していますが、アウトバウンドは減少しているように、日本人はアクティブでなくなっています。
また教育関連予算の減少は、人が学ばなくなった、学べなくなったことを示しています。21世紀は内向性の時代になっていると言えます。
またアベノミクスの三年間の総括について客観的事実で示してくれました。数値は2012年平均値と2016年1月のものです。
- マネタリーベースは121兆円から355兆円と、2.9倍の伸びを示しています。なお2009年のマネタリーベースは98兆円だったことを思うと、通貨が急激に増加していることを示しています。
- 貸出残高は397兆円から434兆円と、9.3パセントの増加となっています。
このことから日銀から金融機関に対して通貨が供給されていますが、市中にお金が回っていないことを示しています。民間企業の資金需要がないとうことは設備投資などの投資計画が少ないと言うことです。日銀は資金を供給していますが、資金需要はないと言うことです。 - 勤労者可処分所得は42.5万円から42.7万円となり、0.5パーセントの増加です。
- 家計消費支出は28.6万円から28.7万円と0.3パーセントとの増加となっています。つまり実体経済は動いていないことを示しています。
所得が増加していないのは、この15年間の産業間の就労者の移動によって所得に変化が生まれているからです。データで見ると、製造業はマイナス286万人、建設業はマイナス153万人に対して、広義のサービス業は583万人の増加となっています。中でも福祉業で330万人の増加、宿泊飲食業で20万人が増加しています。
所得で見ると、広義のサービス業の平均年収は359万円となっています。この所得は建設業と比べるとマイナス97万円で、製造業と比べるとマイナス92万円となっています。
また福祉と宿泊飲食業の平均年収は252万円ですから、建設業と比較するとマイナス204万円であり、製造業と比較するとマイナス199万円の減少となっています。就労形態の変化によって所得が減少しているので、消費は伸びていないのです。
このデータは、豊かな生活をするための産業基盤になっていないことを表しています。そこでサービス業の高度化を図ることが課題です。
アベノミクスの金融政策は失敗であり、今度は財政出動を行っています。マイナス金利にすることで赤字国債を発行し始めています。後の世代に借金と言うツケを回している現状は良くありません。
本当に必要なものはマネーゲームではなくて産業構造を改革することですが、何も行っていません。19世紀の農業から20世紀は製造業へと産業構造を変えて所得を増加させたような産業構造の変化を第3の矢とすべきですが、大事な改革ができていないのです。
アベノミクスの3年間を総括し、マネーゲームはしているけれど実体経済復活のために必要な産業構造改革はできていない状況であると伝えてくれました。このことは、世界での経済国としての地位低下は勿論のこと、アジアでも地位が低下していることから現実です。
アジアの中で日本の人口一人当たりのGDPはシンガポール、香港に次いで第3位となっています。日本は香港にも後れを取っている現実を覚えておいてほしいものです。
時代認識と課題に関して勉強になりました。
平成28年度の海草・向陽同窓会運営協議会に出席しました。平成27年度の決算報告や平成28年度の事業計画と予算案、平成28年度の同窓会総会の日程決定などの報告があり承認されました。また平成28年度役員体制も一部変更し、同窓会長は継続ですが副会長を新規に追加しました。その中の一人として推薦をいただき、平成28年度は副会長として活動することになりました。平成27年度に100周年を迎えた伝統ある海草・向陽同窓会の副会長に推薦、そして承認してもらうことは栄誉なことであり、これまで以上に同窓会活動に取り組みたいと思います。