ここにいることが素晴らしいこと。そんなことを教えてくれました。この場所にいることは誰が指示したものではなくて自分が選択した結果であることは間違いありません。例え会社の人事異動によって、希望しない事業所に赴任することになったとしても、それはその会社を選択した自分がいるから、やはり自分が選択した結果なのです。
今ここにいる自分が、人生における最高の自分でありたいと思うのは全ての人の願いです。しかし現実は、今よりも素晴らしい明日を追い求めていますから、今が頂点だとは思っていない人が多いのです。今よりも素晴らしい明日を目指すことは大賛成です。しかし今いる場所を素晴らしいものにしないと、素晴らしい明日は突然に出現するものではありません。
今立っている場所は自分で選択できるのですから、今を最高にすることは自分でできることなのです。
実現することなく突然終えてしまったマイケル・ジャクソンのロンドン公演の同じ舞台に立ちたいと願ってオーディションにやってきた人たち。素晴らしい明日を目指すために、最高の今の中に自分を存在させたいと思っていることが登場人物達のスクリーンの中の表情から判りました。
今のリハーサルの舞台は明日につながる舞台なのです。人生は毎日が本番の舞台ですが、そこにはメリハリがあります。受験の日、契約が決まるかもしれない取引先の会社での発表の日、議会の一般質問の日などが本番の舞台だとすると、それに備える日々がリハーサルの日なのです。そのリハーサルの日が最高のものでないとしたら、本番は最高のものに仕上がることはありません。リハーサルで最高の状態に仕上げておくことで、緊張感のある本番の舞台を120%に完成させることができるのです。緊張感は最高の自分をさらに高い所に引き上げてくれる作用があります。世界の最高の舞台であるオリンピックや世界陸上などで、世界記録が生まれるのはそのためだと思います。
議会の一般質問でも、リラックスした練習の場面よりも議場に立っているが緊張感はあり、その結果、原稿以上の質問をすることができるのです。
さて幻に終わった2010年のマイケル・ジャクソンのロンドン公演。世界中から集まった才能は、素晴らしい明日を迎えることなく、今を終えました。今と言ってもマイケル・ジャクソンと同じ舞台に立てた最高の今を毎日迎えられていたのです。残念な結末ですが、大きな夢を抱いてやってきて勝ち残った自分に満足している筈です。
その時を迎えられなかったのですが、その時を迎えるために全力を尽くした今があったことは、最高の自分に近づけたのです。シンガーやダンサーにとって最高の目標である人物と同じリハーサルの舞台に立てたことは、もしかしたら毎日が緊張感のある本番の舞台だったのかも知れません。
何のために厳しい練習を続けたのか。その答えは意外に簡単でした。「THIS IS IT」そのためだったのです。私達も「THIS IS IT」と言える毎日を過ごしたいものです。