偶然ですが、ノーベル賞を受賞したMIT教授の利根川進さんと、京都産業大学教授の益川敏英さんの対談した記事を読みました。(読売新聞2009年10月16日)。主に若い世代に呼び掛けた内容でしたが、普遍的なものだと感じました。
利根川教授は、「努力の遺伝子は見つかっていない。やりがいのあることを見つけることだ。親は子どものいい所を見つけほめることだ。けなしたら努力しなくなる。ほめることは報酬だ。脳は一番ハッピーなことを求める」と話していました。
世の中は努力をし続けている人がその分野で伸びてきます。これは変わらない原則だと思っています。持って生まれた才能よりも努力し続けられる才能が勝っているのです。その努力というものは遺伝子の中にないものですから、意志の力だと思います。意志の力が物事を達成するために最も必要な力なのです。持って生まれたものはみんな違っていますが、生まれてからの意志の力は個人としての競争ですから、誰かに文句を言う筋合いのものではありません。
努力の遺伝子はありませんから、意志の力である目的に向かって努力し続けることが、世の中で勝ち抜ける秘密なのです。世の中は以外と公平なもので、努力、意志、継続する力が必要三原則だと考えたいものです。
また益川教授は、「自分の進む道はあらかじめ決まっているものではない。最高の恋人が、神様が決めたように存在するというのはうそ。決心できるかどうか。決心できた瞬間、その人が恋人となる」と述べていますし、「高眼手低ということわざがある。本来は、批判はうまいが、実際やらしたら下手という意味。しかし、目標を高く持ち、下の方から手を付けていけと考えろと、数学の先生に教わった」とありました。
これも世の中の原則です。誰も最初から進むべき道を持っていません。好きなことや尊敬する人物に憧れて、または世のため人のためを思って、進むべき道を決めていきます。
そこには意志の力が潜んでいます。ですから運命に導かれるように予め自分の進むべき道が予定されているものではなくて、迷った末に決心したことによって運命という歯車は組み替えられるものなのです。決心し意志表示した瞬間から、その決心に基づいた通りに世の中は動きだします。重大な決心したことがある人には、その原則が存在していることが理解できる筈です。自分にとって最高のものの獲得に向かうためには、決心することなのです。
そんな自分の決心が揺らぐのは他人からの批判です。批判の力は決心を曲げてしまう恐ろしい力を持っています。しかし重大な決心をした経験のない人は、他人を批判することに長けています。「批判するなら自分でやってみたら」と言いたいこともありますが、批判に批判で対抗すると自分をその位置に引き下げてしまいますから、それは止めておくべきことです。
決心した瞬間に世の中が動き始める。この感覚を一度は体験したいものです。