和歌山ゴールドライオンズクラブ小倉会長と話した時のことです。一緒に作業所の訪問を行ったのですが、直接作業所を見て懇談したことで、実態を把握してもらいました。直接訪れたことで、ライオンズクラブとして支援することの必要性と正当性を理解していただきました。
小倉会長が、市内のライオンズクラブに訪問した結果と支援の必要性を伝えてくれるのですが、「直接見ないと現場のことを伝えるのは難しいですね」と話してくれました。
全くその通りです。現状を見たことがない、当事者と話したこともない人に、現場の状況を正確に伝えることは困難なのです。
例え感じ方が違っても、一緒に現場を訪れることが良いのです。行っていない人に現場の空気を伝えることは、どれだけ言葉を尽くしても難しいことに変わりはありません。
勿論、役割分担がありますから全員が同じ行動をとることは効率的ではありませんから、代表者が現場に行って見てきたことを伝達することは有効な方法です。ただ現場の生の声と実態を見た感覚を共有することは困難です。
代表者が見てきたことに賛同してくれると良いのですが、非建設的な反対意見があると大変です。そんな事態に備えて、現場を訪れた時にはたくさんの質問をすることになります。それぞれの作業所の実情を知っておかないと、他の会員から支援する意味の説明を求められた時に答えられないからです。
人を説得するためには、まず現場を訪れて実態を知っておくこと。その空気を感じておくこと。話し合っておくことなどが大切です。それをしておかないと説明に迫力は出ませんし、質問に答えられません。
人前で話をさせてもらう時も同じです。
他人から聞いた感動的な話を自分の言葉で人に伝えようとしても、感動的な話にはならないことが多いのです。それは自分が体験していないからです。現場で感動体験した人だけが、その感動体験を人に伝えることができるのです。
理由は簡単です。現場の情報を100だとすると、現場体験をした人が他人に伝えられるのは、50もあれば良い方だと思うからです。でも言葉にするのは50であっても潜在部分に言葉にしていない50がありますから、話にかなりの余裕があるのです。例えば話を終えた後に質問があっても、その大部分に対応することは可能になるからです。
ところが他人の感動話を聞いた私がそのことを他の人に伝える場合、50を基にして話をしますから、相手に伝えられる情報は20から30位になると思います。現場では100のことなのに伝えられる情報は20だとすると、どれだけ感動的な話であっても、その情報量で相手を感動させることは難しいのです。
何よりも現場を体験していないので、話していても状況が浮かばないので拡がりがないのです。そのことは話している自分が一番よく分かります。私も他人の感動話を引用させていただいて話をすることがありますが、自分が思っている程、反応や食いつきは良くありません。
それよりも、小さくても自分が体験した感動話をする方がずっと反応は良いのです。自分の体験を自分の言葉として相手に伝える。これが感動を伝達する方法です。
体験を重ねること、現場を訪れることが相手を説得するための最強の方法であり、規則やルールを変える際には力を発揮します。