678.チャンス

 お昼休みにあったふたつの応対の違いについて勉強になることがありました。会社にとっては12時から1時までの時間はお昼休みですから貴重なひと時ですから、お客さんからの問い合わせに対する仕事をしたくない気持ちは分かります。

 ところで和歌山市内に別荘を持っている方が久しぶりに別荘を訪れました。ところがその別荘を暫く使用していなかったため水道から水が出ませんでした。和歌山市に知人は少ないので、私のところにSOSの電話が来たのです。早速知っているリフォーム会社に電話をして事情を話して応援を求めました。

 ひとつの会社は、「昼休みだからすぐに対応できないね。行けたとしても遅くなるよ」との応対でした。「残念ですね。また今度お願いいたします」と答えて電話を切らせていただきました。

 電話をかけたもうひとつの会社は、「困っているようなので今から直ぐに伺います。場所を教えて下さい」との応対でした。

 直ぐに別荘に駆けつけてくれて対処してくれたことを、別荘の主は喜んでくれました。

 その後のことです。

 次の日の夜に100人以上の経営者が集まる懇親会が、別荘の持ち主の会社で開催される予定になっています。全国から社長が集まってくる絶好のビジネスチャンスです。私は招待を受けていたのですが、今日別荘に駆けつけてくれたリフォーム会社の社長も招待してくれることになりました。何がチャンスにつながるかは分かりませんが、緊急時の応対の違いが、その後の展開を違ったものにさせているのです。

 次の日のパーティでリフォーム会社の社長は、別荘の持ち主と懇談する時間をたっぷりと取ることが出来ました。仕事だけでは得られない信頼という価値を勝ち得たようです。

 緊急の仕事を仕上げた後に、間髪を入れずに話し合う機会を得ることは、その後に向けた大切なことです。

 別荘をお持ちの社長は「請求書を送っておいて下さい。別荘の管理も含めて今後とも色々お願いしますね。」と微笑んでいました。この社長個人の年収は数億円ですから、リフォーム会社としては大変なお客さんになってくれる可能性があるものでした。

 お昼休みの休息の一時間は価値ある貴重な時間です。しかしお客さんからの問い合わせは黄金のような価値を持ったものも潜んでいます。お客さんから問い合わせをいただけるのは、自分を信頼してくれているからなのです。相手の立場に立って行動することが信頼に応えることに他なりません。

 即座に出来ないと窓口で断るのか、一旦依頼を受け止めてから実施の可否を確かめるのかは大きな違いです。一旦受け止めるということは、少なくとも、相手のために何かの行動を起こそうとする気持ちを持っているからです。相手の気持ちに応えてくれる人の元にはチャンスが飛び込む可能性があるのです。


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