675.動く

 ある企業間の人事担当の方に求めている人材について聞きました。それは勉強ができる人は求めていないのです。理由は明確です。勉強が出来ても一人の力に過ぎませんから、それよりもチームで仕事ができるためにコミュニケーション能力のある人材を求めているからです。時代は、コミュニケーション能力と人の気持ちになって対応できる能力を持った人材を求めています。

 付け加えるなら、集中力と体力、そしてフェアプレイ精神のある人材が望ましいのです。これらの能力は企業内研修で身につくものではなくて、学生時代に身に付けておくべきものです。知識は社会に出てからは、その気になればどれだけでも身につけることが出来ます。ところがコミュニケーション力、思いやりの力、集中力と体力などは、人格と心身とも完成してしまった大人になってから身につけることは容易ではないのです。現時点では知識で劣っていたとしても、集中力と体力があれば将来、追い越すことは可能なのです。極端な例ですが、知っているある企業ではスポーツクラブに所属していた人材だけを採用しています。それはスポーツクラブに所属していた学生は、コミュニケーション能力、集中力と体力、そしてフェアプレイ精神を身に付けているからです。企業内で鍛えた分だけ成長する余地があると人事担当者は見ているからです。

 ところで動く(活動)ためには何をしたら良いのでしょうか。動くために必要なものは休息ではありません。動くためには動かなければならないのです。やる気がない場合は休息していてもやる気は出ません。やる気が出ない場合も動けば良いのです。

 会社員にとって月曜日の朝起きるのが辛いのは、土曜日と日曜日の朝が遅いことと、ゆっくりしてしまっているからです。土日曜日も動いていたら、月曜日が起きにくいことはないのです。怠惰な時分は次の日の自分をより怠惰にしてしまいます。快活な自分は次の日の自分を元気にしてくれるのです。

 通勤で最寄りの駅から会社まで歩いていても、飲み会の翌日や雨の日にはバスやタクシーに乗ってしまうことがあります。その日だけにしておけば良いのですが、怠惰は怠惰を呼び起こしてくれますから、気を付けておかないとその日以降はタクシーで会社までとなってしまいます。

 動くことが、腰を軽くして動くこととやる気を持つために必要なことです。動いているとアイデアが出てきます。机の上だけではアイデアは乏しくなりますから、行き詰った場合は歩くことです。

 疲れたら歩いてみること。行き詰っても歩いてみること。アイデアが欲しい時には席を立って歩いてみること。歩くこと、動くことが身の回りで起きている問題を解決するための手段なのです。

 つまり問題に直面した場合は、自ら行動を起こすことが最も大切なことなのです。


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