カブトムシが大好きな子どもが、カブトムシの観察記録を書いています。好きなことなので張り切って書き始めました。最初の一日は一ページ分も書いていましたが、二日目、三日目と日が経つにつれて書く分量が少なくなっていきました。四日目になると書くことがなくなったと話してくれました。その理由を尋ねると、「変わったことがなくなり、同じことばかりだからです」と答えてくれました。
好きな事であっても毎日書き続けていると徐々に書くことがなくなります。書くことがなくなると好きなことが苦痛になってしまうのです。それほど同じことを毎日続けることは難しいのです。
しかしその時点で記録することを止めてしまうと成長はありません。記録し続けることが努力する才能と言えます。優れた偉人の伝記では、単調な研究の繰り返しのことが書かれています。
野口英世博士は細菌の研究を繰り返していました。毎日顕微鏡を眺めていても新しい発見はありませんが、その単調な毎日を続けられる粘り強さが努力する才能なのです。毎日、記録することから、やがて新しい発見に続くのです。いきなり、取り組み始めて新しいことを発見することはありません。記録することを続けていなければ、何が新しいのかそうでないのか分からないからです。資料や文献を頭に入れていても、自分で調べないと新しいことは見つけられないのです。
カブトムシについて書くことがなくなった子どもへのアドバイスです。
書き続けることは難しいでしょう。好きな事でも続けることの難しさが分かったと思います。新しいことを見つけることは、そんなに簡単なことではありません。
カブトムシも毎日同じ行動をしていると思いますから、観察記録を続けるためには丁寧に記録することが必要です。例えば、観察記録に温度や湿度、天気などを付け加えておくと、もしかしたらそれらの条件によってカブトムシの行動に変化があることに気付くかも知れません。その結果、気温が30度の時に一番餌をよく食べることが分かるかも知れません。晴れの日と雨の日では行動に違いがあるかも知れません。単にカブトムシ動きを記録するだけではなくて諸条件も記録するとこで、何がどうなると行動に変化が現れるのか結果が導かれるのです。
調査対象としているものを毎日記録することで、条件などによる違いを発見できるかも知れないのです。研究は地道な観察と記録を継続することなのです。世の中は決して派手なことが溢れている訳ではなくて、地道な活動の積み重ねの結果が脚光を浴びるものなのです。地道なことを繰り返すことだけが大きな成果を生み出すのです。
それでも書き始めて数日で、観察記録を続けることの難しさを感じた事は大きな勉強になりました。これは観察記録を書き始めなければ気付かなかったことです。そして記録して新しいことを発見するためには、諸条件も記録しておくことが大切であることも学びました。観察記録のノートが厚くなると共に、子どもは新しい発見をし成長していきます。
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