608.信頼が全て
 世界を相手に活動している方と懇談しました。アングロサクソン的な経済活動が世界を席捲していますが、成果を挙げるのは取引価格だけではないようです。価格も大切な要素には違いありませんが、それよりの大切なものは信頼関係です。世界を相手にビジネスをするには何よりも信頼関係です。兄弟のような衣食を共にするような関係が信頼関係と言えるかも知れません。

 今日もこのような問いが多くありました。「その相手は信頼できる人ですか」。「その人と知り合って何年ですか」。つまりあなたは信頼しているけれども、私がまだ見ていないその人は、信頼に足る人物ですかと尋ねているのです。
 ビジネスで最も大切なことは信頼であり、決して裏切らないことです。仮に失敗を感じる展開になったとしても信頼する相手は最後まで信頼し続けることが次につながります。

 一見、数字が全てのように思えるアングロサクソン的市場経済圏でもビジネスの根本は信頼関係ですから、現在の日本のように数字が信頼や長年の付き合いよりも有利に傾くのは、長期的に見れば得策ではありません。
 世界でビジネスをするためには、一に信頼、二に信頼、三に本物、四でやっと数字といったところでしょうか。
 難しいのは信頼を得るまでには、相当の時間が必要なことです。それをショートカットしようとすれば、信頼できる人とパートナーとなることです。大抵の場合、ここで問題が起こるそうです。ビジネスの成果が表れると、依頼者が自分ひとりで仕事を仕上げたような気になり、パートナーがいなくても成果を挙げられたと勘違いすることです。ですから報酬の支払いをケチることが多くあります。

 でもそれは間違いです。発明者や起業家も素晴らしいのですが、実は、世の中には役に立つも発明品や世界を変える発明は石ころのように数多く存在しています。その人にとって世界一の価値を持つと信じているものでも、世界では珍しくも何ともないのです。ですから、発明者や起業家が世に出るためには、それをつないでくれた人を信頼してくれる投資家や世に出すために尽力してくれる人が同等以上に素晴らしいのです。何故ならモノになるかならないものに投資するには、相当のリスクを抱えるからです。
 発明者と投資家、そして仲介者は同じだけ重要な役割を果たしていることを忘れてはならないのです。比率で言うと全員33%オール。発明者や起業家が成果を世に出した後に、その技術や製品が自分達のものだと勘違いすれば、もう後は続きません。その理由は簡単です。世界のビジネスは信頼で動いているからです。その世界で信頼されている人を使うだけ使って、成果を挙げた後は知らないと言うような人は相手にされないからです。信頼を失った人は、その後、再び二度と成功することはありません。
 信頼が世界の全て。このことを忘れないようにしたいものです。

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