604.伸びる子
 公立小学校は夏休みですが、学校の先生には夏休みはありません。子どもの頃には、学校の先生は夏休みがあるから良い職業だなぁと思っていましたが、長期の休みがあるのは生徒だけで、先生はカレンダー通りで休みはありません。基本的に学校に出勤しているか、夏休みの期間を利用した研修会に参加しているかのどちらかです。

 プールで生徒の声が響き渡っている中、市内の公立小学校にお邪魔しました。懇談した先生と、教育問題に関して意見交換しました。
 共通した認識ですが、伸びる生徒は性格では素直なこと、生活面では計画を立てて計画に基づいた勉強や生活ができる生徒です。

 性格は優しくて、感謝の気持ちを伝えられることが絶対に必要です。優しくなければ強さはありません。優しさの中に包まれた芯の強さがあることが伸びるための条件です。そして感謝の気持ちを持っていることです。何でも自分ひとりでやり遂げられると思っている人もいますが、絶対にそんなことはありません。周囲の支えがあるからこそ、勉強ができますし友達と過ごすことができるのです。自分の周囲には家族、兄弟、学校の先生、見守ってくれている地域の皆さんの存在があることを知り感謝の気持ちを持ち続けている生徒は伸びる子どもです。その時だけ感謝するのではなくて、感謝の気持ちを持ち続けることが大切なのです。

 先生は、その辺りのことは良く分かっています。ある事例ですが、先生がある生徒に対して「昨日の保護者懇談会に、急がしい中にも関わらず親が出席してくれたので、帰ったらありがとうとお礼を言っておいてね」と伝えると、その生徒は「今日、学校に行く時に、親から先生にありがとうって言っておいてと言っていたよ」と答えたそうです。
 先生は、この家族は感謝の気持ちを持っているので素敵だと感じたそうです。両親が他人に対して感謝の気持ちを持っている家庭は、子どもも他人に感謝することを自然に身に付けています。幸か不幸か、家庭環境が子どもの性格形成に大きく影響を与えているのです。子どもは親の鏡ですから、親が他人に対して感謝の気持ちと優しさを持って接したいものです。

 次に計画に関してです。計画と実際の行動にズレがあっても全く問題はなく、出来なかった場合にはその理由を自分で理解して修正できる能力があれば良いのです。修正できる生徒はその次の計画も立てることができます。
 そして最後は集中力です。決めたことを時間内でやり遂げることが集中力です。試験は制限時間がありますから、時間をかけて問題に正解しても実践では役立ちません。制限時間内で正解を求めるのが試験ですから、集中することが肝心です。尤も、試験の時だけ集中できる筈はありませんから、勉強においても時間を決めて問題を解くだとか、予定を定めて勉強するクセを付けておくことが大切です。

 生徒のことですが、大人にも役立つ教訓ばかりです。他人には優しさを持って接すること。感謝の気持ちを常に持っていること。計画を立てられることと修正能力があること。そして、ここぞという時には集中力を発揮することです。子どもに言うのは簡単ですが、言う立場である大人も、これらの能力を身につけたいものです。

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