東京で水質管理に関する会合があり、和歌山市内からもお二人の方が参加してきました。この会合には全国から参加者が集まってきたそうです。今論じられている水質管理の問題は工場だけの問題ではなく、福祉施設やホテル、学校など水を扱っている事業者全てが考えなくてはならない問題だからです。水の汚濁防止、飲み水の安全性の確保、そして浴槽などの水質管理など、私達の身体を守り健康を維持するための水質管理の重要性は高まっています。
その証拠に、某県の知事、大手飲料水メーカー、銀行、生命保険会社など様々な業種から参加していたのです。
参加した人からは「会場にいると熱気を感じた」と聞きました。企業として地方自治体として、人の生命と健康を守り社会貢献するための水質管理に万全を喫したいとの強い意欲を感じたからです。同じ志を持つ人が集まると同じベクトルの熱を発しますから、目的に向かってのエネルギーの量は増大します。これらは報告書には現れないもので、現場に居合わせた人だけが感じるものです。ですから大切な用件や報告会の場には極力出向いて、その熱意を体感することが必要なのです。
「東京では熱を感じたけれど和歌山県に帰ったら誰も関心を持たないので、何となく意気消沈しそうになります」と感想を話してくれましたが、地域が有難くない消火作用の役割を果たすようではいけません。
地域に熱があることが活性化の最大の要因です。熱がある地域とは熱意を持った人が存在していることです。まちづくりや祭り、環境保全や福祉事業などに加えて、これから始まるであろう水質管理の分野でも同じです。熱意を持った人が熱意を持ち続けられるだけの地域力が欲しいものです。
「今までの経験からすると、この取り組みがモノになるまでには13年はかかると思う」と所見を伺いましたが、大きな取り組みを成就させるためには時間がかかります。東京の会合に参加したAさんは、今までも全国を駆け巡って、その地域に残るような大きな事業を手掛けてきた実績があります。それらの経験からすると、当該事業を地域で受け入れてもらい着手し、定着させるまでには13年を要するとの考え方を持っています。ひとつの仕事を13年もかけてやり遂げるには、長期間耐えられるだけの精神力が必要なのです。
そしてひとつの仕事に13年も関わることは、人生の大切な部分をその仕事に費やすことを意味していますから、失敗は許されないのです。仮に社会的責任ある仕事を任される30歳代から大きな仕事に関われたとしても、生涯で受け持つことができる仕事は精々3つぐらいとなります。ですから今ある仕事に全力を尽くすことが人生なのです。
今直ぐの効果が期待できないものであっても、将来に向かって地域の環境保全を図るためには、それでもだれかが実行しなければならないのです。新しいことの推進役を担うには、強固な壁に立ち向かう覚悟が必要です。まさに水の如く、壁に少しずつの力を与え続けて窪みから小さな穴へ、そして貫通させるだけの時間を要するのです。
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