582.Change
 2008年6月4日、ヒラリー・クリントン上院議員の選対陣営は、大統領候補指名に向けた選挙戦からの撤退を7日に表明することを表明しました。このことからアメリカ大統領選に伴う民主党候補者がバラック・オバマ上院議員に決定となりました。夏の民主党大会で指名を受け、2008年11月のスーパーチューズデーに向けて最後の闘いに挑むことになります。始めてのアフリカ系大統領候補を民主党が選択したことに希望を感じるものです。

 「Change」オバマ候補のキャッチフレーズですが、言葉が簡単で目的が分かりやすいのが特徴です。時代は変化を求めています。時代の変化を訴えることが相応しい候補者が、この若い候補者だったのです。
 何人かの人と大統領選に関して話し合う機会がありますが、ヒラリー・クリントン候補が大きく世論をリードしていたのに大逆転した要因は何なのでしょうか。これから分析が始まると思いますが、「Change 変化」と「We 私達」の言葉が受け入れられたことも要因に数えられると思います。

 長引くイラク戦争の後始末。サブプライムローン問題による経済不安。これらを強力に払拭してくれるだけの変化を求めたいところです。改革ではなくて変化なのです。そのためには過去から積み上げてきた実績よりも、変化への期待が高い未知数のものに期待したくなります。同じベクトルの延長よりも、今までとは違うベクトルへと変化させたいと願っていると思います。

 そして「We 私達」です。「私が」、「あなたが」と言うよりも「私達が」と言う方が同胞意識は強くなります。「一緒にやらなければ」と思ってくれる人が増えることが力となるのです。「Yes We Can」。簡単な言葉ですが、簡単だからこそ唱えやすく、唱える人が増えるほど、そこに力が込められていきます。

 どちらもシンプルな言葉ですが、思いが強いほど言葉が複雑になりますからシンプルにそぎ落とすことは結構、困難なのです。それをやってのけて史上稀に見る接戦の末、若い候補者が民主党の大統領候補になったことが歴史の第一章になりました。この後、どのようなドラマの展開になるのか予想できませんが、「私達」が「変化」を求め続ける限り、ストーリーは続いていくのです。
 歴史を作るのは私ではなくて私達ですし、変化の連続が成長の歴史なのです。

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