北川正恭前三重県知事は現在、早稲大学大学院教授の傍ら政治改革のための「せんたく」を立ち上げています。「せんたく」とは日本を今一度洗い流そうとする政治改革の志を示したもので、いま北川教授が最後の挑戦をしています。
現在の日本は官僚支配国家で、これを政治が主導する国家へと変革する必要があります。
官僚が支配する国の形式を社会主義と呼び、政治が主導する国の形式を民主主義と呼び変えたら分かりやすくなります。戦後63年間、途中政局の変化はありましたが、概ね一つの政党が支配している近代国家は世界中で存在していないので、わが国は極めて政治的には珍しい国だそうです。
権力は批判され、チェックされ、そして行き過ぎたら交代するのが民主主義の機能ですから、その形が不完全であることが危うさなのです。わが国ではそれに慣れていないため、政権交代には不安感が付きまとっている様子もあります。それは国会でねじれ現象があるから国会運営に支障が生じ、何も決められないとの意見があることから明らかです。今までなかった現象ですから私達は不安感があるのです。しかし一度体験し、慣れてきた後は不安感の中から真実を見つけようとする筈です。
民主主義とは速度が遅いものなのです。意思決定は多数決ですが、多数決に至るまでに議論を交わし、少数意見も良く聞いて多数決することが民主主義なのです。決定した精神の中に少数派の考え方も含めるよう心掛けることが大切なのです。数で押し切るやり方は民主主義とは言いませんが、私達はそれに慣れているため今の停滞に困惑しているだけなのです。目指すものは私達国民の幸せの実現ですから、そこに辿りつくまでの考え方に違いがあっても目的地は同じですから、私達の考えを伝えていけば、相当長い時間が必要ですが確実に理想に近づきます。民主主義は進行形で完結形はありませんから、初めての体験を繰り返しながら成熟していくものと考えています。
北川教授は、1989年に政治改革を誓って、県会議員、国会議員、そして三重県知事としての活動を続けてきました。改革の志は今も持ち続けていて、いま日本を「せんたく」する活動を提議しています。志を持って20年が経過しました。三重県では改革派知事として活躍しましたし、政治家の公約をマニフェストとして公表することを定着させました。現在の政治改革の基礎を作ってくれています。そして過去を一掃し、政治が主導する国づくりのために立ち上がっています。
でも北川教授だけがハリケーンを呼び起こす蝶々ではないのです。私達全員が微風なら起こせる蝶々なのですから、今日の話を聞いて「良かった、良かった」だけで終わってはならないのです。良かったと思ったら行動することが大事です。どれだけ「良い講演」を聴いても時間の経過と共に意識は薄れていきます。行動することだけが「良い講演」の内容を活かすことなのです。一人の決意と行動だけが周囲を変えられますし、その微風が全国に拡がり大きな風となるのです。
北川教授はわが国の政治改革を行おうとしています。それと比較すれば「和歌山県改革は自分からできるでしょう」と話してくれました。そうなのです。人に任せるのではなく、自分から始めることが改革の一歩なのです。
寝ている地域と行動する地域では差が出始めています。議会も同じです。民意の力の差によって地域間格差はこれから一気に広がっていきます。体制を破ることは反逆と看做されることがあり辛い思いをすることがありますが、古い体制にしがみついていても地域力は後退するだけです。次の時代を築き上げるのか、時代の後に追従していくだけで遅れたままでいるのか、それは地域で判断することです。和歌山県が素晴らしくて今のままで良いと思う人が多ければ、いまの体制や、しきたりのままで良いのです。このまま寝ていても良いのです。でもそれではいけないと思うのであれば、起きて行動する必要があります。
もう起きて行動する時期なのです。
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