539.紀州レンジャーズ初陣
 平成20年3月30日、待望の和歌山県初のプロ野球チーム「紀州レンジャーズ」の初めての試合が紀三井寺球場で行われました。相手は独立リーグ、北信越リーグに所属で昨年度リーグ二位の強豪チーム富山サンダーバーズです。今日のために朝、富山県を出発して和歌山市に来てくれ、試合終了後帰りました。独立リーグの厳しさをうかがい知ることが出来ます。選手の一人と話をすると、厳しい環境の中でも試合が出来る喜びを感じている様子でした。

 さて紀州レンジャーズは、平成21年度に発足する独立リーグの関西リーグに所属することが決まっています。ですから将来に道がつながっている紀州レンジャーズにとって、今日の試合が最初の記念すべき試合でした。
 春の紀三井寺球場にプロ野球チームがやって来て試合をする光景は感動的でした。紀三井寺球場は高校野球やクラブチームの試合が組まれていますが、プロの試合を開催することは稀でしたから、今後、紀州レンジャーズ主催の関西独立リーグの試合は、ここで開催されると思うとワクワクしてきます。やはり箱モノには主が必要なのです。

 紀州レンジャーズのユニホームは黄色、富山サンダーバーズのユニホームは緑色ですから、派手でプロ野球らしい感じがしました。一塁側には吹奏楽の演奏が、三塁側には富山から来た応援団が鳴り物による応援を繰り広げ、盛り上がりを演出してくれました。

 また観客は約1,500人で、球場にはプロ野球チームが誕生したことへの期待感と賑わいが感じられました。和歌山県では地元でプロ野球を楽しむ文化はありませんでしたが、紀州レンジャーズの誕生は地域を変える可能性すら感じました。これからは、休日に独立リーグの野球の試合を、家族や友人達と楽しむ場面も多くありそうです。

 試合では地元チームらしい演出でスタートしました。男性デュオの「秋休」によるライブは試合前と5回裏の攻撃終了時の二回、紀州レンジャーの始球式や観客席での盛り上げ、そして皆さんへの選手紹介など、地元密着型のチームらしい始まりです。

 ところで紀州レンジャーズのテーマソング「夢のツバサ」は、「秋休」が作詞作曲をしてくれました。プロ球団らしいテーマソングを「秋休」が作成してくれて、盛り上げの一役を担ってくれています。今日は「秋休」がテーマソングも歌ってくれましたが、その時、紀州レンジャーズの選手たちがキャッチボールを中断して、大きく頭の上で手拍子のリズムを取り観客席に向かって呼びかけてくれました。後で「秋休」に聞いたところ、「紀州レンジャーズの選手が手拍子をしてくれたのは嬉しかった」と話してくれた程です。

 この紀州レンジャーズのテーマソングの「夢のツバサ」は、不安と挫折があっても夢に向かって何度でも立ち上がろうと呼びかけるもので、今スタートした県民球団の気持ちを見事に表してくれています。今年誕生した紀州レンジャーズも、メジャーデビューを目指している「秋休」も、今は小さな存在かも知れませんが、近い将来、それぞれ和歌山県と音楽シーンで欠かせない存在になると確信しています。部門は違っても競い合う良い関係で成長したいものです。

 ところで初陣は、富山サンダーバーズが紀州レンジャーズを8対2で下し、独立リーグの先輩の貫禄を見せてくれました。どちらも真剣勝負の見応えのある試合でした。敗れはしたものの一年後には、紀州レンジャーズも互角に戦える程に成長してくれている感触がありました。

 今日、関西リーグに向けてスタートを切った紀州レンジャーズ。ここに和歌山県民球団が誕生したことを素直に喜びたいものです。何もないところに可能性はありませんが、生まれたものには無限の可能性があります。

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