526.期待
 春は新人が社会に繰り出して来ます。新しい人がやってくると周囲の雰囲気は明るくなるから新鮮です。仕事の成果は兎も角、それだけで新人の値打ちがあります。
 そこで期待される新人が必ずいます。ではその期待とはどこから来るのでしょうか。
 山形浩生さんの著書から引用します。

 「期待ってのがどうやってできているのかというと、やっぱそれまでの実績は大きい。これまでグングン伸びてきたやつは、もうしばらくは伸びるだろう、とみんな思う」(『要するに』山形浩生著。2008.2.10。河出文庫)

 期待とは何か良く分かります。新しいポジションに着く新人はその場所で実績はありませんが、それでも期待の新人と、それなりに期待する新人とに分かれるものです。実績がないのに期待度が分かれる理由は、その前のポジションでの実績なのです。実績がある新人は、次のポジションでも期待が大きいものです。
 スポーツ新聞の報道が、プロ野球の新人選手の期待について端的に表しています。

 2008年のキャンプ、新人で最も注目されているのは北海道日本ハムの中田翔選手です。横一線の新人選手ですが、報道の扱いの大きさから期待度の違いは歴然です。理由は、アマチュア時代の実績が他の新人よりも飛び抜けているからです。例えある新人が隠れた実力の持ち主だとしても、アマチュア時代の実績がないと期待度は低く、大きく報道されることはないのです。つまり前のポジションでの実績の大きさが、次のポジションでの期待度につながっていることが非常に良く分かります。

 実績のない新人への期待はこのようなものです。そして職場での期待とは、その職場での仕事ぶりや成果なのです。最初から重要な仕事を任されることは滅多にありませんから、より重要な仕事を任されるためには、与えられた仕事は簡単だとしてもその仕事で全力を尽くして実績を残す必要があるのです。

 実績のない人に重要な仕事を任すことはありませんし、次のポジションは与えられることもありません。どの立場にいても、その仕事で実績を残すことで、次も期待されるのです。つまり「実績を残す→期待→次のポジションに移る→実績を残す→期待→次のポジションに移る」の繰り返しになるのです。
 「おれは期待されていない」と嘆くのは、与えられたポジションで期待される程の実績を残していないからです。
 「今の職場ではなくて、希望する職場に配属してくれたら成果をあげられるのに」と嘆いても、実績を残していない限り、期待度は低くなりますから、希望する職場への異動が叶えられることは、それこそ期待出来ません。

 何の実績もない人が期待されることはありませんから、いま置かれている立場で実績を残せるように全力を尽くしましょう。実績を残している限り、毎年、期待される人材になります。期待と実績同じ船に乗っているようなものです。自分と言う前に進む船に、期待と実績を乗船させるようにしましょう。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ