505.Mくんのこと
 平成20年新春なのに、予想もしない突然のご不孝の連絡が飛び込んで来ました。1月13日の午前2時、Mくんの奥さんがお亡くなりになったのです。享年32歳の若さでした。1年前に進行性の胃癌であることが判明し治療を続けてきましたが、無念にも力尽き果てたのです。若いため癌の進行が早かったのでしょうが言葉がありません。奥さんを失った同じ年のMくんの気持ちは察するに余りあります。夕方にお悔やみに出向いたのですが、先ほど病院から帰った奥さんは眠っているような顔でした。今にも起き上がってくれそうでしたが、閉じた眼を開けることはありませんでした。先輩や同年代の人がこの世を去る時も辛いものですが、年下の人が順番を飛び越えて先にこの世を去ることはあってはならないことです。

 Mくんは奥さんと家族との思い出を作るために北海道旅行に出掛けたりして、残された時間を大切に扱って来ました。三人の子どもの内、二人は小学生、ひとりは幼稚園なのです。子どもにとってもお母さんは欠かせない年代ですし、30歳代のMくんにとっても社会で活躍するために欠かせない存在なのです。何よりも奥さんの輝く人生はこれからだったのですが、その明日が今日を境に来なくなってしまいました。

 昨年のMくんの年賀状は、笑顔が溢れた家族の写真でした。その表情から回復している期待もあり、良かったなぁと思っていたのですが、残念です。昨夏の和歌山ロイヤルパインズホテルでのイベントでお会いした時も家族で元気そうだったのですが、その間も病魔は密かに進行していたのです。

 それにしても最近、周で癌と戦っている人が多いことに気付かされます。原因は環境なのか食生活なのか分かりませんが・・。そして癌を宣告された全ての人は、それ以降の人生に希望を持って生きています。永遠に続くと思っていた人生に限りがあることに気付くからです。その気持ちは分かりませんが、一日がダイヤのように輝いているのではないでしょうか。平気な顔をして今日を生き、そして明日がやって来ると思っている私達も、その日がダイヤのような日々であることを認識すべきなのです。きれいな日の中にいると、恨むことや嫉妬することはあり得ません。きれいな日の中では、誰もが輝いている明日に向かっていますから、希望と幸せだけが存在しているのです。

 身近な人は自らの生と死を通して、後に残っている私達に今日という日の素晴らしさを教えてくれているようです。人の死を無駄にしないとは、悲しみの後に希望を持ちづけることにあります。いつまでも他人と幸せの奪い合いの社会を生きるのではなく、全体が幸せになる社会を目指すべきなのです。奪い合うと幸せの総量は減少しますが、全体の幸福を目指せば幸せの総量は増えるのです。何故なら、幸せは幸せを呼んでくれるから総量は増えるのは必然です。それは笑顔は周囲の人を笑顔にしてくれますが、笑顔の中に不機嫌な顔をした人が一人でもいると、その場から笑顔が消えてしまうことからも分かることです。笑顔のある組織や地域に活力が宿り、輝くのは当然のことなのです。

 それにしても、光り輝く人生の途中で、行く道が消える悲しみの姿をもう見たくありません。心身の健康と心のやさしさが、幸せの総量を増やすために求めるべき価値観なのです。癌を周囲から無くすことを平成20年の新年の目標に掲げましたが、これは必ず実現させなければならないと強く感じています。
 Mくんに笑顔の日が戻りますように。そして奥さん、今まで本当にありがとうございました。あなたの意思を実現させるために、そして幸せな社会になるように志を持って前に進みます。余りにも早い旅立ちですが、あなたを知っている残った私達が未来を支えることを誓います。安らかに、そして清らかにお眠り下さい。

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