452.サービスレベル
 東京は一大観光地ですし、どこに行っても快適なサービスを提供してくれます。
 都内の百貨店などで商品の説明を求めると、気持ちよく丁寧に説明をしてくれます。結局、購入まで至らなくて「申し訳ございません。結構です」と話しても、「どういたしまして。ありがとうございました」と応対してくれます。態度と言葉。この二つの使い方で、お客さんに気持ち良くなっていただけますし、不機嫌にも導いてしまいます。

 東京から見た地方の観光地のおもてなしのレベルはどう映るのでしょうか。チェーン化を進めているところであれば、ある程度サービスレベルを保っていますが、地元資本のところはサービスレベルでお客さんの動向に変化が現れることから、レベルの向上に務めているようです。

 一番の違いは言葉の使い方です。お客さんに言葉を掛けると安心してくれますから、初めてのお客さんにはお店から声を掛ける必要があります。そしてお客さんの名前を聞く時は、自分から「私は当ホテルの○○とも申しますが、ご予約いただいているお客さまのお名前を頂戴出来ますでしょうか」。或いはホテルの従業員であることを証明する名札を着用するなどして、お客さんに不信感を与えるようにしない心掛けが必要です。

 一番失礼なのは、お客さんに名前を聞く場合に、自らは決して名乗らないで何度も聞かれることです。和歌山市に戻って来た今日も早速ありました。
 ある人を訪ね名前を告げたところ、先方の方が聞き漏らした様子で「どちらさん。どちらさん」を何度も繰り返されました。「二回、言いましたけれども」と問い返すと「聞こえませんでしたもんで。どちらさん」と、自分の名前を言うことなく、また聞かれました。これには苦笑でした。

 もうひとつは安心感です。タクシーなどの乗り物に乗ると、目的地を丁寧に確認してくれますし、交通ルールを守って走ってくれます。観光事業者や運送事業者は、お客さんに安心と安全を提供していることに気付くべきです。
 これも和歌山市に戻ってきて直ぐに気をうちました。タクシーに乗り行き先を告げたところ、その運転手は無言でした。聞こえているのか、行き先が確認出来ているのか、外観からは全く分かりません。

 そして機嫌が悪いのか、黄信号から赤に変わろうとしているのに、スピードを加速して交差点を潜り抜けます。後部座席で加速と減速のスピード感覚を同時に体験させてもらいました。
 一日で良い事例とそうでない事例のサービスレベルを体験することが出来たのです。

 和歌山市に観光に来てもらうための施策は重要ですが、来てもらってからがもっと大切です。観光客に対して、観光にかかわる事業者が不親切無愛想な対応をすると取り返しがつかなくなります。しかも一人でもそういう人がいると全てを失います。ですから、サービスレベルは高い水準で、全ての人が保たなくてはならないのです。それも一人の例外もなくです。

 観光都市和歌山への道のりは決して容易ではないことを感じていますが、先進地のサービスレベルを目指さないと先進地に追いつくことは出来ません。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ