2007年のメジャーリーグベースボールのオールスター出場選手が発表されました。イチロー選手が7年連続選出されました。メジャーに移籍してから7年間で7度目の選出で、活躍が継続していることの証明ですから、日本人として本当に喜ばしいことです。
そして選出された時のコメントに、また味があります。「球宴は終わってしまえば、何事もなかったようにはかないもの。だからこそ尊いという価値観がある。このためだけではないが、大きな目標としてやってきた」
時間と労力をかけ全力を尽くして仕上げたことでも、過ぎてしまえば実にはかないものです。仕事で作成した資料は会議や当該案件の審議が終了すればその役割を終えます。それまでは全霊を込めて資料作成を行ないますが、終わった瞬間に見向きもされなくなることがあります。そして書類の保存期間が過ぎると、全力を尽くして仕上げた仕事の結果は職場からも姿を消し去ります。永久保存に値する仕事以外の跡形は、多くの場合10年以内に全て消え去ります。
仕事とは本当にはかないものです。
またほんの数時間や、特定の一日に全てを出し切るのがイベントや祭りです。準備期間は数年から数ヶ月と、イベントの規模によって様々ですが、瞬く間に過ぎ去る時間の前にあっては、ある日に起きた一瞬の出来事です。私の場合、北海道や沖縄などで行なった夏の大掛かりなキャンプや、地元関西に全国から500人を超える参加者を迎えて開催した夏のイベント、中国への洋上研修などが記憶に残っていますが、全て、過ぎ去った後は一瞬の出来事のように感じます。
イベントとは本当にはかないものです。
私達が取り組んでいる仕事やイベントは、決して二度と繰り返すことのないものばかりです。例え毎年、季節と共に巡ってくるものだとしても、同じ年の同じイベントは私達の前で二度と実現することはありません。まるで大きな川の流れのように、景色は変わらなくても、同じ水が流れることはないのです。
大きな社会の流れや時代の波の前にいる自分の存在ははかないものです。
全力を傾けた仕事もはかないもの。巡ってくる季節毎に関わるイベントなどもはかないもの。そして人生で遭遇する出来事も、地球規模の時間からするとはかないものです。
しかし仮に、何度でも繰り返されるものがあったとすれば気持ちの中に緩みがあり、全力を尽くすことを止める危険性があります。同じメンバーで同じ案件に、同じ時間に取り組むことはありませんから、どんな仕事であっても、どんなイベントであっても生涯ただ一度だけのものです。はかないことに価値がある。分かるような気がします。
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