424.一瞬の風
 普通の人間が(私から見ると普通とは思えないのですが)長い間、皆さんのための活動をして来られたのは、初心を忘れないで、そして感謝する気持ちを常に持ってきたからです。初めて役員として職場から送り出してもらった時の気持ちをいつも持ち続けて来たのです。初心を忘れないことが最も大切なことです。役員の地位にいると、途中で自分が偉いと勘違いして、人の言うことを聞かなくなる人がいます。いるどころか、直ぐに初心を忘れてしまう人が多いのが現実です。人の言うことを聞かない人は、暫くはその地位を保つことができるでしょうが、直ぐに失脚することになります。「直ぐに」の期間は分かりませんが、仮に10年、20年も地位を保ったとしても、その期間は長い人生からすると一瞬です。そんな人は大切なものを失って人生を終えることになります。
 どんな境遇にあっても初心を大切に。そして感謝する気持ちを忘れないこと。これが長く仕事をするために必要なことです。

 もうひとつ大切なことは、挑戦する気持ちを持ち続けることです。安定、安住を求めると成長は止まります。平凡な私が委員長になれ、今もいられるのは挑戦する気持ちを持ち続けているからです。年齢は60歳が近づいて来たので、この仕事を続けられる時間もあとわずかですが、最後まで初心を忘れないで、感謝の気持ちを持ち、安住するのではなくて挑戦し続けたいと思っています。何時でも自分の力で仕事が出来ると思うものですが、仕事が出来る期間は限られています。仕事をさせてもらえる位置にいる期間も限られています。

 議員なら4年間、組織の役員でも2年ごとに改選期を迎えます。普通なら60歳で現役を退き、後進に道を譲ることになります。個人が地位に固執しているようでは、地域であればその地域は活力を失いますし、組織であればその組織は活力を失うことになります。一定の地位に就いた人は、後進の登場を喜ぶ度量が必要です。若い人の登場を阻止するような、老害を撒き散らすようなことは止めたいものです。活力ある地域は、新しい人がどんどん登場しています。和歌山県にはその循環が少ないようですが、これ以上、同じ事を繰り返させないように頑張って下さい。
 あなたも、初めて県議会に当選した今の気持ちを持ち続けて、いつまでも成長して下さい。今の活動を続けていると必ず報われる時が来る筈です。

 委員長でいられるのは、あと数年です。退任するとなると、蓄えた経験と知識を組織の外に持っていくことになりますから、それは大きな損失です。しかし同じ人が居続けるよりも新しい人の可能性に賭けることが、より発展の可能性があると言うことです。人が変わると一時的には頼りなく映るかも知れませんが、新しい考え方や行動基準を地域や組織に導入することの利点の方が大きいのです。
 長く同じ地位にいることよりも、一瞬の風を起こすことで何かを変えることの方が素晴らしいのです。

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