超高齢の岩橋正三さんが動脈瘤の手術に成功し、元気に退院しました。これは地域のニュースになるほどの素晴らしいことなので、患者さんが退院する日、
済生会和歌山病院で記者会見が行われました。
患者の岩橋正三さんは92歳(平成18年現在)。平成18年9月1日に自宅で意識喪失となり、救急車で済世会和歌山病院に運ばれました。本日の主治医からの発表によると、動脈瘤が自宅で破裂した場合、3/4の方が生命の危機に晒されるようです。この超高齢の方は、体力的な面で手術に不安もありましたが成功し、後遺症も全くなく一ヶ月で退院することになりました。
理由は早期に適切な手術が出来たことですが、本人の精神力、家族からの「生きられる可能性があれば是非、手術をして助けて欲しい」との強い希望と後押しがあったことが挙げられます。
医療経済の観点から手術を実施するかどうか、病院側では迷ったそうですが、手術前の本人と家族の生への強い希望と明確な意思表示が功を奏したと言えます。何事も迷いは、可能性にブレーキをかけます。精神的にブレーキがかかると前に進む力は減速されます。これでは成功するものでも、上手く行かなくなります。
今回の場合、体力面、患者さんと家族の経済負担、年齢などの条件から、もし躊躇するようであれば手術は出来なかったでしょうし、不安感を残しながら手術に踏み切ったとしたら今回のような結果になったかどうかは分からないところです。「助かりたい」という強く明確な意思と希望、医師に対する全面的な信頼により、迷いのない手術となり、生命の確保はもとより、後遺症もなく短期間での退院となったのです。
退院された岩橋さんは知り合いの方だったので、記者発表にも立会いさせていただきました。記者会見の前に「退院するのに記者発表してもらえるなんて、まるで芸能人ですね」と話しかけると、にっこり笑って反応してくれました。意識不明からの生還。本人が最も苦しかったでしょうが、しかし生命への強い意思が奇跡を起こすことも感じさせてくれました。
言葉で表すと強い意思、希望、信頼。これらの気持ちを持っていることが可能性を拓いてくれました。これは病気に勝つことだけの鍵となる言葉ではなく、私達の活動にも活かせるものです。諦めたらその瞬間、終わってしまうことがあります。決して諦めないこと、これは自分の心の問題で他人に左右されるものではありませんから、しっかりと肝に命じておきたい事柄です。
記者発表での92歳のスーツ姿。入院前と変わらない表情と姿勢でした。