協働に関してどう考えているのか、私の見解は次のようなものです。
協働とは、行政機関とNPO法人が対等の立場で事業を行うことを言います。しかしNPO法人のレベルが行政機関とパートナーを組めるほどのレベルに達していないことから協働出来ないと言っても、NPO法人は行政のように歴史を通じて確立された機関でなはなく発足してまだ期間の短い組織ですから、直ぐに対等の活動が出来ている訳ではありません。しかし誕生して成長している子どもを親が育てるように、親の立場にある行政機関は子どもであるNPO法人の活動を、事業を通じて育てる義務があります。それは子どもであるNPO法人であっても行政機関が行うべき一部分を担っている場合があり、早く一人前になってもらう必要があるからです。
子どもであっても、国語が得意な子どもや算数の得意な子どもがいるように、福祉分野が得意なNPO法人や観光施策に通じているNPO法人などがありますから、行政機関はこれらの組織を信頼して立ち上がりを支援して欲しいものです。子どもが自立するまでに支援する必要があるのと同じようにNPO法人の自立も同じことが言えます。組織が活動を開始する時は、初期の事業資金調達が問題となっています。最初の立ち上がりをクリア出来るとビジネスモデルを構築することでランニング費用を捻出することが出来ますから、そうなると行政機関からの援助は必要なくなり、事業において対等の立場で協働活動をすることが可能となるのです。
一方が優位な立場で協働するのは本当の協働でないとしても、自立したNPO法人と対等の立場で事業を行うことは協働以外の何者でもありません。行政機関には、協働出来るまで初期の支援をして欲しいのです。それは資金提供、ノウハウ提供、行政関係者との道筋をつけてもらうことなどが考えられます。最初はこれらの支援は絶対に必要なものと捉えてもらいたいものです。最初から対等に協働出来るNPO法人など存在しませんから、まだ子どもの段階にあるこれらの組織を大人である行政機関が成長させて欲しいのです。
大人から見ると頼りなく映りますが、NPO法人は構成員が専門分野の活動を行っていますから確実に成長しているのです。やがて人事異動や組織改正を行っている行政機関よりも専門的なノウハウを保持するに至ります。その時に行政機関が、専門知識を身につけて活動しているNPO法人に業務委託を行うなど、真の意味で協働活動が出来るのです。
それまで過程を長い視点で導いて欲しいものです。
そこで、和歌山市の施策にある市民提案事業は協働のために必要な施策です。NPO法人が市の活性化のために実現したい企画を市に提案し、行政機関がそれに関するアドバイスと資金補助などの支援を行うことは協働活動への第一歩となります。この施策で改善すべき点を挙げるとすれば、審査と結果報告の場面で行政機関が関与している現状から、活動の中に行政機関当該部署の方がNPO法人の企画や活動に参画したりアドバイスを加えたりして欲しい点があります。
入り口と出口だけ協調している現状から進歩して、真ん中にも参画することで全ての工程で行政機関が関わってくれたらNPO法人の成長は早くなりますし、行政機関の職員さんも理解が深まります。お互いの立場を理解することも協働活動に必要なことです。