345.実践
 子どもの教育問題に熱心に取り組んでいる方々や動物介在療法による子どもの支援活動をしている方などに接していると、こちらが勇気付けられます。これらの団体に共通していることは、社会の壁にぶち当たりながらも継続した取り組みでしっかりとした形を築いていることです。
 そして社会で認められるだけの形が見えてくると同時に、活動に関係のない人から批判の声も聞こえてきます。活動している人にとって、これらの批判には心が痛めつけられます。十分な活動をするためには気持ちが乗る必要がありますが、批判や中傷にはブレーキをかけられてしまいます。

 この状況でも活動家は迷わずに前進していくのですが、拠り所になるのは「人を批判するなら、自分も同じことをひと月は実行してからだ」ということわざです。実行していない人は批判出来る訳がないのです。
 経験していないことは他人が簡単にやっているように思えても、自分でやってみると難しいことが分かります。

 例えば生け花。私も平成17年に習ったことがあるのですが、一本の草花で思いを表現するのは難しく感じました。自由な発想で花を作品として創造してくのですが、センスと内心が作品という形として表われますから、自分の心を周囲に知られるような感覚があります。同じ花を活けても、人が違うと全く違った作品に仕上がります。素人の作品はとても展示出来るものでないことを気付かされます。
 更に、仕上がったいけばな作品に作品名をつけるのもセンスが必要で、これもまた難しいのです。

 生け花のように長い年月をかけて確立された分野でも、NPOが初めて取り組んでいる新しい分野のものでも同じ難しさがあります。
 日本においてホースセラピーは導入されていない状態から立ち上げ、大学や企業の賛同が得られ活動が拡がり、熊本県を舞台に映画化されています。今後は活動の拠点となる牧場を設置する計画があります。ゼロからスタートさせた活動で成果を出すことも簡単なことではありません。私達も和歌浦でホースセラピーを行った経験がありますが、数ヶ月に及ぶ打ち合わせと事前準備、そして実施するための費用捻出や馬の扱い方など、実践するために学ぶことは数多くありました。
 例え一ヶ月でも自分が体験してみると、その分野の初歩的なことが分かりますから、その時点で意見をするのが正しい姿勢です。
 学んだことを基に他人に意見をすることは比較的簡単なものですが、学んだことを基にして実践することは難しいと言うことです。習得した知識は自分で実践して初めて本当に身に付くものです。批判を受けようが実践することだけが何かを実現させてくれるのです。

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