不登校の定義は一年間に30日以上学校を欠席した生徒のことを指します。最近の学校で起きている問題は多様化しています。心神系の不登校が要因になっている場合が多く、神経症、頭痛、吐き気、摂食障害、自殺企図、リストカットなど心が痛む言葉が並びます。
中高生になると妊娠中絶も加わり要因は更に拡大しています。
ところで和歌山県における退学者率は、全国でトップ5に入る程高くなっていることに驚きます。ある高校の退学者数は年間100人を超えたことがあります。不登校になると当然のこと学校に行きませんからやることがなくなります。そのため気力が失せ、不登校は退学につながっていくのです。放置しておくと不登校から退学の循環を防ぐことが出来なくなりますから、プロのスクールカウンセラーの方に学校に入ってもらって問題解決を図っている現状があります。
スクールカウンセラーの仕事は生徒の立場に立つことで、例え教師や保護者に対しても生徒から知り得た情報を話しません。生徒から信頼されることが生徒に安心感を与えるからです。信頼関係だけが心を閉ざした生徒の心を解かしていきます。教育委員会から派遣されたスクールカウンセラーであっても立場は絶対的に生徒の味方です。生徒に関する情報を教師や保護者に伝える例外は、生徒の命に関する問題に限られています。生命、中絶、薬物使用などの問題が発生した場合、生徒の生命を第一に考えますから主賓義務よりも手段を講じることになります。
さて、自分が子どもの頃を振り返ってみると、不登校の生徒はいなかったように思いますし退学者もいた記憶がありません。不登校や退学者はイレギュラーと思うのは間違いで、誰でもそうなる可能性が潜んでいるのです。生徒を取り巻く環境は数十年前とはかなり変わっていのです。
不登校が増加しているのは子どもが悪いのではなく、このような社会を作っている今の生産世代である私達が悪いのです。ですから大人が築いているこのような環境に子どもを預けても問題は解決しないのです。子どもだけではなく大人も安心感を求めていますから、安心感のないところで子どもの精神は安定することはなく、心神系の疾患に陥りやすいのです。
心の安定がなかったら次のステップに進むことは出来ません。例えば、帰宅してもご飯が食べられない、電気が止められている、水道が止められているような状態であったとしたら、子どもだったら勉強は出来ませんし、大人だったら安心して仕事は出来ません。自分を取り巻く生活や家庭環境が安定しているからこそ学校に行けますし、社会で活動出来るのです。
心に不安感を抱えたままで自分が今いる階段から次の階段に登れと言われても、恐くて登れません。階段を登るためには一方の足を上げますから、もうひとつの足に全体重がかかります。安定していない階段に全体重をかけると底が抜けるかも知れませんし、崩れ落ちる危険があることが分かっているため、安心して次のステップに踏み出せないのです。
このように生活と心に安心感を持つことで、次のステップに踏み出すことが可能となります。安心と安全。危機管理の言葉ではなくて、日常生活を過ごす上でも大切にしたい言葉です。
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