人は感情を言葉と言う形で記号化して表現します。
ある人が犬を恐いと思いました。感情を言葉にすると「あの犬噛まない?」と聞くことになります。聞いた相手は記号化された言葉の解読作業に入ります。そして「犬が恐いのね」と言葉にすると、ある人は「うん。そうだよ」と相手が自分を理解してくれたことで安心出来るのです。
しかし次のような対応をすると信頼関係がないものとなります。
「あの犬噛まない?」と聞かれた相手が「あの犬はいつでもこの場所にいるよ」と答えてしまうと、犬が恐いという問題がすり変わってしまい問題は解決しなくなります。自分を主体として物事を考えると問題をすり変えてしまう場合が多いのです。
相手に心を開いてもらう方法は、繰り返すこと、言い換えること、気持ちをくむことの3つあります。
例を示すと分かり易くなります。「どうせ言っても無駄だから」に対応する言葉は次のようなものです。
繰り返す。「言っても無駄だもんね」
言い換える。「話をしたくないのですね」
気持ちをくむ。「言っても無駄だと思っているの?」
このような対応が出来ると相手は心を開いてくれます。
「どうせ言っても無駄だから」という呼びかけに対して、命令、脅迫、説教、提案、理屈、非難などの対応をすると、問いかけた方は益々「無駄」だと思いますから、絶対に止めたいものです。これらの対応は次のようなものになれます。
命令。「無駄ではない。続けなさい」
脅迫。「無駄だと思ってやらないと困るのはお前だよ」
説教。「悪いことは言わないから。続ける方が自分のためだよ」
提案。「今の段階で無駄だと思わなくてもいいんじゃないか」
理屈。「無駄だと思わなければいいんだよ」などの対応となります。
如何でしょうか。相談したばかりに反発する気持ちが芽生え、余計に無駄だと思ってしまいます。それは相手の問題が自分の問題にすり変わり、相手を否定することにつながっているからです。自分の考え方を相手に押し付けると、その相手の考える力を育むこと奪ってしまいます。考える力を身につけることが生きる力を育てることになりますから、相手の話を良く聴いてあげることが何よりも大切です。
もうひとつ事例を挙げます。子どもの帰りが遅い時の対応で子どもが心を閉ざしたり、開いたりする事例です。
子どもが心を閉ざす話し方を「あなたメッセージ」と言います。
子どもが帰ってきました。親は心配して次のような言葉で子どもを迎えます。「いま何時だと思っているの!」子どもは叱られたと思い心を閉ざします。
子どもが心を開く話し方を「わたしメッセージ」と言います。
子どもが帰ってきました。親は心配しましたが次のような言葉で子どもを迎えます。「心配したんだよ」の一言です。子どもは自分のことを心配してくれていたと思い、親を信頼することになります。
相手に話をする場合は「わたしメッセージ」で対応したいものです。
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