ワールド・ベースボール・クラシックの二次予選が開催されています。国対抗で野球の世界一を決定する大会は初めてですから、違う競技が繰り広げられているような新鮮さが感じられます。日本チームの監督を引き受けた王貞治監督は、あるインタビューの中で「野球への恩返し」とコメントしていました。自分を育ててくれた日本の野球を世界を舞台に戦えるレベルに持っていく第一歩として、日本チームを率いる覚悟の一端がうかがい知れます。
メジャーなスポーツは、それぞれ世界大会があり国を代表して高いレベルで技を競いあっています。代表選手にとって日本を背負って戦うことが大変な名誉なのでしょう。日本を代表した経験がないので日本を背負った時の思いを表現することは出来ませんが、学校を代表することや地元のまちを代表することとは比較にならない緊張があることは容易に想像出来ます。
2005年3月13日、日本対アメリカの試合が早朝から中継されていました。歴史的意味を持つ(後世からそう評価されていると思うのですが)日米の真剣勝負となる最初の戦いですから関心は高かかったようです。結果はアメリカ4点、日本3点でアメリカが勝利を収めました。
試合当日、夜の番組での野球解説者のコメントは「凄い戦いで震えました」。ライブで見ると国同士が意地をかけて戦う緊張感のある試合だったことでしょう。歴史のスタートに立ち会える瞬間が巡ってくる経験はそう多くはありませんから、たとえ目撃したのが映像であったとしても、日本野球が世界に出て行く第一歩を見た一人となりました。
野球はアメリカと日本のお家芸だと思っていましたが、参加国が意外と多くレベルもメジャー級ですから、今後も日本が世界と戦うためには国内のクラブチームが、今まで以上に世界を意識する必要が生じます。国内の試合をきっ抗させるためにチームの戦力を均一化させるなど、次元の低い議論をしている場合ではなくなります。ワールド・ベースボール・クラシックのような世界一を競う大会が出現すると、ファンは高いレベルのプレーを見て、そして日本チームに期待します。そのため国内チーム同士の戦いを面白くするために、戦力を均一化させても世界で戦えないことを知ります。世界大会で負けるようなレベルの試合を見たい訳ではありませんから、日本を背負って戦うためには強い国内チームが登場し、レベルを高める必要があります。
一度世界に目が向けられるとそのレベルが標準となりますし、日本を意識すると負けて欲しいなどとは思いませんから、競技により高いレベルを求めたくなります。
スポーツの世界で日本チームが世界を相手に戦う場合、どうしても国を意識して声援を送っています。オリンピックや各種の世界選手権、サッカーやラグビーのワールドカップなど、普段では感じることが少ない日本を意識させられます。
アメリカとの二次予選の試合において、日本チームが8回に得点をあげたのに判定が覆り無得点になった場面に、納得していない日本のファンが多いのではないでしょうか。悔しい思いをバネにして、日本のユニフォームを着ている選手と監督には世界一に到達して欲しいと願うばかりです。
現役時代、世界の王と言われながら環境が整わず世界と真剣勝負出来なかった王監督ですから、この大会を制して監督として世界の王になって欲しいものです。監督達が必死になって日本を代表して戦っている姿には本当に勇気付けられます。
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