日本の伝統的演奏に雅楽があります。私は1999年に開催されたジャパンエキスポ南紀熊野体験博の田辺新庄会場で演奏を聴いたことがありますから、音色も演奏形態もある程度のイメージが持てるのですが、一般的には馴染みのない音楽かも知れません。
雅楽の始まりは西暦600年頃の飛鳥時代です。現代の中国から伝わった楽器類を組み合わせて演奏を行い、約300年の時間をかけて日本独自の演奏形態として雅楽が完成しました。日本的なオーケストラとも言える雅楽は、楽器のルーツは中国からだとしても日本人に適した楽器だけを選択し組み合わせた楽団のようなもので、悠に1000年以上の歴史を持つ日本独自の演奏です。
世界を見渡しても1000年の歴史を持つ演奏はありませんから日本が誇るべき文化です。
平安時代に完成した雅楽は公家や平安貴族を中心に発展してきました。当時公家としての必須科目でもあったようです。公家として雅楽を通じて文化的素養を持つことが求められたとも聞きます。
和歌山の雅楽の歴史は、雅楽の歴史と比較すると浅くて、昭和28年頃雅楽愛好会としての集まりが最初です。昭和32年、戦災で焼け落ちた和歌山城を復興した際の起工式、落成式での演奏を行ったのが最初です。以降、ジャパンエキスポ世界リゾート博、ジャパンエキスポ南紀熊野体験博、和歌山県民文化祭、和歌山市民まつりなどの各種イベント、小・中学校での演奏会を活動の場としてきました。最近は文化庁からの委嘱事業として「こども教室」授業も開催しています。
平成18年は、和歌山で雅楽演奏会を行ってから50周年の節目の年です。第26回和歌山市民まつりの和歌山雅楽会定期演奏会は50周年を記念する演奏会で、平成18年3月12日に、和歌山市民会館で開催されます。当時のメンバーとその子孫が同じ舞台に立つことに歴史の重みを感じます。
地域活動から和歌山市の文化向上のために、和歌山雅楽会は尽くすために活動をしています。和歌山で雅楽をすることに意味はあります。京都の公家で始まり伝統を保ってきた雅楽ですが、江戸時代になると紀州徳川家と公家の関係があったことから、和歌山市でそして和歌山城で演奏を行うことは歴史的にも自然です。
和歌山城内に御橋廊下が完成間近ですが、その竣工式には雅楽が良く似合います。昭和32年の和歌山城の起工式と落成式で演奏を行った歴史がありますから、その子孫による和歌山城内、御橋廊下での演奏会は是非とも実施して欲しい組み合わせです。
小学校6年生の教科書にも日本の伝統的音楽として雅楽が紹介されています。ところが小学生は音を聞いたこともない、楽器を見たこともないのが実態です。実際を知らないで学習しても身に付かないものです。日本の伝統を伝えるためにも和歌山市で活動している伝統的音楽である雅楽への関心が高まることを期待しています。
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