ニートは75万人を超えていることが問題となっていますが、その前段で不登校の問題があったのに、それを社会として放置しておいたことがニートの増加につながっています。ニートを減少させるには子どもに対する親の関わり方が問題です。
あるカウンセラーの方から、不登校の子どもを持つ親から相談の実例を聞きました。不登校になった小学校6年生の男の子は、母親と会社員の父親、そして優秀な高校生の兄と暮らしています。ある日突然、子どもが不登校になり母親は対処の仕方が分からないため相談に来たのです。
子どもの性格は、大人しい、親の言うことを聞く、世間で言うところの良い子です。良い子というのが曲者で、世間では両親や教師の言うことを素直に聞く子どもが良い子どもと評価しています。それに対して両親に反論する子どもは、言うことを聞かない生意気な子どもと評価されます。
実は両親などから意見を言われたとしても、自分の意見を主張できる子どもは自己主張の出来る良い子なのです。その行動を否定することは子どもの自主性を奪うことになります。
両親は子どもに対して指示や命令を下しそれを毎日繰り返しています。子どもにとったら堪らない毎日なのです。もし自分が誰かから毎日のように指示、命令を受けているとすれば毎日が楽しくない筈です。
例えば組織の上司に対して自分の主張を言ったところ「あなた、それは間違っている」と毎日言われ続けると、やがて反論することを止めてしまいます。何度言っても話を聞いてくれないことが分かるからです。小学生にとって両親は決して議論で勝つことが出来ない強い立場の人なのです。
子ども達にとって両親と暮らす毎日の中に褒め言葉が欠けています。褒める言葉がないのが大きな問題なのです。子どもが帰ってきたら「可愛い顔が帰って来たので嬉しいね」「今日も学校に行って偉かったね」などの見え透いた褒め言葉でもかけてあげるべきです。褒められると、見え透いていたとしても嬉しいものですから明日の頑張ろうと思うのです。
褒めることは花に水を与えるのと同じで、生きていくうえで不可欠なものです。指示、命令は華に除草剤を与えているのと同じです。花を咲かそうとしているのに枯らしてしまう作用があります。生きるためのエネルギーが吸い取られてしまい、指示、命令者、つまり両親の顔色を伺うだけの子どもになってしまいます。
これは自己決定する気持ちを阻むものです。今の時代、自己決定出来ることが生きていくうえで絶対必要なものです。何故なら、自分の言葉で自分の気持ちを話すことが出来るのが自己表現であり、自己表現出来ることが自己決定につながるからです。自分の気持ちを外に表すことが自己決定することにつながります。言葉で思っていることを話さないと実現することは絶対にあり得ません。
自分が思ったことを自分の言葉で話したことだけが実現する可能性を秘めているのです。指示と命令を繰り返すことはその可能性を奪い去るので、絶対に止めたい行動です。
育てたように子は育つと言います。両親が子どもの自主性を信頼し、自分の言葉で話せるように聞いてあげる、それを褒めてあげることがスケール大きい子どもを育てます。
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