248.あきらめない
 平成17年度、プロ野球パリーグのプレーオフ、福岡ソフトバンクホークスと千葉ロッテマリーンズの試合が終わりました。手に汗握る戦いとは今回のような試合を指すのでしょう。
 千葉がニ連勝した後、福岡がニ連勝して五分となり、最終戦は8回表に千葉が逆転をしてそのまま逃げ切りパリーグを制覇しましたが、どちらのチームも強くて素晴らしい戦いを繰り広げてくれました。

 観戦している立場からすると、平成16年も福岡はシーズン一位で通過しながらプレーオフで敗退、平成17年度もシーズン一位だったのにプレーオフで敗退した結果に対しては心が痛みます。スポーツにはルールがあり、そのルールに沿った戦いをした結果ですから仕方ありませんが、福岡の選手の気持ちを思うと言葉がありません。
 メジャーリーグのようにリーグと地区が異なる場合、各地区の一位チーム同士が戦い勝敗を決する方法なら納得出来ます。しかし同じリーグで長いシーズンを戦い抜き一位になったのに、短期決戦で敗れるとその1年間が無駄になるのは辛いことです。
 せめて一位で通過したチームはリーグ優勝の扱いをしてあげたいものです。敗者は歴史に名を刻むことは出来ませんが、シーズン一位通過は決して敗者ではありません。それを無に帰するのではシーズンの価値がなくなるような気がします。
 
今回のプレーオフは第四戦と第五戦の終盤を見ることが出来ました。印象に残ったのは第四戦でした。福岡が勝った試合ですが、試合後のヒーローインタビューで、本塁打2本を放ったズレータ選手は「あきらめない。絶対にあきらめない。明日もかんばります」と日本語で語ったのが最も深く心に残っています。
 簡単な日本語ですが、あきらめない姿勢が勝利を呼び込むこと、そして結果はどうあれ、明日もかんばることの大切さを改めて教えてくれました。ズレータ選手はサムライという言葉を良く発しますが、日本人が忘れてしまっている日本人の精神を外国人が先生になって教えてくれています。

 スポーツで感動するのは、スーパープレイを見るだけではなく勝つことだけでなく、決着がつくまであきらめない姿勢があるからです。私達は普段の生活において、決してあきらめない姿勢を貫く場面は少ないのです。
 現実の生活では程よいところで妥協して、丸く治めることに終始していることに気づきます。物事を成すには根回しや下準備が必要で、段取り八分という言葉があるように、表舞台での真剣勝負よりも事前に根回しをしてある程度方向性を見出しておくことが出来る人間だと評価されています。真剣勝負の場であっても実はそれ以前に決着していることがあり、真剣に生きている場面が少ない自分にとってスポーツの真剣勝負に感動するのです。
 勝敗が明確になるスポーツの世界には根回しも段取りもありません。あらめないこととがんばることだけが結果を導いてくれます。簡単な法則で動かせる世界に人は憧れます。でも最後まであきらめないこと、がんばりぬくことは簡単ではなく、それを貫き通せた人だけが結果を出すことを肝に銘じておきたいものです。

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