将来とも日本経済は労働力が減少することによって右肩下がりに向かいます。少子化対策や外国人労働者を導入しても方向を変える事は出来ません。少子化は顕在化しているため、今から対策を行なっても20年後の労働人口は減少することは確実です。
そこで、国民所得と労働力が減少することを年頭にした経済対策を講じる必要があります。まず現在レベルの公共投資は不可能です。公共投資は貯蓄を活用して行っているものですから、貯蓄率が低下していることから新規の公共事業は縮小し、2020年代には既存の公共設備の維持と更新さえ困難化します。2000年初頭の日本国民の貯蓄率は15%ですが、2030年には3.4%に低下すると見込まれています。現在のアメリカの貯蓄率は5%程度ですから、将来の日本の貯蓄率の低下は深刻です。増税は消費を減少させ貯蓄を取り壊す行為に向かわせるため経済は更に縮小に向かいます。
将来の政策を計るための指標のひとつに中位年齢が活用出来そうです。中位年齢とは、当該地域の高齢者と若年層の人口が同じになるところを除いた人口の幅です。
高齢者が少なく若年層が多かった1970年の中位年齢は38.3歳、2000年には49.6歳となり2030年には58歳と予測されています。
この年齢構成によって政策の方向性は違ってきます。1970年だと中位年齢は38.3歳ですから、企業では管理職になる年代です。そのため国民の望みは、経済規模が大きくなることでした。実際、1970年代には日本は経済大国への道を歩み始めています。
2000年の中位年齢は49.6歳で、この年代になると企業内の出世競争は決まっていますから、企業の延命策が関心の中心となります。産業再生機構の活用や公的資金の投入による企業再生など、現在の枠組みを維持することが政策の中に組み込まれています。
2030年になると中位年齢は58歳ですから、政策の中心は福祉と公共サービスになることは容易に予想出来ます。しかも退職年齢となっていますから、組織やしがらみに縛られないため政策に対する嗜好が多様化してきます。
中位年齢層は政策決定に影響を与える年代であることが分かります。どうしても人口層の厚い世代を中心にして社会は廻って行きますから、若い層は積極的に政治に関与していかないと、自分達の意思が政策に反映されなくなります。
政治に関心が無いから投票に行かないというもの意思表示です。その意思表示で選ばれた議員が地方自治の予算と方向性を決定していきます。子どもが誕生し子どもを育てていき、社会の中心を担って行く若い層が関心を持つべき教育問題や就業問題に関心の無い議員が増えると、まちの方向性はそのように定まります。消極的肯定であっても、まちの将来を決定するのはそこに暮らす人の意思に他ならないのです。
誰が議員をやっても同じ地域になるような時代ではなくなっています。
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