132.観光振興の
      進め方を巡って
 都市の魅力の核心は自由裁量性にあります。東京では選択肢が多いので、観光、文化、スポーツ観戦など幅広く日常が楽しめるので住んで良かったと思えます。このように都市には現在に加えて過去と未来を兼ね備えていることが必要です。現在の楽しみと共に、まちの歴史と文化、未来を予感させてくれるものがあることで魅力ある都市となります。和歌山で言えば、過去は熊野、未来は海洋資源とマリンスポーツの可能性を感じさせる和歌山マリーナシティがそれに該当します。それらをつなぐ現在に何が備わっているのか、ソフトを導入する必要があります。

 何故人は旅に出るのか、人は変化に対する期待を持っているからです。変化がないと人は生きられません。明日起きた時、何があるのか分からないから期待があるのです。既に明日の出来事が分かっていれば期待はありません。人にとって時間軸が大切ですから、観光とは、人にとって大切な時間を売る産業であることです。

 和歌山の強みは、自然環境、歴史的資源、日本の真ん中などです。弱みは地域としてのまとまりがないことです。経営的にはミッションステートメントを策定し、方向性を定めます。現代の湯治場、癒しの里として安心して住めるまちなどが目指すべきもののひとつです。
 戦略的には、健康面での安心と生きがいを育む、あらゆる生命の源である森と川と海の豊かさを享受する、1年365日の四季の変化を楽しむ、生涯を通じて学びへの欲求を充足させることがあのます。余暇を遊ぶことだけに使用しても面白くありません。人には、学び偉くなりたい、認められたいとする自分への変化欲求がありますから、それを満たせる環境が人を呼び込みます。

 観光はサービス産業ですから、期待を充足させ更にその期待を上回ることで満足感を提供出来ます。満足感を提供出来ることでサービス産業としての観光は成長します。
 そして観光は時間を売る産業ですから、物語性が不可欠です。地域の文化を語れる知識と提供する機会をそこに住む人が持つことが優れた受け入れ体制、つまりホスピタリティの条件です。
 和歌山に行かなくてはならない何かを提供すること、和歌山に住む人も歴史も文化も全てが観光資源となります。和歌山全体として何を提供したら良いのか、和歌山の特長を活かして健康サービス産業を付加する戦略は的を得たものです。

 観光は時間を売るビジネスですから、どんな体験と時間を売るのかを出すことから始まります。イベントはテストマーケティングですから経験を積むことで可能性が出てきます。まずは恐れずに始めることです。

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