13.プロの仕事
 プロの芸術家は、ひとつの仕事に全てを賭けて真剣に取り組みます。一つの失敗も許されないし、決まった仕事の日程に穴を空けることも出来ません。
 日程が決まっていれば、絶対に仕事の日程を合わせる必要があります。風邪をひいたなどの理由で休むことは有り得ません。その厳しさは、例え知り合いに何かあったとしても最後までやり遂げます。
 昨年、阪神タイガースの星野監督は母親の死去に際しても甲子園のゲームで采配を振るいました。私の知っている芸術家は、これと同じ気持ちを持っています。

 依頼主(クライアント)が納得できる作品を仕上げられないと、次の仕事はありません。写真家や建築家など、どのような分野の仕事でも代りの人は何人でもいるからです。ですから、今この仕事に全力を尽くします。毎日が真剣勝負です。今回は気分が乗らないから、次回はその分取り返えそうなんて甘い気持ちはありません。ひとつの失敗は、そこでその芸術家としての仕事が無くなることを意味します。いい加減な仕事と評価されると、直ぐに噂は広まり他の仕事も失うことになります。

 プロの仕事の条件は、健康に万全を喫すること。小さな依頼でも一つひとつの仕事に全力を尽くし、納得のいく作品に仕上げることです。
 納得のいく作品とは、自分が納得出来る作品ではなく、依頼主(クライアント)が納得する作品を指します。仕事の評価は依頼主(クライアント)や、作品を購入しようとする人達(ユーザー)が行います。
 そこで評価された結果が、その仕事の出来となります。体調が悪かった、気分が乗らなかった、時間がなかったなどの理由は通用しない世界です。目の前の仕事を成功させないと次の仕事はありません。
 更に資格のない仕事ほど厳しいと言うことです。公的資格を所持していれば、一定の実力を知識、技能を示すものとして社会で通用します。
 一例として、写真家には公的な資格はなく、誰でも写真家を名乗れます。けれども、アマチュアはそれでお金を稼げませんが、プロは稼げます。その差は何なのでしょうか。
 答えは第三者の評価です。第三者が評価をして作品を購入してくれる、仕事の契約をしてくれるのがプロです。公的資格など社会的に保障されたものがなくてもお金を稼ぐことが出来る、これがプロとアマチュアの差です。

 実力で勝負出来るとは、自分の仕事を買ってくれる人がいること、自分と仕事のパートナーを組んでくれる人がいることを指します。
 仕事の評価は、自分の仕事にお金を出してくれる人がするものです。

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