平成20年
9月17日(水)
A. 平成20年9月
 和歌山県議会一般質問への答弁内容
【 答弁 】
  1.和歌山県の偉人を敬う教育について
   (1)郷土の偉人陸奥宗光について 【知事】
   (2)湯川秀樹について 【知事】
   (3)陸奥宗光を初めとする郷土の偉人の教材化について【教育長】
   (4)学校教育の一環として偉人を訪ねる修学旅行・遠足コースの設定について【教育長】

答弁者 : 仁坂知事 
 私は、知事に当選しました時、記者会見を受けまして、「あなたは誰か尊敬する人がいますか」という問いに対し、「たくさんいますがひとりあげろと言われるならば陸奥宗光」というふうに記者の方に答えたことがあります。それほど私は大ファンでございます。

 それで、陸奥宗光に限らず郷土の偉人を誇らしく思う気持ちはたいへん大事なことだと思います。そういうことの大事さの理解ということにおいては私は人後に落ちないと思います。特に、若い人に勇気を与える、我々は偉人とDNAを共有しているというような意味で、若い人たちに勇気を与えるという意味で、教育上の配慮として「郷土教育」をしていこうということはたいへん大事だと思っております。そこで私どもは長計を提案するにあたりまして、教育のところで、人づくりのところで、ひとつの目標として「郷土教育」をきっちりできる和歌山県の教育でありたい、そういうふうにやろうということを決めまして、議会にもご賛同をいただいて、その実行として今、教育委員会において、教材づくりとか学校教育の中でどういうカリキュラムをしていくかということについて、具体的な作業を進めているところでございます。

 陸奥宗光その人につきましては、先ほど片桐議員からお話がありましたとおりでございますけれども、その話しをいろいろコメントしておりますと、一時間くらい喋ることになりますので、たいへん立派な方であるということの他にひと言だけ申し上げますと、実は、私は明治維新というのは和歌山モデルで出来ていると思っております。最近、実は勉強したのでございまして、紀州藩が明治維新の後、改革をしたそのモデルを、実は陸奥宗光と伊藤博文の建議によるのですが、それを明治政府自身が取り入れて、それで明治政府の近代化路線が決まっていった。そいうことについて、残念ながら、紀州藩の人たちが新政府の中で、陸奥宗光と浜口梧陵を除いて、大臣の位に昇った人はふたりしかいない。残りの人はみんな消えてしまった。それで薩長の人たちばかりが残って、その紀州藩の功績みたいなものが消えてしまったというのは、残念ながら私は歴史的事実だと思っています。

 ただもっと残念なのは、そういうことについて、私自身が和歌山育ちですけれども、ちっとも教えられていない。陸奥宗光が和歌山出身ぐらいは知っておりまして、外務省に行きますと、裏手の方に銅像がひとつだけ建っていて、「和歌山出身の陸奥宗光だけが建っているな」というふうに思っているのですが、その持っている意味みたいなものをそれほど勉強していたわけではなくて、お話にありますように日清戦争の時の指導者とかあるいは不平等条約を直すときのものすごい功績のあった方で、それに成功して、精も根も尽き果てて病気で倒れたという方であることは認識しておりました。

 ただし、そういうことをもう一度再発見させていただいたのは、私は、就任後すぐ、県立博物館へ行って、写真を見ました。それは洋式軍隊の感じで「何だこれは。騎兵隊か。」と私が愚かにも言ったところ、「いやいや和歌山の軍隊ですよ。」ということで今のような話しが延々と理解されるに至ったわけであります。
 したがって何を申し上げたいかというと、郷土の子どもたちにそういうことをきちんと教えるということは和歌山県としては本当に大事なことなのではなかったかということを申し上げたいと思うわけで、それが長計の話しになっているわけでございます。

 同時に湯川秀樹博士についての知識も多少は私もありました。勿論立派な方で、片桐議員からご説明のあったような和歌山との関連があるということでございますが、その和歌山との関連というのは、これまた最近知ったわけです。
 もっと前に知っていたのは、小川琢治さんのご子息で、例えば小川環樹さんとか貝塚茂樹さんとか立派な兄弟が学者でずらっといて、その方々の教科書を読んで私たちは勉強したわけでありますが、その方々が、申し訳ありませんが、私は和歌山にゆかりのある方であるということは子どものころ知りませんでした。今は知っておりまして、これはいかんということで、是非、「郷土教育」で郷土の偉人を讃えることによって、若い人たちが「DNAを共有している我々ももっと頑張れるはずだ」ということでやる気を持っていただくということを、教育上きちんとやっていくというのを目標にしたいというふうに考えている次第であります。中身につきましては、教育長から答弁があると思います。


答弁者 : 教育長
 和歌山県の偉人を敬う教育についてお答えいたします。
 郷土の偉人の教材化につきましては、第5期きのくに教育協議会の「和歌山の先人の生き方を教材化する」との提言を受けまして、防災教育の副読本といたしまして浜口梧陵の絵本を作成をいたしました。
 陸奥宗光につきましては、小学校で指導すべき人物の一人として教科書にも記述をされておりまして、各学校で学習しているところでございます。ふるさと教育の副読本「わかやまDE発見」でも、これは十分ではございませんが取り上げております。 

 和歌山にゆかりのある歴史上の人物を郷土の偉人として学習することは、子どもたちに地域への愛着と誇りを育むことにつながると考えます。
 今後は、現在改訂中のふるさと教育副読本におきまして、郷土の偉人に関する記述を充実させるとともに、児童生徒に親しみやすい教材となるよう作業を進め、ふるさと学習の充実に努めてまいります。
 次に、修学旅行や遠足のコースにつきましては、児童生徒の実態にあわせまして、ねらいをもってそれぞれの学校が独自に設定をしております。
 議員ご指摘のとおり、外務省の庭にある陸奥宗光元外務大臣の銅像など、県内外には、郷土の偉人たちにゆかりのある施設や場所が多くございます。これらを直接訪れて、その業績や生き様、思いなどに触れることは、子どもたちの心に深く響く学習になると考えます。各学校がこうした学習を積極的に展開するよう働きかけてまいります。以上でございます。


【 答弁 】
  2.防災対策について
   (1)幼稚園を初めとする児童施設の室内対策について 【危機管理監】
   (2)県営住宅のドア対策について 【危機管理監】
   (3)避難所における事前対策について 【危機管理監】
   (4)県と地元金融機関が連携したBCP対策及び和歌山県防災対策推進条例の
      企業への周知について 【危機管理監】

答弁者 : 危機管理監
 防災対策についてのご質問に一括してお答えいたします。初めに、幼稚園や保育園の室内対策の現状でございます。幼稚園は110施設のうち74施設で、また、保育園は227施設のうち142施設で室内対策を実施しております。議員ご指摘のとおり、県では、地震から園児の命を守るためには、ピアノの固定などの室内対策が重要であると認識し、市町村に対し補助を行っているところです。
 また、民間保育園における防災対策の補助施策として、総合防災対策強化事業もございますので、その利用も含め、今後共、市町村に幼稚園や保育園の室内対策をさらに進めるよう働きかけてまいります。

 次に、県営住宅のドア対策の現状でございます。現在、建替事業を実施中の今福第二団地におきまして、耐震仕様の玄関ドアを採用しております。今後共、建替事業を実施する際、耐震仕様の玄関ドアの導入を図ってまいります。
避難所として指定されている体育館の現状でございますが、県立学校32施設のうち30施設で室内対策を実施しております。市町村所有施設の室内対策についても指導しているところでございます。避難所において、本震や余震による災害を防止するため、体育館における室内対策をさらに進めるよう市町村に働きかけてまいります。

 次に、企業の事業継続計画でございますが、商工会議所及び商工会連合会と連携して研修会等を実施し、普及啓発に取り組んでいるところでございます。ご質問の県と地元金融機関とのBCP対策における連携につきましては、現在、地元金融機関との戦略的互恵関係の構築に向けて取り組みを進めておりまして、今後、そういった場において検討してまいりたいと考えております。
防災対策推進条例の周知につきましては、「県民の友」や県広報番組「きのくに21」等で取り組んでいるところです。県内企業については、商工会議所等関係団体とも連携しながら、周知徹底に取り組んでまいります。
 近い将来必ず起こると言われている東南海・南海地震に対して、県民の生命、財産を守る防災対策、特に室内対策には関係機関と連携、協調して積極的に推進してまいります。


【 答弁 】
  3.関西国際空港の位置づけについて
   (1)三空港のあり方について 【知事】

答弁者 : 知事
 次に関西国際空港の位置づけについてでございます。私は、関西の発展にとっては、関西国際空港の発展というのは絶対に必要だ。なぜならば、関西が羽ばたくためには、世界との関係を、東京からの流れではなくて、関西自体が世界に発信されるものでなければいけない。そのためには、空港があって、その空港が日本全国、あるいは、アジアに全部つながるハブ&スポークの要になければなりません。

 関西全体が伸びる。しかも、和歌山空港と言ってもいいぐらい近いわけですから、関西国際空港が発展することによって和歌山も伸びると思っております。したがって、関西国際空港を守るためには必死で頑張らなければいけないと思っておりまして、先頃の減便の際にも、私は今、近畿ブロックの知事会の会長を順番で務めておりますので、早速、運動した次第であります。

 また、関西に三つの空港があってバラバラにそれぞれが自己主張しているという事態はおかしいと思います。したがって、三空港の一体的運用が是非必要です。例えば、関西広域連合という構想があります。私は、「もしこれを推進するのであれば、具体的に、関西にある空港の一体的運用などできなくて何が広域連合であるか。和歌山県としては賛成する用意は初めからあります。」と申し上げております。なかなか議論がありますので、具体的な話はそんなに簡単には進みませんけれども、ねばり強く、和歌山県としては、いろんな手段を通じて、その一体的運用によって、関西国際空港が伸びて、それによって和歌山県だけでなく関西全体が伸びるということを是非実証して行きたいと考えております。そのためには、もちろん基盤整備も必要でありますし、それから、関西国際空港への国内線のシフトが必要であると思います。我々も努力をしなければならない。

 日々の努力もしなければいけないということで、先ほどの近畿ブロック知事会で、9月から11月までの3ヶ月間を「関空利用促進強化月間」として、各府県がそれぞれ利用促進に取り組むように運動しようと提唱して、これを実施しております。そのほか、これからいろんな議論が出てくると思いますので、関西国際空港を大事にするようなかたちに、できるだけ力を発揮していきたいと思っております。


【 答弁 】
  4.NPOサポートセンターについて
   (1)NPO活動についての評価について 【知事】
   (2)NPOサポートセンターのあり方について 【知事】

答弁者 : 知事
  NPOサポートセンターについてでございます。これまた尋ねられていないんですけれども、申し上げますと、NPO活動については生きがいの探求ということで人々を元気にする意味で大変大事なことだと思っております。私は経済企画庁で、政策実行力において弱体だと言われておるんですが、それを率いましてNPO優遇税制というのを無理をして実現させた人間でございます。そういう意味ではNPO活動の大事さというのは大変よくわかっております。ただし和歌山県へ来てちょっと思ったのは苦言ですけれども、NPOというアルファベットがついている団体だけを和歌山県は大事にしている。それならば元々ある、色んなボランティア団体、それから例えば婦人会とか老人会とか地区連合会とか消防団とか、そういう方もボランティア精神や自発性という点では大変尊いということをまた主張しなければいけないとも思っております。

 ともあれNPOサポートセンターは和歌山県の政策的なヒット商品だと思っておりまして、このNPO法人の人口10万人当たり認証数はお話にありましたように20年7月末現在で全国11番目、総数283ということになっております。
 たくさんの県民の方々がNPOやボランティア活動に携わり、様々な分野で地域の問題解決に取り組んでいただいております。とりわけ高齢者・障害者支援、ひきこもり支援等主に福祉、環境分野でNPOが増加して、県との協働事業に取り組むなど活躍して頂いているところも評価したいと思います。そうした県民の皆様の活動がより活発になることで、「元気な和歌山」につながるものと考えております。

 また実は、NPOサポートセンターというのは県営の施設なんでございますけれども、平成14年に開設いたしましたが、世の中の流れで平成18年度から指定管理者制度、お話にありましたようにNPO法人のわかやまNPOセンターに指定管理者になって頂いて管理運営をして頂いております。その管理しておられるNPOのわかやまNPOセンターの、単なる施設の管理者にとどまらない活動によって今の活動水準は保たれていると思って大変感謝しておるところでございます。
 ただこれからNPOの活動で大事なことは、段々と成熟してまいりますので、NPOの数を増やすということだけではなくて、NPOに何をやって頂くか、どういう形でNPOの力を和歌山県民のために使うかということが大事だと思っております。
 と同時に、一方で、県政の最重要課題というのもちょっと辛いんですが、行財政改革の観点からは、すべての施設についてできるだけ公費を節約していくということもまた考えて行かないといけないと思います。従いまして、聖域なく全体を見直すという意味で、このNPOサポートセンターという県営施設をどのぐらいの財政規模で、どういう形で維持して行くかということについては、これから見直して行かないといけないと思っております。
 以上

 B要望


平成20年9月 和歌山県議会一般質問について


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