平成19年12月12日(水)
@.平成19年12月
 和歌山県議会一般質問内容
  【 質問内容一覧 】
     (1)和歌山県の防災対策について
        ・公共施設の事前対策について
        ・自助、公助への支援対策について
        ・病院への耐震補強と室内対策について
        ・学校への事前対策について
        ・災害時要援護者救済への対策について
        ・企業への事業継続計画の普及について

 おはようございます。ただ今、議長からお許しいただきましたので、通告に従いまして「和歌山県における防災対策について」の一般質問を行います。どうかよろしくお願いいたします。

 言うまでもなく、地震対策は「そのうち」実施ではなく、「いま」起きたとしても生命の保全を図れることを前提として対策を講じるべきものです。
 既に耐震診断や建物改修に関しての施策は実施されていますが、それと比較して遅れていると感じるのが事前対策です。過去にも室内対策に関して、県議会で取り上げられたことがありますが、形になっていないように感じます。
 平成19年2月議会で知事は、防災対策は県政の最重要課題の一つに位置づけしているとした上で、本庁舎や警察本部、総合庁舎や学校施設に関して、平成22年度までに耐震化を図ると答弁されていますが、室内対策についての具体的取り組みには触れられていません。
 ところが室内対策は建物の耐震化と同様に生命を守る上で重要な事前対策なのです。阪神・淡路大震災を例に取ると、国土交通省住宅局のデータでは、死因の原因の約80%は家屋や家具の倒壊による圧死によるものであり、日本建築学会によると、負傷原因の約50%は家具の転倒と落下、約30%がガラスの破損によるものであると報告されています。

 このように家具や備品に、地震が発生した時の危険が潜んでいるのですから、これらに対する事前対策が建物改修と同等の重要性があるのです。
 事前対策とは、室内における転倒防止、落下防止、ガラス飛散防止の3つを言いますから、耐震構造を施した家屋でも、家具やテレビなどの転倒、落下、ガラスの飛散対策をしていなければ事前対策は不十分であると言えます。
 つまり大地震によって大きな揺れが発生すると、耐震補強をしている建物であっても、室内で固定していないものは「移動する」「倒れる」と言うレベルではなく、大地震では飛んで来るのです。生活環境の中にある家具や室内の備品が凶器となり飛び交い、そこにいる人に直撃したり、家具などの下敷きになって犠牲者が出る恐れがあります。
 また備品内に収納していた物やガラスの散乱で、避難する時に負傷することも考えられます。さらに、転倒した備品類が避難経路を塞いだり、ドアの開閉を妨げたりして避難できなくなることも予想されます。

 防災対策の先進県である静岡県の総務部防災局は「津波や崖崩れ対策としては、一刻も早く非難できるかどうかにかかっています。過去に発生した地震では、部屋の中で家具が転倒し、落下物が散乱し、さらに停電で、なかなか玄関までたどり着けなかったというケースがありました。つまり家を出るまでにかなり時間がかかり、本来であれば避難に余裕がある場所にいたはずなのに、避難時間がなくなってしまったケースです。一見、無関係に見えますが、家の中の防災対策は、津波などの対策にきわめて有効です」と話しています。
 スムーズに避難するためには、事前対策として行う室内の対策が、如何に大きな役割を課しているかうかがえます。
 これらの室内対策は建物の耐震補強と比較して比較的小額で、防災対策としては建物対策と同等に極めて効果的なものなのです。

 ところが、防災対策の現状は、建物の倒壊を補強するための耐震補強を行えば地震対策はほぼ終えた、というような空気があり、室内対策はあまり重点を置かれていないように思えます。地震の後に建物は耐震補強を施しているために残っているけれども、肝心の家族がそこにいなくなってしまうようでは何の意味もありません。

 阪神・淡路大震災は早朝5時46分に発生した地震ですから、自宅での死亡者・負傷者が大半でした。また、大きな地震は偶然にも土曜、日曜、祝日に発生しており、これが平日の昼間であれば職場での死傷者も発生します。 
 ですから、家庭だけの対策ではなく、職場にも積極的な事前対策を講じる必要があります。 
 このように、個人宅であれオフィスであれ、どんなに頑強な建物でも中にいる人間ですから、建物も、室内も、同等の割合(50:50)で対策を講じなければ、安心・安全な空間は確保できないと思います。

 内閣府発行の「減災のてびき」では「生き残ってからのことよりも、生きるため、死なないための努力を先に行いましょう。まずは、身近な空間の安全点検と必要な対策が最優先です」と記載されています。                                         
                    
 今回は、中央防災会議前委員で、内閣府地震防災対策強化地域判定会会長の溝上恵(みぞうえ めぐみ)東京大学名誉教授にも和歌山県が防災対策として欠けていると思われる点の指摘に関して協力していただきましたが、教授は「家具類の転倒、落下防止をするだけで被害は相当防げます。市民もできる範囲で対策をしてほしい」とまず所見を述べた上で、溝上教授はご自身が和歌浦に在住していた経験もあり、「和歌山県は直下型についても危ない地域なので、その対策については気にしている」と話されています。
 そして防災対策の要諦は「事前の予防対策と、直後の応急対策の二本柱であり、三つ目の柱として早期検知をかろうじて立てている」として「防災会計を先手必勝的な概念とセットにすべきだ」と指摘してくれています。

 愛知県を引き合いに出しますが、同県では、被災後の災害対策は警察、消防、自衛隊の役割でもあり、県行政は事前対策を実施することも復旧活動と同等に防災の目的であると考えています。
 それを受けた豊田市では、予防に勝る防災対策はないとの考え方から、平成14年度から平成16年度で公共建築物の耐震化と本庁舎と公共施設の窓ガラスの飛散防止、本庁舎と公共施設の書庫やロッカーなどの事務機器などの転倒防止、を終了していますし、現在はパソコンの転倒防止策を講じると共に、門、ブロック塀、遊具などの工作物や観光施設、文化財、展望台などの耐震改修に着手しています。
 まさに溝上(みぞうえ)教授の考え方を実践する形での対策を講じているのです。
 
 また、平成18年9月に和歌山県立医科大学講堂で行われた和歌山県災害医療従事者研修会において兵庫県災害医療センター顧問、県立西宮病院名誉院長の鵜飼卓(うかい すぐる)先生は、「予防、事前対策に勝る治療なし」「今、1,000万円で済むことが、災害に遭ってしまったら100億円では済まなくなる。悔いを残さないようにしてください」と教訓を残してくれています。
 さらに平成17年、和歌山市に来てくれた当時の消防庁長官の林省吾さん、後の総務省事務次官になられた方ですが、林さんからも「家具の倒れの防止とガラスの飛散防止というのが大変大事だ」と話されていたことを思い出されます。
 このように防災に関わる先生からは、一様に事前対策の重要性が指摘されているのです。

 また、内閣府中央防災会議で平成18年4月21日に決定された『「災害被害を軽減する国民運動」の推進に関する基本方針』には、「近年の度重なる自然災害や事件・事故により、安全・安心の価値がこれまでになく社会の中で認識されるようになってきた」として、「個人や家庭、地域、企業、団体等が日常的に減災のための行動と投資を息長く行う国民運動を展開することにより、災害の被害を軽減し、一人でも多くの人を救うことにつなげていかなければならない」と記されています。何度も減災という言葉が使われているように、減災即ち災害を減らす行動は、正に事前対策でなければ成し得ない、巨大災害から生きるための予防対策だと言うべきものです。

そこで知事にお伺いいたします。
(1)溝上(みぞうえ)教授は、家屋密集地帯の火災対策や工場地帯の火災など都市が持つ共通した課題を指摘した上で、中央構造線による地震への対応は決して進んでいるとは言えないとしています。
 このように、和歌山県下で和歌山市が県内で一番地盤が弱いとの指摘もあります。東南海・南海地震に関しての見解は良く聞きますが、和歌山市を中心とした中央構想線による地震に関しての知事の認識と、その防災対策の考え方についてお聞かせ下さい。

(2)愛知県や豊田市の防災の目的と同様の考え方で、「防災とは未然に災いを防ぐこと」であり、被害を低減する、いわゆる「減災」効果の生じる事前の対策でなければなりません。災害が発生してから対応する災害後の処置、対策では減災にならず、人的被害を低減できません。和歌山県でも事前の対策による防災対策を実行する必要性があると思いますが、どう考えますか。

(3)限られた予算と手段をどう組み合わせて減災するのか大切ですが、そのための防災会計の経済的観念の中で、どの順序でどこへ投入しているのでしょうか。平成20年度の防災予算の考え方についてお示し下さい。


公共施設の事前対策について

 続いて公共施設の事前対策についてお伺いいたします。
 大地震が発生した際には、指定された避難場所に避難することになりますが、今までの大震災の事例では市町村庁舎や公民館などにも避難しています。しかしその場所に地震対策が施されていないとすれば、当該施設は備品や割れたガラスが散乱して活用出来ないかも知れません。公共施設についても事前対策を講じておくべきだと思います。
 地震対策先進県の静岡県、愛知県、三重県では、建物対策と室内対策の2つを一つとして耐震補強ととらえています。全国に先駆けて愛知県の豊田市が、事前対策として、転倒、落下、ガラス飛散防止対策を市民に呼びかけるとともに、豊田市役所本支庁舎も事前対策を実施しています。豊田市は、それまで東海地震や地震による津波は、静岡県に来ても愛知県には来ないものと推測していたようですが、内閣総理大臣を会長とする中央防災会議において、平成14年4月に東海地震防災対策強化地域に指定され、以降、愛知県58市町村は事前対策に取りかかったと聞いています。

(1)平成18年9月県議会において危機管理監は公共施設の室内対策の質問に対して、「耐震化だけではなく、備品等の転倒防止が欠かせず」と答弁しています。その現状と今後の取り組みについてお示し下さい。

(2)「公助」を行う側の行政機関の職場環境も、いざという時の備えを平素から万全にして欲しいところです。「公助」を施す方々が被災に遭い、活動に支障をきたすようでは「公」の存在は無くなってしまいます。
私たちと同様に、「公助」を行う立場の皆様の職場環境を整備することは、公務員の方にとっての「自助」です。県民の皆さんよりも前に規範を示しておくべきではないでしょうか。県庁を初めとする庁舎での事前対策についてお答え下さい。

(3)室内対策は物品を買うのと意味が違いますから、高い安い、の問題ではなくて、安全と県民の皆さんの生命を守るために実施するものです。ですから、安全であると言う実証データのある工法や物品などを事前対策として活用すべきだと考えますが、如何でしょうか。


自助、公助への支援対策について

 次は自助、公助への支援対策についてです。
 防災対策の基点は家庭です。まず、家族単位での話し合いから自分の身は自分で守る「自助」を理解・認識し、ご近所、自治会、職場といった社会環境における「共助」につながっていきます。平成17年度兵庫県「生活復興調査結果報告書」では、「自助」で取り組むべき課題として「家具などの転倒防止」が86.6%となっています。各家庭で災害が起こる前に事前の対策をしておくことが自身を災害から守り、減災することにつながります。

(1)県では平成16年に「県地震防災対策アクションプログラム」を策定、その後、平成19年3月に改訂しています。
 このアクションプログラムでは死者数ゼロを目指していて、平成27年度末までに最大想定死者数5,000人を半減させるという減災目標と、その目標を達成するための具体的な対策を定めています。
 その中で、住宅の主要な部分の家具固定率については、平成27年度末までに平成16年度の24%から51%に引き上げることを目標に定めていますが、県民の皆さんへの周知方法と具体的支援について現状をお示し下さい。

(2)また神戸市では「家具の固定促進事業」として高齢者や子ども、障害者のいる世帯を対象に、家具固定などの室内対策で要した費用の二分の一、但し上限は1万円ですが、を補助する制度を設けています。
 和歌山県として、国の指摘もあり被災市が実施している室内対策への支援施策を導入する考えはありますか。
 この点に関しては危機管理監にお尋ねいたします。


病院への耐震補強と室内対策について

 続いて、病院への耐震補強と室内対策についてです。
 震災発生時には民間の児童施設や老人施設、病院に近隣の方が避難してきたという実例は数多くあります。新潟中越沖地震の例を挙げますと、新潟県小千谷市(おぢやし)では、小千谷市民病院内が地震によって手術室、病室、ナースセンター、院長室とすべての部屋が散乱し、病院機能は全室使用不可能となりました。たまたま隣に病院の老人介護施設がありましたので、震災後に入院患者をそこに臨時移動することができましたが、近隣の住民の方々も助けを求めて来られ、避難施設に指定されていなかった老人施設が、急遽、臨時避難施設になったという実例もあります。
 阪神淡路大震災の時の病院の状況も同じようなものでした。病院の建物が持ちこたえても、病院のモニターや手術機器類が固定されていなかったので、転倒、落下してしまう。薬は一面に飛散し、注射器、注射針もバラバラになってどこに行ったか分からなくなり、応急治療も手術も出来ない状態になった事例もありました。
 そして医療スタッフも被災者です。医者も医療機械の下敷きになったりすれば、どうすることもできません。

 愛知医科大学教授・高度救命救急センターの野口宏先生は、日本集団災害医学会会長として、震災時の転倒防止、ガラス飛散防止を熱心に説いておられます。東海地方と同様に、大地震の影響を受けるとされている和歌山県も危機感を持って具体的な取り組みが必要だと思います。

 県も必要とされる予算枠は一杯で何時来るか分からない災害への事前対策を講じるのは大変なことは分かっています。しかし人の生命に直接関わる問題ですから大事なことです。愛知県では、発生が危惧されている東海・東南海地震などの大規模地震から人の命や財産を守るために、地域ぐるみで家屋の耐震化や家具の転倒防止やブロック塀などの安全対策に取り組むまちづくりを進めていると宣言しています。事前対策が整うまで大地震が待ってくれる訳ではないのです。

 医療の防災体制とは、災害時に被災患者を迎えられる事前対策を講じておくことが絶対なのです。県立医大病院・日赤医療センターを初め県内の8つの災害拠点病院への室内対策を講じるべきだと思います。
 既に静岡県の静岡市総合病院では室内対策を完了し、また静岡日赤病院では室内対策を実行中です。伊勢の日赤病院も室内対策を準備中となっているように、地震が予測されている地域の病院では、事の重大性を判っているので、取り組みを開始しています。

(1)この点について福祉保健部長は「災害拠点病院や医師会、病院協会を中心に構成する災害医療対策会議等において具体的な転倒防止策について研究するとともに、災害拠点病院に対しても、適切な措置を講じるよう指導する」と以前、議会答弁されていますが、県内の8施設の災害拠点病院の耐震補強と室内対策の現状についてお示し下さい。

(2)愛知県や静岡県と比べた和歌山県の災害医療にかかわる予算配分の比較についてお答え下さい。

(3)また県立医科大学付属病院の室内対策に万全を喫すべきだと考えますが、如何でしょうか。

(4)最大の優先課題として災害拠点病院の室内対策は勿論、69の民間病院に対しても対策を講じるよう働きかけて欲しいところですが、これらの点に関して福祉保健部長の答弁をお願いいたします。


学校への事前対策について

 次に学校への事前対策についてお伺いします。
 私達は自己管理、自己責任として地震に対処すべきものですが、子どもたちの生命は大人が守る責任があります。また家庭のことは家庭で、企業は企業内で対処してもらわなければなりませんが、公共施設は行政が責任を持って対処しなければなりません。

 学校施設にはピアノやエレクトーン、テレビといった重量のある物が設備されていますが、阪神・淡路大震災の時、被災地のある幼稚園では、グランドピアノが壁を突き破って外に飛び出してしまった実例があります。またアップライトピアノはほとんどがひっくり返ったとされています。
 子どもを持つ保護者からは児童施設の地震への事前の備えについて大丈夫なのか、相談を多数いただいています。

(1)そこで教育長に質問いたします。県立中学校、県立高等学校における室内対策は実施されているのでしょうか。実施しているのであればどの点について実施しているのか、実施していないのでしたら今後の対応について、また何時までに市町村を含めて事前対策が講じられるのでしょうか。


災害時要援護者救済への対策について

 続いて災害時要援護者救済への対策についてです。
 国の定める災害時要援護者とは、高齢者、障害者、乳幼児、傷病者、妊産婦、難病者、外国人を指すと言われています。高齢者は老人福祉施設、障害者は教育委員会及び福祉施設、乳幼児は福祉保育施設、傷病者は医療法人及び福祉施設というように、教育委員会を除けば県が認可した福祉法人、医療法人が運営している法人施設にお世話になっています。

 先ほど小千谷市(おぢやし)での前例のように、緊急時には公的な役割を担う社会的立場からして、緊急時の避難施設に指定されていない施設にしても、平素から事前対策を講じておく必要性があるのではないでしょうか。
 健常者でさえも災害が起こった場合、いままで述べたように、事前対策をしていなければ、そこにいる環境によって生命を左右することになりかねないのに、要援護者の皆さんにとって、何も対策を施されていない環境にいるとことは、どれだけ不安な状況におかれているのかを、お考えいただきたいのです。
 一人で移動できない、介護を要する方が災害に遭われた時の過去の例からしても、それは大変な社会問題の一つでもあります。

 既に、豊田市に誘発された東海地区一帯では、児童施設、老人施設、身体障害者施設等の災害時要援護者の方々に関わる施設を第一優先した事前対策を実施しています。

 そこで質問です。
(1)行政が認可した法人として、その施設に入園、入院されている幼児や高齢者、そして患者さんの危機対策・安全対策としても、平素からの事前対策は必須であると考えますが、福祉保健部長には県の認可された施設の現況についてお答え下さい。


企業への事業継続計画の普及について

 最後に、企業への事業継続計画の普及についてお伺いいたします。
 企業が地震対策に備えることについて、上場企業を中心に、緊急時事業継続計画、BCPと言われていますが、この策定が活発化しています。BCPを一言でいうと、企業が被災しても重要事業を中断させないこと、また中断したとしても可能な限り短時間で再開させるための計画です。リスクマネジメントシステム構築のための指針として受け止められていますが、それがすべてではなく、事業計画とともに、生命の安全確保、二次災害の防止、地域貢献・地域との共生に、あわせて対応することも必要とされています。

 企業を一つの家庭と考えた場合、個人と同様に企業防衛を行うことは、企業としての「自助」でもあります。企業という家庭の主(あるじ)が社長であり、社員の命を左右するのです。この考え方は大会社に限らず、地場産業、中・小会社にも必要なことです。
 和歌山県内では、株式会社オークワが「防災への取り組みが特に優れた企業」として日本政策投資銀行から「防災格付」融資を実行されましたが、これに続く企業はないようです。 
 もちろん和歌山県がBCPについて県内企業に呼び掛けていますが、企業が具体的取り組みにまで至っていないのが現状ではないでしょうか。
 和歌山県内都市部に地震や津波が発生すれば、無防備状態の企業は一夜にして操業停止に陥り、和歌山県経済は崩壊しかねません。自然災害に対する危機意識の向上、危機管理の重要性を企業管理責任者の胸に痛感することがない限り、和歌山県の企業防衛は不可能かも知れません。震災から生き残れたとしても、会社が潰れてしまえば、多くの社員の生活も路頭に迷うことになります。
 震災は私達の生活環境を奪います。だからこそ、企業責任者の方々の意識改革が必要なのです。大企業だけのテーマにしないで、中小企業の生き残りの対策として自然災害の脅威・恐ろしさを認識し、危機意識と企業責任を真摯に学んでいただき、被災後に後悔しないための取り組みを、今から実施しておくべきです。

 今年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の震源地、柏崎市の柏崎商工会議所が会員企業2,045社を対象に、被災状況についてアンケート調査の結果があります。回答した724社(35%)の被害額は、直接被害71億4,053万円、間接被害は95億8,522万円で合計167億2,575万円。雇用状況については31社が解雇、今後の見通しについては369社(50.8%)が「厳しい」と回答しています。
 このように地震が残した爪痕の深さが明らかになっております。幸い、被災した日が「海の日」の祝日だったのですが、これが平日だったとしたら、被害額は数倍以上になっていた筈ですし、データは2,045社の内724社(35%)の回答ですから、実際の被害状況は回答以上のものだと言えます。

 そこで質問です。
(1)このような事例が少しでも減災されるように、県内企業の有志の皆さんに、行政指導とは言わなくとも、BCPの根本的な意味と重要性を把握し、早期に事前対策を実施するように、一層より強く働きかけるべきではないでしょうか。
平成19年11月17日付けの朝日新聞で「巨大地震会社にいたら」として記事掲載があります。東京消防庁では、日本家具オフィス協会の協力を得て、オフィスでの転倒・落下防止に関する指針を作成して、企業への呼び掛けをしているようです。
 この点に関しては商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

 以上で第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
 以上

 A.答弁へ


平成19年12月 和歌山県議会一般質問について


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