続きまして、企業誘致による雇用対策に関して、人口減少への対応に関して質問をいたします。
市長の所信では経済状況に回復の兆しがあると述べられましたが、和歌山市の事業者に関しては、そのような実感は感じられない状況が続いていると伺っています。
夏休みから現在に至るまで、和歌山市内で会社を経営している方や働いている方々と懇談を行いました。そこで感じたことは、和歌山県や市に関する各種経済指標によると経済状況は改善されていると報告されているのですが、実態はそうなっていないことです。和歌山市内の中小企業、小売店は経営的に厳しい環境に置かれています。
最近も県内で知られていた建設会社が倒産したように、建設需要が少なく本業だけでは生き残れない状況があります。
ある住宅会社では、平成18年の上期の現在までの実績は、創業以来最も悪い状況になっていると伺いました。ある果物店の場合、商売だけでは収入が減少し、ご主人が仕事に出掛けるようになりました。
また和歌山市の中心地に近い飲食店が立ち並ぶ地域でも人通りが少なく、来店者数は減少しているようです。まちに人がいないと飲食が活気を取り戻すことはありませんから、商業地に人を呼び戻す施策を講じることが必要です。
全国規模の会社では景気回復の兆しがあるようですが、和歌山市ではその環境にありません。会社経営が厳しいことは、そのままそこで働く人にとっても厳しい環境にあるのです。
経営者や働く人達から期待されていることは、まちに賑わいを取り戻して欲しい、若い人の働く場所が欲しい、企業誘致をして欲しいと言ったものです。やはり人が出ていると実感させてくれる人通りや、企業誘致が和歌山県にとって重要な施策です。
また高校生を持つ親の世代が、和歌山市で一番の課題だと実感しているのは働き場所の確保についてです。企業誘致が一番実現して欲しいものだと話してくれました。
ある方のお嬢さんは商業高校に通学していますが、商業高校を卒業しても就職先がないのが現実だそうです。高校生はこのような状況の中どうしているかと言うと、大学進学や専門学校への進学を考えているのです。かつては商業高校を卒業したら、いくつかの就職先が待っていたのです。確実に働き口があることから進路として商業高校を選択する生徒があったのですが、現在はそのルートが崩れています。商業高校を卒業しても就職出来ないとなると、県外での就職か、県外の大学や専門学校に行くことになります。
兎に角、和歌山市の課題でも大きなウェイトを占めているのは企業誘致であり、若い人の働き場所の確保です。特に、自分の子どもが学校を卒業する時期になると、働き場所の重要性を感じるようになり、企業誘致と雇用の確保に関して強い期待があります。
和歌山市でも市外からの企業進出に対しては、各種補助金を支出する施策があることは周知の事実ですが、この制度があるから和歌山市に進出、移転しようとする企業はそれ程多くないと思います。
何とか企業誘致を図るための施策や雇用を生み出すための方策がないものか考えてきましたが、新産業創出など実現するまでには、それなりに時間を要するものです。そんな中、市長の政策宣言の中に希望を見出せる施策が示されています。
それは「企業誘致等による雇用の確保。誘致奨励制度活用により5,000人の新規雇用確保」に関する取り組みです。
期限は設けられていませんが、二期目に実施する政策を市民の皆さんに公約しているのですから、4年間で実現することを約束していると推定できます。中心市街地の空きビルを再生させ、廃線の危機にあった貴志川線を存続させた豪腕市長が、公約にしているのですから、勝算があると思います。
企業誘致による雇用創出は、労働生産性の観点から若い世代が対象となり、地元は勿論、市外からも呼び込めます。5,000人もの雇用が発生すれば和歌山市の人口は増加し、高齢化率も低下します。まさに働き場所の創出、若い人の増加による活性化、人口減少への歯止めなどの効果につながることを期待したいところです。
人口問題は予測ではなく統計的に確実な未来をはじき出すものです。和歌山の人口が減少することは確実な未来ですから、現在の延長戦上で食い止める手段はありません。働く場所を増やす以外に人口減少を食い止められないのです。
既に2003年推計人口調査では、生産年齢人口が減少するのは、全国で和歌山が上位から4番目と推定されています。このことは他地域より経済が縮小することを意味しており、和歌山の地域経済の縮小率は全国でワースト3位、縮小率が20%と、大幅に超える地域と位置づけられています。(出典:県民経済計算および政策研究大学院大学松谷明彦教授推計)
○そこで質問です。具体的な企業誘致の見通しについてお示しください。また5,000人の雇用を発生させることは素晴らしいことで、4年と言わずに早期に実現させて欲しいものですが、その根拠について教えて下さい。
企業誘致と雇用創出が図れる施策は、まさに全国モデルとなり得る施策です。若い人達に希望を持たせてくれる政策ですから、既に、学生の子どもがいる世代の皆さんは大いに期待しています。
○昨年度の国勢調査からもうかがい知ることが出来るように、和歌山市の人口は減少の一途をたどっています。事業所の閉鎖や学生の卒業後の進路の問題など、何か構造的問題が潜んでいる筈です。
ストップ・ザ・人口減少を、市長の重点施策のタイトルに掲げていますが、人口減少の要因はどこにあるのか、また新規雇用と絡めて、どのようにして人口減少をストップさせようとしているのか、市長のお考えをお聞かせ下さい。
以上、答弁をお願いして第一問を終わります。