(2)中心市街地活性化について
【質問】
大橋市長の公約の一つに中心市街地活性化があります。この公約は、ぶらくり丁の活性化を図るために旧丸正ビルに商業施設を誘致するというものです。
中心市街地が再生出来ていないことを顕著に示している指標として、和歌山市の商業地の地価が下落している都市そのものの問題があります。
注目すべきは、平成17年9月に国土交通省が発表した地価調査結果です。それによると全国的に土地価格の下落に歯止めがかかり上昇するところが出ていますが、和歌山市の中心地である本町1丁目の土地価格は下落率22.5%で、全国でもワースト5にランクされています。
全国的には景気回復基調にあることを裏付けるように土地価格は上昇傾向にありますが、商業地としての中心地であるぶらくり丁の下落傾向は歯止めがかかっていません。私達が思っている以上に、全国的には商業地として評価されていないのです。
地価が下落するのは、その土地が収益を生み出す構造になっていないことから魅力がなく、土地の取引が活発ではないことを表しています。
人が交流する地域の土地の価値は上昇するのは、そこに店舗を構えているだけで収益が期待出来るからです。
ぶらくり丁の通行人は減少の一途を辿っています。和歌山商工会議所による中心市街地通行量調査によると、昭和63年には約15,000人、平成2年には約25,000人あった通行量が、平成15年には約7,000人と大幅に減少しています。(日曜日のデータ)
この15年間で通行量は2分の1となり、平成2年と比較すると3分の1の規模になっています。これでは商業地としての地価が下落すのは無理もありません。
もうひとつ、中心地である本町地区の人口を見ますと、昭和50年には定住者は7,470人だったのですが、平成12年には4,120人になっています。25年前と比較すると55%の定住人口であることは、居住地としても和歌山市内における中心地の地位は低下していることを示しています。
居住地としても魅力がなく商業地としての魅力にも欠ける状況では土地価格は上昇しません。
和歌山市の地位低下を示す事例は他にもあります。本年11月27日から南海本線のダイヤ改定で、難波、和歌山市間の特急および急行が約三分の二に減便されています。理由は、関空アクセスの増強のため空港線の運転本数を増加させるためです。空港便の増強、泉佐野でのアクセス改善などの取り組みは、鉄道のマーケットとして和歌山市の価値が低下していることを意味しているのではないでしょうか。
都市経営の目的のひとつは、所得機会の維持と拡大にありますから、地価下落は自治体経営を行ううえで大きな問題です。直接的には中心市街地の事業者の所得が減少、または廃業などによる所得機会を失わせることがあります。また和歌山市という都市の経営資源の価値を低下させているため固定資産税の減収も余儀なくされています。
市長が中心市街地活性化を掲げたのは、賑わい創出と商業地として再生することで事業者の所得機会の創出と土地価格を上昇させ固定資産税にも反映させることが狙いだと思います。中心市街地が自治体経営のうえで重要であることを認識した取り組みが必要です。
この取り組みの結果は他の自治体の取り組みとは異なり、地価の動向として顕著に成果が数字で現れますから市長の能力が測られます。
そこで質問です。
1.全国で下から5番目に土地価格が下落しているのが本町1丁目です。この土地価格下落の現実をどう評価していますか。また通行客、居住者数とも下落傾向にありますが、この状況をどう評価していますか。
2.公約として掲げている旧丸正ビルへの商業施設誘致はどうなっていますか。また市長の任期中に誘致成功の見通しはありますか。
3.今後の中心市街地活性化に向けての取り組みはどのようなものになっていますか。以上、お答えをお願いいたしまして第一問とさせていただきます。
【答弁】
大橋市長
旧丸正ビルへの商業施設誘致については,周辺状況を改善することでの消費潜在力や民間活力の向上によって出店リスクを低減させることなども視野に,人が住み,人が訪れるまちとしての中心市街地活性化を目指すとともに,民間による買取りや活用の状況について注視しているところです。
また,旧丸正ビルの再生は,商業施設誘致のみでなく,様々な選択肢が考えられると思っておりますが,どの選択肢を選ぶにしても,これらには関係者の御理解が必要であるなど,解決へのハードルが高いのも事実でございます。
しかし,再生に向けての可能性はあると考えておりまして,私としましても再開に努めていく気持ちに変わりはありませんので,地域の活性化に注力し,それとの相乗効果を狙いながら,有効な再生の道が開かれるよう,可能な限り努めていきたいと考えています。
議員ご指摘のとおり,中心市街地が自治体経営のうえで重要であることは強く感じているところであります。
そこで今後は,引き続き中心市街地の地域資源を広く認識していただくなど,まちづくりへの意識の共有を図る取り組みや土地家屋の流動化の促進に加え,少子高齢社会にも対応した都心居住の誘導等の取り組みを新たに研究していく必要があると考えています。
まちづくり推進室長
中心市街地の土地価格下落や通行量,居住者数の減少という現実は,統計的に見れば,地域の経済活動が縮小しているということでもあると考えます。
その背景には,郊外型大型店舗の立地や人口の郊外流出など,様々に分析される複合的な社会状況の変化があり,それによる影響が本市でも進んでいるということであります。
この現状を放置すれば,市にとって,都市構造の側面や税収の側面から見ても大きな損失へとつながると認識しています。
いずれにせよ,多岐にわたる要因が考えられるため,地域資源を認知していただく事業や地権者向けの講座の開催など,ひとつひとつの施策を積み重ねていくことで,総合的な活性化につなげていく必要があると考えています。