平成16年12月 7日(金) |
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B.平成16年12月
和歌山市議会一般再質問内容 |
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(1)防災対策について
お答えいただきましたので再質問をさせていただきます。
最初は和歌山市の震災対策についてです。先般「市報わかやま」と共に各地域の避難場所を示す和歌山市避難場所マップが配布されました。これは数年前に配布されたものをリバイスしたものです。自分の居住地域の避難場所を把握していない方たちがいる中で、ハザードマップを作成するまでの間、危機に備えて避難場所を知らせようとする試みは評価できるものです。
新潟中越地震や豊岡市、出石市に水害が発生したことで、災害に対する備えをしている方が増えていますが、自分が住んでいる地域の避難所がどこなのか知らない方が多いようです。
そのために、公共物である電柱に地震などが発生した場合の避難場所表示を行うことを提案します。
路上に避難場所の表示を行うことによって、日常生活において無意識のうちに避難場所がどこにあるのか意識の中に刷り込まれますから緊急時には効果的です。
地方自治体が財政難であれば、その分知恵を働かせる必要があります。
地方自治体は財政難で単独で市内の必要箇所に看板を取り付けるのは厳しい状況ですから、「スポンサー相乗り広告」として、災害時の避難場所を看板として取り付けることを提言します。
避難場所の表示は「被害時の指定避難場所→○○小学校」などとし、看板の下部にスポンサー企業名を掲載します。
各地域で避難指定場所となっている市民会館や小中学校近くにある電柱を選び、避難場所広告を取り付けることは市民の安全対策上、あるいは不安感を緩和するためにも効果的です。
東海地震対策が進んでいる地域では、電柱への避難場所表示看板を取り付けている例があります。愛知県日進市では平成15年12月に実施されていますが、これは全国で初めてのものです。日進市事例は地域防災のあり方について問題提起しています。
電柱広告のスポンサーとなった病院長は「地域防災は住民が連帯して進めていくことが大切で、それぞれの地域で拡大されたら」と話しています。
横浜市では、市営バスの停留所に広告付きパネルを設置し、本年11月4日から利用が始まっています。公共サービスや社会資本整備に関して民間活力を利用した例です。このようなストリートファニチャー事業は1960年代にパリで誕生した手法です。ヨーロッパでは公共トイレや行政情報パネル、ベンチ、街灯などが事業対象となっています。
中田横浜市長は「1基200万円要していたバス停の横浜市の負担はなくなるしデザインと機能性も格段に良くなった」としています。
続いて、大阪府の事例を紹介します。大阪府では道路案内板の新設や歩道橋の塗り替えについて民間企業から協力金を募る考えを示し、平成16年中にも実施する予定となっています。
道路に企業名をつける冠道路も検討されています。第一弾として、平成16年12月にも堺市内の熊野古道であったことを示す案内板に企業名を入れる考えを示しています。
歩道橋については大阪府では318箇所を管理していますが、平成16年度に確保している塗り替えの予算はわずか3箇所分だけです。そこで地元企業に資金協力を求めることも検討されています。
参考までに、市道における路上広告物の取り扱いについて法的根拠はありません。それにも関らず規制している経緯は次のようなものです。
時代を遡って昭和39年、東京オリンピック開催の際、当時の河野一郎建設大臣が関西方面へ視察した時に看板が乱立していたことから「見苦しいから撤去せよ」との一声がきっかけです。
大臣の意向をうけ、昭和39年5月、建設省道路局長から、「指定国道内における路上広告物等の占有許可基準について」の通達が出されています。
和歌山県は通達を遵守していて、国道・県道での新たな看板設置の占有許可は不可としていますし、和歌山市も県に準拠した考え方で扱いとしては総量規制(359個)をしています。
通達が出されたS39年当時から約40年が経過した現代、見直されていない通達だけを鵜呑みにしないで、今日の社会情勢に応じて現実的な対応をしている自治体もあります。
公序良俗に反する屋外広告物は当然のこと、景観保全のためにも路上広告物は乱発すべきではありません。一方でセンスの良い広告物もあり、町並みと調和しているのであれば、まちのイメージ戦略として活用している瀬戸市の例もあります。特に防災関係や避難所表示などの公共的な活用をするのであれば、40年前の通達から脱した解釈をしても良いのかなという気がします。
他都市では、そこに暮らす人の安全確保への取り組みを進めています。防災対策として、路上への避難場所表示の導入についてお答え下さい。
続いて、和歌山市震災基金の設置についての提言です。和歌山市では危機管理が最大の課題のひとつです。
災害が起きてから対応するのではなく、日頃から震災対策用基金を募っておくことを提案するものです。震災基金を持っておくことで、民間団体などから随時災害対策費用が集められます。
和歌山市に暮らす多くの方々から、新潟県や豊岡市の被災者への義捐物資の提供がありました。和歌山市にいながら何か出来ることはないか考えている人が多いことは、和歌山市にとって誇りです。決して他人事とは思わないで、あちらこちらに声をかけて物資を集めてくれています。寒さ対策と聞けば毛布などを集め、赤ちゃん用のミルクが足りないと聞けばメーカーに掛け合ってくれています。和歌山市の方々の災害に対する意識は随分と高くなっています。
既に民間団体や組織からの義捐金は多くの箇所から送られています。意見として出されているのが行政の対応の遅さです。民間では既に物資の発送、義捐金を送金しているのに、自治体に問い合わせても窓口がなく明確な対応がなかったというものです。非常時でも民間のスピードが勝っています。行政が義捐金窓口を設置する前に、各種団体毎に義捐金の送金が完了しているケースがあります。
また個人でもいくつかの団体に所属しているため、所属団体毎に義捐金を支出しています。それでも良いのですが和歌山市としての対応が見える形にするためには、各種団体からの義捐金をまとめて一括として届けることも手段です。
義捐金を受け取った被災地の地方自治体は、和歌山市からいち早く、しかもまとまった義捐金を届けてくれることを記憶してくれる筈です。最初に行動を起こせば、例え少ない金額でも最大級の感謝をいただくことが可能です。
災害基金の利点は次のようなものがあります。
毎月の市報やホームページで積立額を公表することで災害に対する意識が高まります。
基本的には東南海・南海地震に備える基金としますが、今回のような他府県での災害に対してはここから拠出することにします。常時口座を開設しているため関心のある方は基金を活用してくれます。
災害対策基金の設置は、他の自治体での震災へ応援と和歌山市に万一の事があった場合に備えることが可能です。他府県が災害に見舞われた場合、和歌山市の基金から義捐金支出として一括で届けることとします。
基金設置により市民の皆さんに危機感を持っていただくことが出来ますし、一年間に一人100円積み立ててくれるだけで、3,800万円の積み立てが可能となります。
和歌山市民が被災者になる場合もあり得る訳ですから、他府県の被害に対して和歌山市の対応が迅速的確であれば、その時に全和歌山市民が恩恵を受けることが出来ます。和歌山市全体を考えるのであればこの施策は有効だと考えます。
このような利点のある震災基金の設置についてお考えを示して下さい。
(2)黒潮リーグ構想について
続いて和歌山市が独立リーグに参画を表明し、仮称黒潮リーグとする計画についての提言です。
野球に関して四国独立リーグ構想があります。この構想は元オリックス監督の石毛宏典さんが提言しているもので、プロとして位置づけられています。石毛さんはIBLJを設立し、今のプロ野球とは異なる機構で四国の各県の県庁所在地に1チームを設置し、合計4チームでリーグ戦を行おうとするものです。シーズンは4月から10月まで。一週間に4試合を行うため各チーム合計90試合を実施します。1チームは22名で構成、監督とコーチはプロ野球OBを起用する計画です。
既にオフィシャルスポンサーとして、四国コカ・コーラボトリングとNEC、日本航空と太陽石油、アークバリアが決定していて、あと数社が名乗りをあげる段階となっています。加えて、JR四国もスポンサーとしての支援が決定しています。
独立リーグ運営のランニングコストは約7億円、スポンサーで半分、入場料収入が半分で捻出する予定です。
フランチャイズは、愛媛県が坊ちゃんスタジアム。高知県が高知市営球場、香川県がオリーブスタジアム、徳島県が倉本球場となっています。試合は基本的にナイターですが、高知市営球場はナイター設備がありませんから土日の開催となります。問題は設備などのハード面ではなく、やる気です。
行政からは球場を借り受けることになっていて、四国各県と所在地の市からの費用の持ち出しはゼロです。石毛さんは行政にお願いしていることは、球場の優先使用権と使用料金への配慮だけです。
四国4県の知事と当該市長は全員、独立リーグを歓迎しています。ある市長は「四国4県が協力したら球団経営は可能だ」と断言しています。
さて11月末に石毛さんと会って、四国独立リーグに和歌山県も参画し、黒潮リーグとしてリーグ戦を行うことが出来ないか話し合いました。
四国と和歌山そして本州のもう1チームによる合計6チームにより、海を挟んで交流を行うのは夢のある構想です。
和歌山県では、和歌山市と有田市、田辺市、新宮市にある球場をホームグラウンドとし転戦します。各地での盛り上がりが期待できますし、野球王国和歌山の裾野を拡大するためにも、黒潮リーグ構想が実現することは望ましいものです。
極端に言うと、今の日本ではスポーツだけが元気の素になっています。今年に限ってもアテネオリンピックの日本人選手の活躍。安打数でメジャー記録を打ち立てたイチロー選手と、ヤンキースの四番松井選手。日本人初のNBA(プロバスケット)選手となった田伏選手などが記憶に新しいところです。いずれのプレーも私達を感動させてくれました。
先日、仙台市へ視察に行った議員からは、仙台市は楽天のプロ野球参入でまちが盛り上がりを見せていると聞きました。全国的にも仙台市と東北が注目を集めています。プロ、またはそれに順ずるスポーツチームのフランチャイズとなると地域が活気づきます。経済効果だけではなく地域のまとまりや地域のチームを応援することによる活性化、地域としての誇りなど無形の効果は計り知れないものがあります。
当然フランチャイズとするためには運営費用は必要ですが、四国独立リーグチームを維持する年間経費は1億6千万円です。夢と地域活性化を図る手段として高いか安いかの判断は人によって異なりますが、地域で要望すれば決して手が届かないほど法外な金額ではありません。
経済の活性化や地域再生の必要性、まちに活気を取り戻すことなど、課題はたくさんありますか、全てに通じることは和歌山にとって元気が出るための何かきっかけが必要だと言うことです。
即効性があるのは、私達の関心が高いスポーツのチームがまちにあることです。地域と共にあるJリーグの運営は参考になります。プロ野球のフランチャイズであるような大都市でなくても、Jリーグでは地方でプロチームを持っているまちがあります。地域のチームほど熱狂的で、まちのチームを応援することで地域としての活性化が図れているようです。
勿論、理解のある複数のスポンサーが必要ですが、初めからあきらめていては何も出来ません。和歌山市には夢が最も必要です。黒潮リーグを観戦して休日を楽しむ、翌日の試合講評の記事を読むなど、和歌山市になかった新しい生活が提供されることにもなります。
四国からのバス遠征がありますから、和歌山のホテルや飲食店も賑わい、四国の県庁所在地との文化交流も図れます。
黒潮リーグのデメリットもありますが、そのリスクを恐れていては何事も実現しません。現状維持で良いと考える思考が、やがて冒険を避けるようになります。和歌山全体にそのカルチャーが定着しているのは恐ろしいことです。
今の殻を打ち破るためには思い切った施策を提案する人の存在と、それを取り上げる度量のある権限者が必要です。駄目だと言うのは容易いことですが、もうその思考から脱却する時期に来ています。
和歌山が独立リーグへ参画することも視野に入れて欲しいのですが、市長にはこの構想
に関してのお考えをお聞かせ下さい。また躊躇する理由がありましたらお答え下さい。
企画部長には、中期計画の見直しを行っている最中だと認識していますが、スポーツによる地域振興の項目と、その中で黒潮リーグ構想を織り込めないものかお答え下さい。
(3)和歌山大学観光学部について
和歌山大学では、平成19年4月に観光学部を開学する意向を持ち文部科学省に打診しています。観光学部を持つ大学は全国で3大学だけで、国立大学には設置されていません。
しかしサービス先進国のアメリカではメジャーな観光学部を持つ大学があり、必要とされる背景にはホテル産業への人材供給にあります。観光学部で身につける最大のものはホスピタリティです。この言葉は欧米と文化的背景が異なるため適切な訳語はありませんが、あえて当てはめれば、よそ様へのおもてなしです。この気持ちが地域として大切なのに欠けているところが多いのです。ヨン様へのおもてなしは十分出来ているのに不思議です。
観光を地域振興の柱にしようとすれば必要不可欠な精神で、地元大学で観光学を学べる環境を持ちたいものです。国立大学法人が主体となっていること、サービス産業化は時代のすう勢でもあり和歌山も必要としている学部であることなどから、設置に向けて支援体制をとって欲しいものです。
既に、和歌山市を初め和歌山県、和歌山商工会議所などから、和歌山大学観光学部設置についての要望書を和歌山大学に提出されています。
市長は、観光学部新設については地域にとって有意義であることを答弁していただきました。要望書を出したことを含めて、市として積極的に支援する意向であると思っています。
和歌山大学長は観光学を学ぶ環境を大切にしたいことから、現在の栄谷キャンパスではなく、和歌山市内に校舎を持って行くことも考えています。
そこで質問です。学習環境や和歌山市中心部を初めとする活性化のためにも望ましいことだと考えますが、市長はこの学長の意向を受け、市の施設賃貸や民間建物の賃貸での協力をする意思はありますか。
また今年3月29日に、和歌山市と和歌山大学が地域連携推進協議会を設立し連携体制をとっていますが、この協議会会合はその後開かれていますか。またそこで観光学部について話し合われた実績はありますか。
協議会の目的は、大学の知的資源活用とまちづくりや地域活性化に役立てることですから、和歌山大学はこの協議会を活用して支援体制と観光学部による地域活性化策を話し合いたいとの要望がありますが、如何対応していくのでしょうか。
以上を第二問とさせていただきます。
以上
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