平成16年 6月17日(木)
C.平成16年 6月
 和歌山市議会一般質問内容
 (2)再質問
内容・答弁
(2)自然と都市機能を活かしたまちづくり再質問

 児童虐待はともかく、社会的ひきこもりの実態はよく分からないのが現状です。
 児童虐待問題の増加と虐待の背景は多岐に渡っていること、また身体発育や知的発達の阻害、情緒面の問題、世代間連鎖も引き起こすと言われており、対応には高度な専門的知見が必要です。
 このような状況から、児童虐待や社会的ひきこもりに対応する指導者数が絶対的に不足しています。それに加えて、カウンセリングの指導者に対する研修の機会は少なく、もっと知識を深く掘り下げる機会付与が緊急の課題です。

 児童虐待や社会的ひきこもりの増加に対して、力を持った指導者が必要ですし、指導者数が絶対的に不足していることから、社会的に養成が求められています。
 指導者に求められるのは高いレベルでの指導と、相談者とどのよう係わり合いを持つか統一されていることです。誰に相談しても一定の水準が保たれていないと、ひきこもり問題の解決は図れません。

 指導者の育成、対応レベルを高水準に保つための研修機関の必要性を痛感しています。
 児童虐待や社会的ひきこもり問題に関して公的機関の整備がまだまだ必要なこと、和歌山市では指導者への研修は行われていますが、さらに様々な事例に対応出来るだけ研修機会が望まれると感じています。

 このように、関係する職員に対する質の高い研修機会の確保は急務の課題であり、児童虐待と社会的ひきこもりなどの思春期問題に対応するため、第一線の専門的援助者の養成と高度専門知識の集約と情報発信基地となる日本虐待・思春期問題情報研修センターの誘致に、和歌山市が名乗りをあげること提案いたします。この施設は日本で一箇所あるだけなので、全国から指導者たちが研修生として訪れています。
 現代社会の課題に果敢に挑戦するために、厚生労働省が横浜市を介して設立した国立民営の施設です。このセンターは、設立以来、専門性を発揮した各種研修や研究を実施しており、厚生労働省を初め関係機関から高い評価を得ています。

 センター長である東京大学の小林登名誉教授は、国立小児病院名誉院長や日本子どもの虐待防止研究会会長の要職についているわが国きっての医学博士です。
 教授は、医療のことは研究する人はたくさんいるため、新しい立場で子どもの心を育てる研究を行いたいと考え、日本虐待・思春期問題情報研修センターの設立に尽力、設立しています。

 この小林教授が、和歌山市の持つ自然環境と潜在能力を高く評価し協力体制を取ってくれています。東日本の研修生は横浜市のセンターで受け入れる、西日本の研修生は和歌山市で受け入れることで役割分担が出来ます。お互いに研修ノウハウを蓄積し交流することで、一箇所だけで研修を行うよりも効果は高まります。
 何よりも、精神的研修施設設置は都心では不向きです。海と緑に隣接する和歌山市が最適なのは言うまでもありません。既存のセンターにないプログラム組み込むことで差異化が図れ、和歌山市の存在意義は増します。
 カウンセリングのデスクワークと、動物を介在させた療法、作業療法などを取り入れた幅広いカウンセリング体制を整えた和歌山市であれば、全国に発信できるものです。

 社会的ひきこもりや不登校の子ども達を社会復帰させる上で有効なプログラムとしてホースセラピーが注目を集めています。医学の進んだドイツにおいて、ホースセラピーは健康保険が適用されていることからも治療効果が伺えます。
 ある団体がホースセラピーを実施した統計があります。自己回復力を引き出し、自立支援プログラムを施した児童210人に対して、学校への復帰人数は145人、回復率は69%に及びます。
 同様に、ドッグセラピーやイルカセラピーは認識が広く、その効果はご存知のとおりです。動物介在療法をも活用した研修施設は自然の中にありながら、交通の便がよい和歌山市は最適な環境にあります。
 横浜市の施設にない、動物介在療法を組み合わせることで独自の滞在型カリキュラムも組み込める環境を和歌山市は持っています。

 この日本虐待・思春期問題情報研修センターは厚生労働省のガイドラインの主旨に沿ったものであり、指導者に対しての研修機関が不足している現状について、市長の現状認識をお聞かせ下さい。



答弁者 : 市長
 子どもの虐待への対応にいたしましても、社会的引きこもり者への対応にいたしましても、それに関わる専門職の資質の確保・向上は極めて重要であり、専門的な知識を深め、援助技術を高めるべく常に研鑚を積む必要があります。
 一方、虐待を受けた子どもたちや、虐待者たちへの専門的なカウンセリングが必要なケースも多くありますが、市内及び近隣では、専門的な心理診断及びカウンセリング・治療が可能な医療職や医療機関等は極めて乏しいのが現状です。
 子どもたちとその保育者や社会的引きこもり者等に関わるすべて職種が常に研修を受けることができ、また、不足する専門の医療・福祉職を養成する施設が身近にあることは,非常に意義深いことと考えます。

 以上

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平成16年 6月 和歌山市議会一般質問について


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