平成16年 6月17日(木)
5. 平成16年 6月
 和歌山市議会一般質問内容
 (1)(2)再々質問
内容・答弁
(1)都市公園のあり方について再々質問

 和歌山モデルと成り得るためには全国に先駆けて取り組むことです。前例がないからだとか、他都市の例を見てなどと言っていたら特徴もない魅力もないまちになります。

 かつて和歌浦でGTレースを実施する動きがありました。和歌浦の公道をレーシングカーが走る姿は、F1のモナコグランプリを思わせるものがあります。企画ができスポンサーもついたのですが最終段階で、日本では前例が無いとの行政の判断によりこの企画は立ち消えとなったのです。もし実施していたら、今ごろは全国から観光客が集まるイベントになっていたことでしょう。
 全国が注目する企画は単なるイベントの域を越えますから、観光地としての施設、ホスピタリティが生まれていた筈です。

 民間でも新しい動きがあります。和歌山市のウェディングの流行は東京から3年遅れというのが業界の評価です。近々東京発でシェアを伸ばしているウェディング会社がやってきます。これにより流行の遅れを半年程度取り戻せるそうです。
 東京が全て優れているとは言いませんか、周回遅れでは自信を無くしてしまいます。注目すべきは、新進の会社が来ても遅れを半年取り戻せる程度だということです。地域に根ざした文化とはそれ程深いものです。

 先進的な取り組みもありますが、全ての分野で先進的な取り組みをしているとは言えない和歌山市において、地元やNPOと協調した公園管理のしくみを作ること、愛犬と共生できる都市公園を築くことは「和歌山発の売り」になります。
 ドッグランは愛犬家だけの利益になるのではなく、犬の利用集中により、犬の苦手な人にも公園利用の快適性向上にもつながります。

 勿論、市民ニーズだけを取り上げるのではなく、全員が気持ちよく使用するためのルールの作成も必要です。ドッグランを設置する場合には、他に人や、他の人の愛犬に危害を加えないことや大便の持ち帰り、トイレマーカー設置場所に小便をさせることなど飼い主としてのマナーを厳守することを利用条件として定めておくことです。
 マナー管理と衛生管理の講習を飼い主に義務付け、それを受講していないと公園に入れないことなどの基準を設けたら良いのです。社会で共生するためには、お互いに譲り合う気持ちを持つことが前提となりますから義務を課すのも良いと思います。

 昭和記念公園のドッグラン設計に関わり、今また都市公園マニュアルに関わっている先生は、和歌山市が本気で取り組む気持ちがあれば、犬と人間との関わりと飼い主のマナーについて講演でも講習でもしてくれると言ってくれています。
 前提は、和歌山市が人間とペットとの共生の発想を実現しようとすればの話です。駄目ならこの先生は他の地方自治体の指導に行ってしまいますから、都市公園問題でも和歌山市は後手を踏むことになります。

 「動物の愛護および管理に関する法律」が改正されています。ここで「ペットは日本人の生活になくてはならないものであり、」と記載されていることから、ペットは趣味から生活必需に変化していることから、動物行政面で変化しなくてはなりません。
 趣味ではなく生活必需になるとペット同伴の場合でも、公共サービスとして公園利用を阻止することは難しくなっています。

 世界で最も魅力的な街のひとつである「花の都パリ」の道路に、散歩をする犬たちの  排泄物を処理するシステムが備えられているように、これからは、都市計画の段階から犬や猫がまちに生息することを考慮し、人と犬・猫たちが共に快適に暮らせるシステムや規則を整備、公共マナーや衛生管理についても啓発を行う必要に迫られています。
 公益的行政サービスの視点をとれば、飼い主だけが受益者となるサービスではなく、全員が受益対象となるマナー教室を積極的に取り入れるべきです。犬と猫はどこのまちにでもいることを認識し、まちのルールを決めた上で、飼い主にルール指導することも行政に期待されています。

 国営公園の先進的な事例に基づいた都市公園のあり方について、飼い主へのマナー講習を含めた動物との共生のルールをつくるなど、和歌山市が全国に先駆けて取り組みをすることを期待しています。



(2)自然と都市機能を活かしたまちづくり再々質問

 健康サービス産業は、観光業としての価値も併せ持っています。
 日本有数の旅行会社商品の中で、ヒットしているのが観光と医療を組み合わせた企画です。宮崎県都城市で先端医療検診を受け、市内観光を楽しむツアーが東京でヒットしています。旅行費用は20万円を要しますが、好事例として全国の支店に紹介されています。
 健康が関心ごとであり、それに対してお金を支払う社会になっています。単なる観光にはお金を使いませんが、付加価値のあるモノに対しては私達の消費性向は高まります。
 
 和歌山市の自然だけを見に来る観光客は少ないと思います。事実、大手旅行会社の旅行パンフレットには、和歌山市観光ツアーの企画は殆どありません。
 先日も旅行会社の方に和歌山市へ来てもらいました。「確かに海はきれいで、関西空港からも近いので魅力的だ」とリップサービスを受けましたが、それだけで直ちに商品化されるものではありません。
 しかし、健康サービス的要素を付加できるなら話は違ってきます。
 この旅行会社から、長期的に見ると特定のコンテンツに頼った既存の観光医療は大きな魅力にならないとした上で、動物セラピーを中心とした取り組みは、和歌山市オリジナルの持続性の観点から将来性があるものと回答をいただいています。

 和歌山市に日本虐待・思春期問題情報研修センターが設置された時の効果は計り知れません。西日本における児童虐待や社会的ひきこもり問題の先進市となると同時に、和歌山市内においてこれらの問題を抑制する効果があり、まちが健全化します。
 ノウハウの蓄積と情報の集積が和歌山市で行われ、全国から人材が集まります。何よりも指導者研修により研修生を全国に輩出することで、和歌山市は都市環境面でも施設面でも癒しの地として注目を集めることになります。

 先に述べた観光面でも効果があります。自然環境と健康サービス産業を組み合わせることで商品価値は高まり、旅行会社と組んだ商品企画も可能となります。
 
 和歌山市を再生させるためには多くの方の協力が必要です。中でも和歌山市と関わりのない方たちが、和歌山市には可能性があると感じて協力体制をとってくれています。全国に先駆けた都市公園モデルにしても、西日本初の日本虐待・思春期問題情報研修センターにしても、和歌山市にやる気があれば実現は可能なものです。
 実現に至る過程では、和歌山市外から日本トップクラスの叡智を借りることができるうえ、市民と行政が協調しながら事業を進められるという、今後の地方行政のモデルとなるようなスタイルをいち早く実現できます。
 実現すれば、人間と動物が共生するまち、社会的ひきこもりに対応している先進的なまち、健康サービス産業の先進地として、まちの活性化が図れます。人材とノウハウそして情報の集積が図れるうえ、観光面にも寄与できます。

 和歌山市がこれら先進的な事業をやる気がないなら、地方分権が進められる過程において各都市が特長を出そうと競争している中で、さらに遅れをとることになります。そして各分野において日本最高の人材の関心が、今後、和歌山市に向くことがなくなることを意味します。
 市長の知らないところで、和歌山市の将来を考え、有力者に協力要請に赴き、汗を流している方たちがいます。その想いは現状を何とか変えたいというものです。

 自然と都市機能を活かしたまちづくりとして、和歌山市の活性化を図るために、県と市が協調して計画を進めているナショナルトレーニングセンター誘致計画があります。
 ヨットのアテネオリンピック出場は、7種目中2種目が和歌山市からです。
 日本のセーリング界では和歌山市の地位が高まりました。和歌浦がヨットの練習に最適な環境であることを、多くのヨット関係者に持っていただきました。そのひとつとして、企業チームの「ミキハウス」が合宿地として利用したい、2008年の北京オリンピックに向けて中国ナショナルチームも和歌浦での練習を希望してくれています。
 このような和歌浦への感心が高まる中、世界トップクラスの選手を受け入れる環境づくりと、地元との交流による活性化のため、是非ともナショナルトレーニングセンター誘致に向けての取り組みを加速させて欲しいと思います。
 県は、来年度の重点施策として政府要望に盛り込んでいます。和歌山市におけるセンターの存在をどう考えているのか、そして県や日本オリンピック協会、文部科学省への働きかけについて、市長のご意見をお伺いさせて下さい。

 大橋市長は市のスローガンとして「水と緑と歴史のまち、気くばり、元気わかやま市」を掲げていますが、実現可能で希望の持てる具体的な施策は出来ていません。
 このことは市長ご自身が認めていることですが、6月現在、何か希望の持てる具体策はありますか、ありましたら教えて下さい。和歌山市では活性から向けた様々な動きがでている中、どのようにして具体策を見つけ出す予定なのかお示し下さい。ぜひ、あるべき姿を描き、弱者に優しく目先の損得ではなく長期的視野で社会の利益を図ってください。

 児童虐待問題に関して和歌山市の取り組みは先端を走っていると思います。自然と都市機能を活かしたまちづくりの一環として、現在の取り組みから自信を持って、和歌山市に日本虐待・思春期問題情報研修センター設置の名乗りをあげることが出来ると思います。  
 和歌山市がセンターに相応しい候補地であると、強くアピールすることを希望して質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。



答弁者 : 市長答弁
 マリンスポーツのナショナルトレーニングセンター誘致につきましては、前々から多くの方々が大変な期待をかけておられるわけでございまして、私としても、和歌浦を「マリンスポーツのメッカ」として全世界に発信し、和歌山市のイメージアップを図ることのできる非常に有意義なプランであり、市民の方々に和歌山市のセールスポイントを再認識していただくためにも大いに推進していくべきだと考えております。

 幸い、議員もご指摘のように、今回、和歌浦湾でトレーニングを積んできた女子470級の吉迫・佐竹ペアと男子レーザー級の鈴木國央選手がアテネ五輪の出場権を獲得いたしました。これをチャンスに誘致活動に弾みをつけたいと思っているところでございます。
 誘致に向けた具体的な取り組みといたしましては、昨年11月に県、市及び県セーリング連盟等を構成メンバーとする誘致委員会を立ち上げたところであり、今後とも県や関係団体と連携を図りながら、誘致実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、和歌山市の将来に希望の持てる具体的な施策があるかというご質問ですが、昨今のような状況の中で、行政主導型の手法によって具体策を見出すのは正直言って大変難しいと認識しております。
 今年の初め,全国レベルで活躍する有識者に和歌山市の活性化策について議論していただき、提言をまとめていただきましたが、その中で「和歌山市は元気のある都市と比べると、行政と住民の協働の仕組みが不十分であり、仕組みづくりを急ぐべきである。そのためには何事も行政主導で進めるよりも、本当にやる気のある住民や市民団体を支援していく枠組みづくりを優先すべきである」とのアドバイスをいただきました。

 また最近では、加太や片男波などの一部地域で「自分たちの地域は自分たちで何とかする。」という芽生えが出てきていることや、さらには観光と医療や健康サービスを組み合わせて和歌山市の活性化を図ろうと積極的に活動する方々がいらっしゃり、この方たちの熱意とご努力により、国内でもかなりの権威ある方が和歌山市に強い関心を持っていただいているとの話も聞いており、私といたしましても大変勇気づけられるとともに、全国から注目を浴びることは非常に喜ばしい限りです。

 議員ご提案の日本虐待・思春期問題情報研修センター誘致を含む、観光と健康サービス産業の組合せによる可能性の追求、そして社会問題解決に向けた取り組みになどについても行政として積極的に支援することで、こういった方々の取り組みが成功し、それを見た他の方々にもそのやる気や熱意が伝わることにより、規模は小さくてもたくさんの成功事例が生まれ「自分たちの地域は自分たちで何とかする。」という機運が育まれるよう、私といたしましても公益性を勘案しながら、最大限の努力をして参りたいと考えております。

 以上

平成16年 6月 和歌山市議会一般質問について


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