行財政改革については、外郭団体を含めた長期的課題について、 強い姿勢で各部局が計画年度を示し、具体的方策を伴った実施計画を策定し、進行管理すると答弁をいただきましたので、貴志川線問題について質問させていただきます。
この問題を調査している中で、公共鉄道の優れている点をたくさん発見出来ました。
貴志川線が地域に必要な理由は、いくつかあります。
一つには、交通弱者の利用が多いことです。沿線には学校が多くあることから学生の利用が多いことに加えて、高齢者にとっては中心地へ出るための手段は貴志川線となっています。本年度から沿線の県立向陽中学が開学しますし、学区制がなくなっていることから、地域を越えて学生の利用があります。
和歌山市から貴志川町にかけての教育は、貴志川線を前提に成り立っています。貴志川線が廃線となれば、市全体の教育見直しの必要に迫られる問題になります。
特に、工業、商業教育を受ける手段を奪われることになります。和歌山の産業、経済を支える人材教育の機会が失われ、将来においても経済の地盤沈下につながる要因となります。人材育成という社会的使命も踏まえ存続の必要があり、その見地からも検討する必要があります。
二つには、電車の廃止は環境悪化を招きます。和歌山市では環境問題に積極的に取り組んでいますから、この視点からも廃止は避けたいものです。
三つ目は、和歌山市内への通勤手段が車だけとなり、今以上の交通渋滞を招きます。
また、地域に存在していた鉄道がなくなった場合の影響は4つあります。
一つ。地価が下落する。これは鉄道がなくなることによる価値減少の他に、イメージが
落ちることが大きく、鉄道がなくなることで地域としての評価が落ちます。地価が下がることで固定資産税額が落ち、結果として税収は減少します。
二つ。コミュニティポイントがなくなることで、地域の活力が失われます。駅まで歩く間に、人と顔を合わせることで地域交流が図れます。人が回遊しないと賑わいは保てませんから、鉄道があるとないでは地域の賑わいは大きく違います。
三つ。駅前にある店舗が衰退します。
四つ。産業誘致に支障があります。鉄道が撤退するような市に企業は進出しません。立地条件も去ることながら、地域として価値がないと判断されるからです。
このように、鉄道廃線は沿線だけの問題ではなく、地域としての問題になります。
百貨店や歴史ある社会人野球のグラウンドなどがなくなり、和歌山市の活気は失われつつあります。これ以上地域に根付いているものがなくなれば、何事も仕方ないとあきらめの雰囲気さえ出てきます。
人にとって怖いのは、あきらめの気持ちを持つことです。 まちに活気を取り戻すより以前の問題になりかねません。あきらめからやる気へ転換を図るためにも、貴志川線問題は市をあげて取り組むべき問題です。
最後に、貴志川線問題を民間の経営感覚で考えると対応策はふたつです。
市長は民間企業出身ですから、民間の経営感覚はお持ちですからお分かりいただけると思います。
ひとつ目は、市長が何からの形で運営する自信があれば、南海電鉄から無償で設備を引き取り、運営委託をすることです。他の鉄道会社の例ですが、土地だけ売却し施設と車両を無償提供している例があります。
ふたつ目は、南海電鉄と協議し他社への売却交渉をすることです。今の収支だけを見ると買い手を見つけるのは大変ですが、情報開示した上で整理すれば十分可能性はあります。市にとって貴志川線が重要と考えるなら、行政が仲介することで話は進展します。
署名集めや一時的な集客対策ではなく、民間感覚を持ち込んだ改革とはこのようにダイナミックなものなのです。
まちづくりの中での地方鉄道のあり方についてと、貴志川線存続について市長の強い決意を示してください。
以上で一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。