コラム
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2011/11/15
923    反復

元阪神タイガースの川藤幸三さんの講演会の話です。川藤さんの話の中から、プロ野球の世界における一流選手の姿勢について学ぶことがありました。どの分野でも共通している法則があることを再認識しました。一流選手は当たり前のことを当たり前に行っていることです。毎日が反復の繰り返し、同じことを納得するまでもう一回、もう一回を飽きることなく続けます。繰り返すことだけが一流へ辿り着く道なのです。そして反復するだけではなくて反復している中から新しい発見があります。新しい発見とは道のことを発見するのではなくて、今までも知っていたけれど、さほど問題に思っていなかった技術や方法について、それを改めようと気づいた時に成長できる発見のことです。その道のプロが全く気づかない技術や方法に気づくことは滅多にありません。当たり前すぎて見逃しているものを発見することが成長し、一流につながる道なのです。

一流への道について学ぶことは他にもあります。プロ野球でレギュラーになる選手は、人が遊んでいる間も休まないで毎日バットスイングを繰り返しています。名球会に入っている元阪神の名選手は二軍時代に毎日、寮の屋上で21時から素振りを行っていました。川藤さんが屋上で物音がするので屋上に登ってみると、後の名選手は内角、外角、そして高目、低目の各コースを想定して素振りをしていたのです。二軍の練習時間も、同僚と遊ぶ時間も他人の意向が及んでいる時間です。他人が入る余地のある時間は自分で支配することはできません。自分の意思で支配できる時間を持つことで一流への道が開けます。夕食後の自由時間は何をするにしても自分が決められる時間で、誰からも侵害される時間ではないのです。このように一日24時間の中で、自分が支配できる時間を少しでも持つことが必要です。毎日1時間だけでも自分のために使う時間を設けて、他から支配されないで自由に使うのです。それが自分を成長させてくれる秘訣です。

毎日1時間だけでも自分のためだけに使う時間を確保することで、自分の成長曲線は上を向いて動き出すのです。

もう一つ印象的な話がありました。川藤選手が二軍時代の、朝の練習の時の出来事です。その日は前日からの腹痛で、朝の練習に参加できる状態ではなかったのです。監督にお腹の調子が悪いので今日だけ朝の練習を休ませて下さいと申し出ました。二軍監督は、もう荷物をまとめて福井県に帰れと一言でした。理由は簡単です。もし朝の練習ではなくて、一軍に昇格して一軍監督から代打を告げられた時に、腹痛なので代打には出られませんと言うことはないからです。一軍であれば言わないことが二軍の練習だから問題はないと舐めて掛かっていたからです。自分で理由をつけてやらない、また自分の思いを正当化することは指揮者から評価されません。小さな場面でも全力を傾注することが大きな仕事をさせてもらうために必要です。二軍だから真剣に練習をしなくても良いと考えているようでは永久に一軍からお呼びが掛かりません。二軍の姿勢が一軍に直結しているからです。

どんな環境においても、既に自分が目指すべき場所にいると思って練習や仕事に向かうべきです。真剣さが違うと意気込みが違ってきます。意気込みが結果を運んでくれます。