コラム
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2021/4/27
1763    シャンソンの思い出

和歌山シャンソン協会で世話役を担ってくれていたIさんがお亡くなりになりました。突然のことで言葉がありません。僕が知り合ったのはもう20年近く前のことです。とても上品な方で、とても可愛がってくれました。

「片桐さんのことは応援しています。みんなにもあなたのことを話していますよ」など、いつも励ましてくれていました。

また「来年のコンサートのゲストは誰にしましょうかね。良い人を推薦してください」など話し合ったことを覚えています。当時、「和歌山パリ祭」では毎年、ゲストをお呼びして開催していました。収益金は和歌山シャンソン協会から地域の皆さんに寄贈していたのです。

覚えているゲストはウインズ平阪さん、前田美波里さんなどの方々で、お客さんも楽しんでくれましたし、Iさんの喜びの笑顔も覚えています。パリ祭終了後のゲストを囲んでの打ち上げの光景もはっきりと覚えています。

これまでずっと和歌山シャンソン協会を守り、みんなで歌えるように会を引っ張ってきてくれました。昨年からのコロナ禍の影響で昨春のコンサートは中止、秋はお客さんの呼びかけを控えての開催など困難に直面していましたが、笑顔で乗り切ってくれました。

その昨年秋の和歌山市民会館のステージでシャンソンを元気に歌ってくれていたので「まさか」の思いがあります。あの時、舞台で「100歳まで歌い続けます。応援よろしくお願いします」と会場に向かって話していたことを覚えています。

出番前の舞台袖で「片桐さん、応援に来てくれたのですね。嬉しいです。みんなに紹介しますね」と言って出演者を紹介してくれました。自分の出番前の緊張する時間ですが、僕のことを気にかけてくれたのです。歌い終わった時には「片桐さん、聴いてくれてありがとう。これからもずっと応援しているからね。あなたはもっと上に行って活躍してもらうべき人ですから頑張ってね」と励ましてくれました。

知り合ったから20年近く、ずっと励まして期待してくれていました。

和歌山シャンソン協会の方と話したところ「2日前も電話で話していたのですよ。とても元気だったのですが。その時も片桐さんのことを話していましたよ。私は片桐さんをずっと応援しているから」と言ってくれていたことを伝えてくれました。本当に残念でなりません。

令和3年4月24日は通夜式でした。本来であればこの日は「パリの風に寄せてシャンソンコンサート」の開演日でした。コロナ禍による和歌山県知事からの「外出の自粛」を受けて4月上旬に中止が決定していたのです。今日のコンサートでは、Iさんも舞台に立って歌う予定でした。今日の日に向けてレッスンを続けていたと思うと「舞台で歌う機会をつくってあげたかったな」と思い無念さを感じます。

春のコンサートが中止となり、その日に通夜式を迎えることになったのは、「Iさんは静かに歌いたいと思う気持ちだったのでは」と和歌山シャンソン協会の皆さんと話しました。

突然の悲報に驚いていますが、これまでのご厚情に深く感謝してお別れの言葉を伝えます。

いつも励ましていただき、期待してくれたことを忘れていません。温かく親切にしてくれたことも忘れていません。

本当にありがとうございました。ゆっくりとお休みください。