コラム
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2018/7/9
1719    先生と生徒の話

平成30年5月に開催した懇談会の席で、ちょっといい話を聞きました。中学校の時、少し悪くて補導経験のある生徒からの話です。もう立派な30歳代として活躍しているKさんから、中学生の時の話を聞きました。

「中学生の時は悪くて補導されて学校に行けなかったこともあります。その時の担任の先生も生徒指導の先生も、一度も面会に来てくれませんでした。関わりたくないのか、面会しても私は変わらないと思っていたからだと思います。

そんな時、毎週、面会に来てくれた先生がいました。それが片桐さんも知っているX先生です。X先生も当時、私の行っていた中学校の先生だったのですが、担任でも生徒指導の先生でもなかったのです。でも励ましに来てくれたのです。

私は『こんな私にでも構ってくれる先生がいるんだ』と思い、内心感謝していました。言葉では出せなかったけれど、先生のためにも自分のためにも、早くここから出なければならないと思いました。X先生が面会に来てくれていなければ、その後の私はなかったと思います。そこから出てもまた悪さをして補導されていたと思います。

私が改心してみんなと一緒に卒業できたのはX先生がいてくれたお蔭だと今でも感謝しています。だから片桐さん、X先生に会うことがあれば『当時のことは今でも感謝しています』と伝えて下さいね」と話してくれました。

ここで登場するX先生ですが、現在は定年退職していますが社会からの信頼が厚く、教師と違う舞台で今も活躍しています。明るくて面倒見の良い先生ですが、こんな話があったことを知り、「流石、X先生」と思い嬉しくなりました。今も社会貢献している人は、過去においても社会に役立つことを行っているのです。

現役時代にできていたことは年齢を重ねた後でもできるけれど、現役時代にやってこなかったことを、第一線を退いてからやるのは難しいことだと思います。やってきたこと、経験してきたことができることです。

X先生はこんな「いい話」として人の心に残るような行いや指導を、たくさんやってきたと思います。だから今も元気で活躍していますし、X先生のことを「現役の時も良い先生でしたよ」といいう話を聞くことが多いのです。

この人はX先生への感謝の気持ちを伝えて、仕事へと向かっていきました。元気で社会に役立つ仕事をしていることを、X先生に伝えたいと思っています。

「教師は人を育てる仕事である」そんなことを思いました。人を育てる役割を担っている人の言動はとても重要だと思いました。

翌6月、再び懇談会の場でKさんと会いました。「先月の話はとても良い話で、感動しました。生徒が立ち直り前に進むために先生の力は必要だと思います。今も通用する話なので、みんなに伝えています。大人が学んでくれたら嬉しいことだからです。僕はこの話を忘れないように書き記していますよ」と話しました。

Kさんは「私のことを書いてくれているのですか。是非、見せて下さい」と笑顔で答えてくれました。大切な話を聞かせてもらった人は大切なことを学べます。大切なことを忘れないで今後に生かすためにも記録しておくことは大事なことだと考えています。