コラム
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2013/3/28
1224    やり遂げる

いじめの問題に向き合っていた時、大阪府が提言して実現した院内高校のことを知りました。院内高校が実現したのは、大阪府立大手前高校3年生、平成25年時点で18歳の久保田鈴之介さんが支援制度を大阪市に要望したことを受けて制度が実現したものです。

院内高校とは病院に入院している生徒が勉強をしたいと思い要請をすれば、病院内に講師が来てくれて勉強することができる制度のことです。これは平成24年1月に久保田さんが制度創設を要望した時、このことを知った橋下大阪市長が「久保田君一人を救えないなら政治なんか要りません」と応じたことが契機になりました。

久保田さんは院内高校制度を活用して、平成25年1月の大学入試センター試験を受験しました。実は平成24年5月に余命半年と宣告を受けていたのですが、最後まで勉強することを諦めませんでした。大学センター試験受験後、様態が悪化したため18歳の生涯の幕を閉じました。

亡くなった久保田さんは「思っていても行動に移さないと何も変わらない」と難病患者を支援するために生前、話していた言葉です。

久保田さんの父親は「自分に与えられた使命はどんな状況でもやり尽くす気持ちがあったと思う。何に対しても逃げないという堂々とした生き方を貫いていた」と語っています。

短かったけれど実に素晴らしい生涯です。勉強したくてもできない生徒が存在しています。いじめにあって学校に行けない生徒。いじめにあって自殺未遂を図り入院している生徒など、理由があり学校に行けない生徒がいます。しかしどんな生徒も勉強したいのです。本気で接してくれる教師を求めているのです。

ところが残念なことに、いじめの問題は表面化し難いのです。いじめにあっている生徒が勇気を絞って学校に相談しても、即座に対応してくれないことや、その程度のことかなどと思われて解決に向かわないことがあります。生徒と接する教師や大人は命の大切さの感度を高めて、敏感に反応しなければならないのです。

政治の目的は、安全で安心して生活できる社会を創ることです。この学校で安心して勉強できる、自分の町で安心して仕事ができることも目的となります。

和歌山県内で発生した自殺未遂の問題があります。和歌山市で発生したものではなく、私にとっては選挙区の外の出来事です。しかし選挙区と問題への対応は関係ありません。相談してくれる、信頼して頼ってきてくれるのであれば、対応すべきものだと考えています。

政治イコール得票ではないのです。政治イコール信頼であり、安全と安心ある暮らしを創ることなのです。損得ではなくて、地域を越えて活動するのが政治家だと思います。

紀伊半島を襲った台風12号被害、所謂紀伊半島大水害の後、自民党の小泉進次郎代議士が被災地に入りました。被災した子ども達のお見舞いをした時、尋ねました。「何か欲しいものはありますか」。子ども達は「流されてしまった自転車が欲しい」と答えました。小泉議員が帰ってから二日後、3台の新しい自転車が届きました。小泉議員はお礼を述べるために電話をした人に対して「地元の代議士は復興のために大きな仕事をしてくれると思います。地域外の私は小さなことしかできませんから」と答えたそうです。素晴らしい人物です。

「地元でもないのに地域外から問題に対応するために来てくれた」と迎えてくれた時、小泉議員のこの話を教えてくれました。

同じように見てくれたことは嬉しいことで、心から感謝しています。問題に対して逃げてはいけません。信頼できる人からの依頼があったり、それをやろうと思ったら行動に移すべきです。例え自分の行動範囲外の場所であっても得になることがなくても、やり遂げるべきです。