コラム
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2013/1/9
1175    審判の役割

野球の審判の資格を持っている人と話を交わしました。とても興味深い内容で、審判の隠れた役割を知ることができました。審判は試合における最高の権威ですが、縁の下の力持ち的な役割です。しかし考えて見れば本当に権限を持つ人は表で采配を揮うことは少ないのです。状況をしっかりと把握して大事なところで采配を揮いますから、審判も試合進行は淡々と行い、際どいプレイや肝心なところで権威を示します。普段は目立たないように、しかし大切な場面では存在感を示す。それか審判のように感じました。

ところで打者が打ったボールがファールゾーンの場合、ゼスチャーと大きな声で「ファール」と叫びますが、フェアゾーンに入った場合は声を出しません。それは選手が聞き間違うことを防止するためです。どちらも「フ」で始まりますから、紛らわしくないようにファールは言葉で発信し、フェアは無言とルール化しているのです。

またセーフとアウトもルールがあるそうです。セーフの判定は早くします。際どい判定になった時、審判がセーフと判断した場合は素早くセーフと言葉で発します。逆に完全にアウトの場合はゆっくりとふた呼吸ほどおいてアウトと言葉を発します。特にツーアウトの場合などは、選手が引き上げるタイミングにアウトの言葉を発する審判もいるようです。理由を尋ねたところ「ボールを落とす場合などアウトがセーフになることがあり、完全にアウトと判定できる瞬間まで待ってジャッジをするためです」と答えてくれました。

アウトと表現した後に守備の選手がボールを落としてセーフになることがあります。そんなミスジャッジを防ぐために、アウトの判定は一連のプレイが終了するタイミンクで行うのです。これは参考になる事例です。

私達の周囲で発生する出来事でも、良い流れの場合はその流れを断ち切らないようにフォローしていきます。セーフの場合と同じように内心で素早くジャッジを行い流れに乗って行きます。反対に仕事を見極めたい時、つまりアウトの場合は、確実にこの仕事は無理だと判断してから中止にします。アウトとする場合は周囲の人の同意を得て判断を下すことが批判を押さえることになるのです。アウトのタイミングが早過ぎると批判されることもありますから、関係するデータや状況が確定してからアウトの判断を下したいものです。

もうひとつ。審判の仕事は土曜日か日曜日に依頼が多くあるようです。子どもでも大人でも試合をするのは週末になるからです。一日三試合ほど審判をする場合もあるのですが、楽しくて仕方がないと話してくれました。子ども達の必死のプレイは明日への活力となり、大人の選手のプレイには、楽しむことが人生であることを教えてくれるようです。

年齢や立場によって同じ野球の試合でも、審判をしていて感じ方が違うのです。夢を追い掛ける子どもの選手と、楽しみを見出している大人の選手。どちらも審判をしていて楽しいと感じる選手との交流の一時です

試合では絶対の権威である審判の役割を果たすことで気分を転換して月曜日を迎えることができるそうです。人は違う役割があるとリフレッシュでき、本業にも良い影響をもたらせてくれます。普段と違う役割を持っていることの効果があります。