コラム
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2012/6/14
1055    香港からの留学生

香港から日本の大学に留学している学生と話をする機会がありました。来日して3年目、若干21歳の学生です。日本語は来日してから本格的に学んだと聞きましたが、上手にコミュニケーションが取ることができるレベルです。日本語を理解すること、専攻している経済学を学ぶために新書を1週間に5冊読んでいます。本から学ぶことは基本ですし、本を読まないで知識を得ることはできません。本を読んで理解を深めるのです。

大学の先生の講義で学びながら有名な経済学者の著書も読み、考え方を比較する中から違いや同質的なものを学び取ります。違いが分かり同じ考え方の部分が分かることで自分の知識と価値観から考えをまとめていくのです。

日本がデフレなのは円の価値が高いことに気付いていました。つまり円の発行量がドルなどと比較をして流通量少ないので価値が高まっているのです。モノは希少なものほど価格は高くなるのと同じです。円の発行量が少ないので円高に振れているのです。ですから円の発行量を増やせば円の価値は低くなりドル高円安に振れます。円の価値が低下すると物の値段は上昇しますからインフレ傾向へと向かうのが理論です。デフレ脱却の手法として考えられることですが、物価と生活の安定を目指すのが通貨政策であり、インフレを制御することは簡単なことではないと認識されているため、それほど強い金融緩和策を講じていないようです。

この留学生は円の発行量が少ないことも学んでいました。「経済学を勉強するのであれば本を読むのは当然のことで、読まない学生がいることが変なのです」と話してくれました。

またある経済学者が書いた中国経済の本についても「この著者にしては内容が薄かったと思います。資料を提供してあげられますから、その資料があれば内容に厚みが出ると思います」という話がありました。自分の言葉に強い自信が溢れていました。自信を持って自分の考え方を述べる、そして意見を言う姿勢は、一言で言うと衝撃でした。21歳の学生の中に強い中国が見えたからです。

日本語の本を日本人と同じレベルで読んで理解していること。勿論、英語の本も読んで理解することができます。「1980年代生まれ以降の香港人なら誰でも英語ができます。そして日本に留学している香港人は日本語ができます」と話してくれました。そうです。強さの秘密の一つに語学力があります。母国語である中国語、英語、日本語が話せますから、外国人とも直接会話ができ理解し合えるのです。直接会話ができることで信頼関係に結ばれた人脈が増えて行きます。

英語ができない日本人と英語ができる香港人。米国人はどちらと話をするのかと言うと、英語ができる香港人を選択します。人は言葉によってコミュニケーションを図っているからです。

英語ができると人脈が広がり、情報の流れが格段に良くなります。多くの情報を得る手段は英語だからです。日本人から感じられない気持ちの強さと自分に対する自信がありました。21歳の学生の衝撃はまだまだ続きます。