活動報告・レポート
2026年5月30日(土)

輸出企業の話

貿易が停滞していると伺いました。民間企業の対アメリカや対中国に対する輸出が止まっていることから「大手を除くと、輸出企業はどの会社も経営は苦しいと思います。事実、倒産している会社も多いですし、業態変更を模索している会社もあります。このまま止められると持ちません」という話です。

「アメリカは品目によって関税の利率が異なるので、輸出事業者によっては時間もかかりますし、関税が高いので利益は薄くなっています。むしろ利益が出ない場合も出ているので輸出するほど赤字が増えているケースもあります。また中国は輸出が止まっています。これがこのまま続くと、中小の輸出企業は倒れて残らなくなってしまうと思います。早く関係を改善させてくれないと、在庫を抱えたままなのでますます苦しいです。政府は実体を理解してくれていると思いますが、対策がないので困っている事態を通り越しています。

但し、まだ円安なので会社が持ち堪えています。これで円高に振れてしまうと輸出企業はバタバタと倒れていきます。アジアを始めとする国では円安の影響で『日本製品は安い』ということになっています。黄金の1980年代のように日本製品は品質が良いという理由ではなく、日本製品は安いというイメージで輸出ができているのです。品質と技術も良いことは確かですが、中国やアジア製品の品質も技術も高くなっているので、以前のように『日本製品でなければ』のイメージはなくなっています。むしろ『日本製品は安い』ことで買ってくれているという感覚です。だから中小の輸出企業にとって円安は歓迎で、この水準でいて欲しいということが本音です」という話です。

では「輸出が回復の見込みはあるのですか」という質問に対してです。

今のところ何時まで止まるだろうとは言えませんが、直ちに良くなることはありません。貿易は日本の生命線ですから、これが縮小すると日本経済は大打撃を受け続けることになります。世界の紛争で各国とも厳しいのですが、日本の経済が最も苦しいのではないでしょうか。ヨーロッパやアジアはアメリカや中国だけに頼っていないので他に有力な貿易国はありますが、日本はアメリカを向いていますから、輸出企業にとっては厳しいことは間違いありません。

もちろん円安は物価高を招いていますし国際消費が低迷していることは承知していますが、外貨を稼いでいる輸出企業が利益を上げられなければ、国内消費も伸びてこないと思います。政府の経済対策はどこに向かうのかによって、大手企業以外の企業は持ち堪えられなくなる恐れがあります。

それにしても、頭で理解していたのですが現場の意見を聞くと「日本製品の品質が評価されているのではなく、日本製品が安いから輸出できている」実態に驚いています。外国から「日本製品が安いから売れている」「日本製品は安いから日本に来ている」などの話を聞く機会は多々ありますが、実態はそれ以上だったことが分かると「日本経済は大丈夫だろうか」と思います。私も古い価値観を引きずっているので「日本製品の品質は世界一」と思うことは今の時代においては誤りのようです。日本製品は「性能が良いにも関わらず安い」ので売れていると思い直す方が実態に即しているように思いました。

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」や「黄金の日本」は過去の遺物になってしまったのでしょうか。輸出企業が苦戦している実態を聴いて「貿易が止まって厳しい経済大国は、本当は日本ではないか」と思いました。円高、円安のどちらが好ましいかの話だけではなくて、自由貿易の機能が停止すると、日本は弱いという実態を感じました。平和が維持されて経済があることを感じています。