教育関係者と公教育については話し合いましたが、とても興味深い内容でした。
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教育格差が生まれていること。教科書は生徒が活用できるように改訂されているので、勉強ができる生徒は伸びていきますが、できない生徒は以前と変わりません。予習復習をする生徒の学習効率は高まっていますが、しない生徒はそのままなので、その差をどう埋めていくのかが課題です。
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国語便覧や社会便覧は大人でも役立ちます。今、国語便覧は大人の間でブームになっていてアマゾンでも売り切れています。国語で習う基本知識は国語便覧で得られるので、ちょっとしたことを調べるのに便利です。
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公教育は一人も取り残さないことが基本です。高校だと同じようなレベルの生徒がいるので授業は進みますが、小中学校ではできる生徒とそうでない生徒の学力格差があるので、授業の速度が遅れていきます。生徒には丁寧に分かるまで教える必要があるので、授業のやり方に難しさがあります。
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教科書はカラフルになり、用語や時代背景の解説、ワンポイントアドバイスなどが記載されています。かつては参考書で補完していた内容が、教科書で分かるようになっています。
一人でも勉強できる内容の教科書になっています。勉強が楽しいと思える教科書なので、昭和の教科書と大きく違っています。 -
教師の言葉はとても大事です。良い意味でも悪い意味でも、生徒の将来に影響を与えてしまいます。しかし最近の傾向として、授業は誰が担当しても同じ学習効果が得られるような横並びになっています。かつてのような熱血教師はいなくなり、言葉で鼓舞することが少なくなっています。誰が担当しても同じ授業内容なのは、教え方が標準化できていることですが、一方、熱い教師は不要ということになっています。熱い教師は必要だと思いますが、生まれにくい教育環境になっています。
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昭和の高度成長期は希望が持てる学園ドラマがありました。「飛び出せ青春」や「われら青春」を見ると高校生は憧れの存在に見えました。「早く高校生になりたい」「高校生活は楽しそう」など夢と希望があり、勉強やクラブ活動に励むことができました。しかし最近では学園ドラマは少なくて、あったとしてもテーマが不登校やいじめなど、今の社会を反映したものになっています。これでは高校生活に憧れはありません。もう一度、学園ドラマを復活させることも方法だと思います。
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民間で生徒支援の会社があります。不登校になった生徒を学校に復帰させてくれる支援をする会社です。不登校から復帰のノウハウを有した専門家が生徒をサポートしてくれるようです。この会社のお陰で復帰した生徒は学校生活を楽しんでいるようなのです。教師は学問を教えることが主たる役割であり、特に若い教師は経験が少ないので、不登校やいじめなどの問題には慣れていません。民間のノウハウを導入することも「あり」かもと思いました。
主な項目を記しましたが、とても興味深い教育の話になりました。教育現場で起きていることが、教育委員会に伝わっているのかと思うこともあります。まして文部科学省には実態が伝わっていないように感じます。生徒と接しているのは教師であり、文科省ではありません。この温度差が公教育の進むべき道を混乱させている部分も感じます。勿論、指針がなければ全国統一の公教育はできませんから必要ですが、教師の教え方を均一化することは教育の可能性を狭めているようにも感じます。せっかく教科書は進歩しているのですから、教え方も教師の自主性を重視した形で進歩して欲しいと思います。

向陽高校内で、来月に近づいてきた「海草・向陽創立110周年記念式典」の打ち合わせを行いました。来週末から中間考査が始まるため試験問題を作成する時期ですが、合間の時間で再来週の記念式典の打ち合わせを行いました。
生徒にとっても卒業生にとっても110年を感じられる式典にしたいと思いますし、同窓会で記念式典を行えることは、伝統校の重みと節目を感じてもらえる絶好の機会になるので嬉しく思っています。何もしなければ、氣づかずに通り過ぎてしまうだけですが、10年毎に式典をすることで伝統を感じることができています。記念式典はここで学んだことを思い出させてくれるものであり、在校生に伝えるメッセージを届ける機会でもあります。

当日は記念式典、記念講演、記念植樹などを行うので、生徒と同窓生に向陽高校の伝統を感じてもらいたいと考えています。高校内では100周年の記録DVDの鑑賞や、休憩時間に海草中学校の校歌を放送するなどして、在校生に伝統を感じてもらえる工夫をしています。卒業生は当日、在校生と接してもらって、向陽高校の今と自分たちの時代を感じてもらえることを目指しています。
さて打ち合わせを終えた後、高校内を歩きました。向陽高校第一期卒業生の記念碑や、海草中学校時代の記念碑があることを知りました。そして校舎から見える青空を眺めました。やはり「とても素晴らしい」青空がありました。向陽高校の校舎とそこから見る青空は最高です。時代を経ても、あの頃と同じ景色が見えることは素晴らしいことだと思います。

時が詰まった青空とは言いませんが、ここから見る青空は時が継続していることを教えてくれます。18歳の時にここから眺めた青空と、今眺めている青空は同じように見えるのです。ここで学ぶ生徒が変わっていても、自分たちがここで学んだときと同じ青空を感じられることは、何度も記しますがやはり素晴らしいことです。セピア色の記憶がカラーになることは感動することだからです。ただ歩くだけで感動を味わえる場所は、誰にとってもそれほど多くはありません。そんな場所があることに感謝できる時間となりました。
創立110周年記念式典に訪れた皆さんが青空を見上げて、同じように感動してくれることを願っています。
