東京から友人が来てくれて「和歌山県のリゾート」に関する会議を行いました。東京から見た和歌山県は「リゾート県」だということです。白浜町と海水浴場、高野山、そして良い食材を使った食事など、リゾートのイメージが強い県だということです。
問題は和歌山県でリゾートの可能性を信じていないのが地元の方々であり、かつ環境を保全することが投資を受け入れないことだと勘違いをしていることです。手つかずの自然を人は「荒れている」と表現するので、自然を維持するためには資金を投入する必要があるのです。例えば、二酸化炭素を吸収する森林に仕上げるためには手つかずの森林では無理なので、間伐して日当たりを良くする必要があります。人にとって良い自然を維持するための資金が必要になるのです。
また日が沈む海があり、食材が豊富であり、温泉やゴルフ、古道ウォーキングを楽しめる和歌山県はリゾート地と呼ぶことができるのであって、北海道や沖縄県と同じように自信をもって売り出すことが、和歌山県のリゾート観光につながります。
但し和歌山県には、雄大な自然を持つ北海道や、県内に複数のきれいな海を有する沖縄県のようなリゾート観光の強いイメージがないので、観光地を創り出す必要があります。世界のリゾート地は人が創り出したものが存在しているので、集客できるものが必要だということです。リゾート地は人が手掛けることが必要であることは、なるほどと思います。
投資を受け入れることに慣れていない和歌山県なので、意識を変えることも必要かもしれません。
ところで、地方都市が大企業を誘致することが難しい理由について説明してくれました。
それは株主説明の理由がつかないからです。企業経営者は株主に対しての説明責任を負っていますから、大きな投資をする場合や工場や事業所を新たに立地する場合、経営者は説明責任を果たせることが前提になります。
「和歌山県に進出する理由は〇〇である」「和歌山県に投資した場合のリターンは〇〇である」など株主が納得できる理論武装が必要です。それができなければ進出することはあり得ません。そして進出を検討する県は和歌山県だけではなく複数の候補地を挙げるので、「何故、和歌山県に進出するのか」を明確に説明することが求められます。その説明をできるだけの理由がなければ、和歌山県に進出することはできません。
その理由となり得るのは「和歌山県には進出した場合に補助制度がある」「電気代やエネルギーコストの優遇施策がある」「製品を買ってくれる市場がある」「県の熱意と支援体制が整っている」などです。逆に言うと、これらの面で和歌山県が他県よりも優れている説明ができなければ進出はしないということです。
進出に伴う補助金制度や優遇措置などは、どの県でも大差はありませんし、熱意や支援体制も県によっての大差はないと思います。
ですから上場企業を誘致することは簡単ではありません。どの地方自治体も、和歌山県も「企業誘致に取り組みます」と語りますが、大企業の進出が難しいのは株主への説明が必要だからです。
巨額の投資を受け入れる土地と体制があることに加え、「何故、和歌山県なのか」を説明できる理由を、和歌山県が企業に明確に説明できなければなりません。
大企業が地方都市に進出するためには「株主説明が必要なこと」が理由であるなら、和歌山県はその説明するための用意をしなければなりません。これが企業誘致の課題です。
また今回の参議院議員選挙で、18歳で初めて選挙権を得て投票に行った子どもの話もしてくれました。「私の一票で国が変わったらどうしよう」と感想を言ったそうです。凄い感性の持ち主です。投票した直後に、一票で国を変えてしまう力を感じ取り、結果として参議院の勢力図が変わったのです。つまり投票行為によって形が変わったことが現実となり、一人の投票と一票の重みを実感することになったのです。一度、自分の行為によって変わる体験をした人は、次からも行動を起こします。若い人が投票に行くことが社会を変える力になることを感じた体験は強く、これからの日本社会を変える力が誕生したことを感じる話でした。