大阪市内の親しくさせてもらっている方との懇談の中で「大阪・関西万博」と大阪IRの効果の話が出てきました。最近、新しい社屋を竣工したのですが、この場所が夢洲の近くなのです。
「社屋の隣の島が『大阪・関西万博」が開催されている夢洲です。ここからだと歩いて10分で地下鉄の駅に着きますが、一駅で夢洲に到着します。計画した頃、この場所は一坪当たり27万円でしたが計画が少し伸びました。計画が決定したから大阪市と交渉をしたところ一坪当たり100万円でした。3年間で3倍に価格が上がったのです。大阪市と『それは高すぎるでしょう』と交渉の中で伝えたのですが『大阪・関西万博』開催と大阪IRの誘致が決定したことから土地価格が跳ね上がったのです」と話してくれました。
この話を聴いてTSMCを誘致した熊本県と似ていると思いました。優れた経済効果と雇用が見込まれる企業が進出すると活性化が図れますが、その一つとして土地の価値が上昇するのです。この話を聴いて、当然のことですが「当該地域の価値が上がる」ことを思いました。
土地の価格には「価格の三面性」があります。
- 費用性 その不動産にどれくらいの費用を投じたかによって決まる価格のこと。
- 市場性 周辺地域で同じような不動産がいくらで取引されているかによって決まる価格のこと。
- 収益性 その不動産を賃貸や事業に供した場合、どのくらいの儲けがあるかによって決まる価格のこと。
市場性が高まり、収益性が高くなり期待値が高まった場合、その土地の価格が高くなります。「大阪・関西万博」と大阪IRによる経済効果と事業収益性が高まると市場の期待値が高まったので土地価格が高くなったということです。
土地価格が高くなれば担保価値も高まり、融資が受けやすくなります。地域経済も好循環していくので地域の価値も高まることになります。
和歌山県でも全国の都市と同じように市場性は全体の経済動向によって上下しますが、収益性の期待値が低いことから、都会のように大きく土地価格は上がりません。生活するにおいてそれはそれで良いことですが、商売や事業をする観点からすると良いとは言えません。残念なことに現在、和歌山県には大型事業の予定がないので、金融機関が融資する対象が少なく経済の循環が良くないのです。地方自治体で金融政策はできませんが、企業誘致とそれに伴う民間投資による経済対策は可能です。昨今の状況から、和歌山県として効果のある経済対策を実行しない限り、地域経済は好転しないことを痛切に感じています。
和歌山市内でライバースタジオが完成しています。現在、エンジニアがシステムを構築しているところで、もうすぐサービスインできる段階に来ています。世界ではライブコマースが主流になっていますが、日本はやや遅れています。技術者によると「時間的には少なくとも3年は遅れていますし、技術で言うと100倍は遅れています」ということです。わが国はデジタル化やeコマースの分野で遅れているとは感じていますが、ライバースタジオでシステム構築をしている技術者と話をして「思っている以上に遅れている」ことを実感しました。
これは技術面もそうですが、デジタルシステムを導入してからのデータの蓄積量が圧倒的に違うのです。消費性向のデータを、例えば今まで3年間蓄積している企業や国と、之からスタートしようとする会社や国とは「比べようがないレベル」で、話にならないということです。
さてどうしたものかと思いながら、せめて和歌山県がその中でも先端を行きたいと考えました。本日、ライバースタジオに係る会議に出席してくれた皆さんに感謝しています。

